【VIP】徒然草を現代語訳してみる てんこもり。


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【VIP】徒然草を現代語訳してみる

1 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/20(金) 21:58:25.79 ID:efdoNEKd0
【序段】
暇だから書いてみた。反省はしていない。


7 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/20(金) 22:03:22.83 ID:efdoNEKd0
【第1段】
生まれた以上、望みは多いよね。
天皇になりたい! ってこれは言いすぎだよね。第一血統的にムリ。
総理大臣くらい? が一番の理想くらい。そこまで行かなくても事務次官くらい行ったらおk。
少なくとも孫の代くらいまでは安心。それ以下は底辺だから自慢するのやめようねwww


8 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/20(金) 22:04:23.26 ID:efdoNEKd0
原文

*第一段
いでや、この世に生れては、願はしかるべき事こそ多(オホ)かンめれ。
御門(ミカド)の御位(オホンクラヰ)は、いともかしこし。
竹の園生(ソノフ)の、末葉(スヱバ)まで人間の種(タネ)ならぬぞ、やんごとなき。
一の人の御有様はさらなり、たゞ人(ビト)も、舎人(トネリ)など賜はるきはは、ゆゝしと見ゆ。
その子・うまごまでは、はふれにたれど、なほなまめかし。
それより下(シモ)つかたは、ほどにつけつゝ、時にあひ、したり顔なるも、みづからはいみじと思ふらめど、いとくちをし。


10 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/20(金) 22:08:22.35 ID:efdoNEKd0
坊さんはダメ。全然ダメ。清少納言が「あんなの石ころでいいじゃんww」なんて書いたのも納得。
あそこでのし上がっても全然すごいと思えない。っていうか教義と違うじゃんwww
世の中捨てた人なら見習うところもあるんじゃないのwww


11 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[sage] 投稿日:2008/06/20(金) 22:08:53.65 ID:efdoNEKd0
原文
法師ばかりうらやましからぬものはあらじ。「人には木の端のやうに思はるゝよ」と清少納言(セイセウナゴン)が書けるも、げにさることぞかし。
勢(イキホヒ)まうに、のゝしりたるにつけて、いみじとは見えず、増賀聖(ソウガヒジリ)の言ひけんやうに、名聞(ミャウモン)ぐるしく、仏の御教(ミオシヘ)にたがふらんとぞ覚ゆる。
ひたふるの世捨人(ヨステビト)は、なかなかあらまほしきかたもありなん。


13 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/20(金) 22:13:17.02 ID:efdoNEKd0
イケメンがモテるというのはうそ。現実は喋りがうまくて聞き上手なのがリア充候補。
逆にイケメンでもDQNはNGね。家とか顔とかは生まれつきだけど、性格はがんばれば何とかなる。
だた顔と性格がよくても低学歴はすぐに論破されるよね。ざまぁwwww


原文
人は、かたち・ありさまのすぐれたらんこそ、あらまほしかるべけれ、
物うち言ひたる、聞きにくからず、愛敬ありて、言葉多からぬこそ、飽かず向(ムカ)はまほしけれ。
めでたしと見る人の、心劣りせらるゝ本性見えんこそ、口をしかるべけれ。
しな・かたちこそ生れつきたらめ、心は、などか、賢きより賢きにも、移さば移らざらん。
かたち・心ざまよき人も、才(ザエ)なく成りぬれば、品(シナ)下り、顔憎さげなる人にも立ちまじりて、
かけずけおさるゝこそ、本意なきわざなれ。


17 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[sage] 投稿日:2008/06/20(金) 22:18:26.86 ID:efdoNEKd0
結局、高学歴で芸術的なセンスもあるのが理想。それで政治経済に明るいのがすごい人ってもの。
男なら筆達者、歌も上手い、酒も飲める、これくらい当然だろ。


原文
ありたき事は、まことしき文(フミ)の道、作文(サクモン)・和歌(ワカ)・管絃(クワンゲン)の道。
また、有職(イウショク)に公事(クジ)の方、人の鏡ならんこそいみじかるべけれ。
手など拙(ツタナ)からず走り書き、声をかしくて拍子とり、いたましうするものから、
下戸(ゲコ)ならぬこそ、男(ヲノコ)はよけれ。


20 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/20(金) 22:24:01.48 ID:efdoNEKd0
【第2段】
昔からの政治のあり方も忘れて、国民の声もそっちのけで、国の衰退にも気づかず、
予算を使いまくって「俺かっこいいwww」とか思ってるやつがとにかくムカつく。


原文
いにしへのひじりの御代(ミヨ)の政(マツリゴト)をも忘れ、民の愁(ウレヘ)、
国のそこなはるゝをも知らず、万(ヨロヅ)にきよらを尽していみじと思ひ、
所せきさましたる人こそ、うたて、思ふところなく見ゆれ。


21 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[sage] 投稿日:2008/06/20(金) 22:28:06.06 ID:efdoNEKd0
「着るものから乗るものまで、普通にしなさい。贅沢すんな」って九条殿の遺言でもあっただろ。
順徳院だって政治に関して「公共物は質素がいい」って言ってるんだよ。


原文
「衣冠(イクワン)より馬・車にいたるまで、あるにしたがひて用ゐよ。美麗を求むる事なかれ」とぞ、
九条(クデウ)殿の遺誡(ユイカイ)にも侍(ハンベ) る。
順徳院の、禁中(キンチュウ)の事ども書かせ給へるにも、「おほやけの奉(タテマツ)り物は、
おろそかなるをもッてよしとす」とこそ侍れ。


22 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/20(金) 22:29:04.65 ID:o7V19VHtO
今と変わらないことを考えてたんだなw


24 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[sage] 投稿日:2008/06/20(金) 22:36:20.61 ID:efdoNEKd0

【第3段】リア充っぽいやつでも、三次元に興味がないやつはダメ。空っぽのコップと一緒。
雨に濡れながら歩き回る。親とか世間ばっかり気にする。
いつも一人寝、眠れない夜とかもないんでしょwww
でもそうは言ってもビッチばっかり追い掛け回してDQN扱いされるのもいやだと思う気持ちもわかる。
男ならね。


原文
*第三段
万(ヨロヅ)にいみじくとも、色好まざらん男は、いとさうざうしく、玉の巵(サカヅキ)の当(ソコ)なき心地ぞすべき。
露霜(ツユシモ)にしほたれて、所定めずまどひ歩(アリ)き、
親の諫(イサ)め、世の謗(ソシ)りをつゝむに心の暇(イトマ)なく、あふさきるさに思ひ乱れ、
さるは、独り寝がちに、まどろむ夜なきこそをかしけれ。
さりとて、ひたすらたはれたる方にはあらで、女にたやすからず思はれんこそ、あらまほしかるべきわざなれ。


26 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[sage] 投稿日:2008/06/20(金) 22:38:36.91 ID:efdoNEKd0
【第4段】
後々の世の中のことまで考えて、常識のあるやつって、何かいいよね。


原文

*第四段
後の世(ヨ)の事、心に忘れず、仏の道うとからぬ、心にくし。


28 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[sage] 投稿日:2008/06/20(金) 22:43:39.81 ID:efdoNEKd0
【第5段】
不幸自慢のメンヘラがいっそ出家でもしようとか妙なことをしでかさずに、
半分死んだ状態でニート生活を送ってくれるのも、それはそれでいいと思う。
顕基中納言が「何もしてないのに刑務所から月をみてます」なんて言ったのもこういうことだよねwww


*第五段
不幸(フカウ)に憂(ウレヘ)に沈める人の、頭(カシラ)おろしなどふつゝかに思ひとりたるにはあらで、
あるかなきかに、門(カド)さしこめて、待つこともなく明(アカ)し暮したる、さるかたにあらまほし。
顕基(アキモト)中納言の言ひけん、配所(ハイショ)の月、罪なくて見ん事、さも覚えぬべし。


32 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/20(金) 22:49:27.05 ID:efdoNEKd0
【第6段】
自分は低学歴で生きてる価値もないから子どもは作りません。
偉い人はみんな小作りに精を出しません。
染殿大臣も「子孫とかイラネ。二世? ハハ、ワロスwwww」と書いてます。
聖徳太子も墓を作る時に「ここを切れ、あそこも切れ、入るのは俺だけでいい……」と言ったとか言わないとか。


*第六段
わが身のやんごとなからんにも、まして、数ならざらんにも、子といふものなくてありなん。
前中書王(サキノチユウシヨワウ)・九条太政大臣(クデウノオホキオトド)・花園(ハナゾノノ)左大臣、
みな、族(ゾウ)絶えん事を願ひ給へり。染殿大臣 (ソメドノノオトド)も、
「子孫おはせぬぞよく侍(ハンベ)る。末のおくれ給へるは、わろき事なり」とぞ、
世継の翁(オキナ)の物語には言へる。
聖徳太子の、御墓(ミハカ)をかねて築(ツ)かせ給ひける時も、
「こゝを切れ。かしこを断て。子孫あらせじと思ふなり」と侍りけるとかや。


33 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/20(金) 22:51:08.94 ID:nzNpylhf0
>>32
なんか勇気が出てきた


35 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/20(金) 23:04:50.49 ID:efdoNEKd0
【第7段】
墓地がずっと雨とか、火葬場からはずっと煙が立ち上ってるとか、
アメリカのB級ホラーじゃないんだから、変化はほしいよね。
命あるものって言うけど、人間は生きすぎ。蜻蛉は宵を越せない。蝉はひと夏の命。
ボケーっと一年過ごせたらそれでいいじゃない。
死にたくないとか思いながら人生過ごしてたら、何年経っても一日と一緒。
何もすることないのにジジババになってどうすんのwww
長く生きたらその分恥も増える。40手前くらいでさっさと死ねよ。
それを過ぎたらどうせおしゃれとかもしなくなって人脈作り(笑)に腐心して、
年を食ったら食ったで親バカ、ジジバカに成り下がって成長するまで生きたいとか思うんだろ。
執着しすぎwww死に底ないが見苦しいっつーのwwwwwwwwwww


原文
*第七段
あだし野の露消ゆる時なく、鳥部(トリベ)山の煙(ケブリ)立ち去らでのみ住み果つる習ひならば、
いかにもののあはれもなからん。世は定めなきこそいみじけれ。
命あるものを見るに、人ばかり久しきはなし。かげろふの夕べを待ち、
夏の蝉の春秋(ハルアキ)を知らぬもあるぞかし。つくづくと一年(ヒトトセ)を暮すほどだにも、
こよなうのどけしや。飽かず、惜しと思はば、千年(チトセ)を過(スグ)すとも、
一夜(ヒトヨ)の夢の心地こそせめ。住み果てぬ世にみにくき姿を待ち得て、何かはせん。
命長ければ辱(ハヂ)多し。長くとも、四十(ヨソヂ)に足らぬほどにて死なんこそ、めやすかるべけれ。
そのほど過ぎぬれば、かたちを恥づる心もなく、人に出(イ)で交らはん事を思ひ、
夕べの陽に子孫を愛して、さかゆく末(スヱ)を見んまでの命をあらまし、
ひたすら世を貪る心のみ深く、もののあはれも知らずなりゆくなん、あさましき。


37 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/20(金) 23:10:08.73 ID:efdoNEKd0
【第8段】
女はいい。バカって言っていいよ。
匂いとかでもすぐ消えるってわかってるけど、それでもお香とか焚くじゃん。
いい匂いしたらときめくじゃん。
久米仙人が洗濯してる女の肌をチラ見して神通力がなくなりましたって。
手足とかの肌がめちゃめちゃキレイだったら当たり前だろwwww


原文
*第八段
世の人の心惑はす事、色欲(シキヨク)には如(シ)かず。人の心は愚かなるものかな。
匂(ニホ)ひなどは仮のものなるに、しばらく衣裳(イシヤウ)に薫物(タキモノ)すと知りながら、
えならぬ匂ひには、必ず心ときめきするものなり。
九米 (クメ)の仙人の、物洗ふ女の脛(ハギ)の白きを見て、通(ツウ)を失ひけんは、
まことに、手足・はだへなどのきよらに、肥え、あぶらづきたらんは、外の色ならねば、さもあらんかし。


39 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/20(金) 23:20:59.93 ID:efdoNEKd0
【第9段】
髪がキレイな女は目立つけど、人のよしあしは物の言い方で大体わかる。
だいたい女は立ってるだけでも男を誘惑している。
うたた寝もせず、身を粉にして、耐えがたきを耐えるなんてのは全部男がほしいから。
実際色欲とかあるじゃん。絶対。大体の煩悩は我慢できるけど、これはムリ。
何歳とか学歴とか関係ないじゃん、こういうのって。
だから女の髪で紐を作ったら象だっておとなしくつながれる。
女が履いた靴で作った笛とか絶対吹いてみたいだろ?
ごめん、ちょっと暴走した。自重するwww


*第九段
女は、髪のめでたからんこそ、人の目立(メタ)つべかンめれ、
人のほど・心ばへなどは、もの言ひたるけはひにこそ、物越しにも知らるれ。
ことにふれて、うちあるさまにも人の心を惑はし、
すべて、女の、うちとけたる寝(イ)もねず、身を惜(ヲ)しとも思ひたらず、
堪(タ)ふべくもあらぬわざにもよく堪へしのぶは、ただ、色を思ふがゆゑなり。
まことに、愛著(アイヂヤク)の道、その根深く、源(ミナモト)遠し。
六塵(ロクヂン)の楽欲(ゲウヨク)多しといへども、みな厭離(オンリ)しつべし。
その中に、たゞ、かの惑ひのひとつ止(ヤ)めがたきのみぞ、
老いたるも、若きも、智(チ)あるも、愚かなるも、変る所なしと見ゆる。
されば、女の髪すぢを縒(ヨ)れる綱には、大象(ダイザウ)もよく繋(ツナ)がれ、
女のはける足駄(アシダ)にて作れる笛には、秋の鹿必ず寄るとぞ言ひ伝へ侍る。
自ら戒(イマシ)めて、恐るべく、慎むべきは、この惑(マド)ひなり。


40 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/20(金) 23:25:19.35 ID:fD0YNmr70
発想が変態だな


42 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/20(金) 23:31:57.53 ID:efdoNEKd0
【第10段】
住みやすい家は、仮住まいでも愛着がわくよね。
イケメンがさわやかに住む家には月の光すら神々しく見える。
別に作りがめちゃめちゃおしゃれとかじゃなくてもいいから、年季の入った木があって、
自然な感じの庭があって、すのことか垣根とかがさりげなく配置されてて、
調度品もレトロ調なのが普通に使われてるようなのがマジかっこいいと思う。
匠の世界に出てきそうなレア物の家具とか並べて観葉植物とかこれ見よがしに置かれてもねぇ。
さすがの俺でもちょっと引くわ。っていうか住めって言われてもムリwwwww
どうせそんな家すぐに取り壊されて更地になるだろwwww
だいたい家見たら住んでる人間の程度が知れるよねwwww


*第十段
家居(イヘヰ)のつきづきしく、あらまほしきこそ、仮の宿りとは思へど、興あるものなれ。
よき人の、のどやかに住みなしたる所は、さし入りたる月の色も一きはしみじみと見ゆるぞかし。
今めかしく、きらゝかならねど、木立(コダチ)もの古(フ) りて、わざとならぬ庭の草も心あるさまに、
簀子(スノコ)・透垣(スイガイ)のたよりをかしく、うちある調度(テウド)も昔覚えてやすらかなるこそ、
心にくしと見ゆれ。
多くの工(タクミ)の、心を尽(ツク)してみがきたて、唐(カラ)の、大和(ヤマト)の、めづらしく、
えならぬ調度ども並べ置き、前栽(センザイ)の草木まで心のままならず作りなせるは、
見る目も苦しく、いとわびし。さてもやは長らへ住むべき。
また、時の間(マ)の烟(ケブリ)ともなりなんとぞ、うち見るより思はるゝ。
大方は、家居にこそ、ことざまはおしはからるれ。


44 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/20(金) 23:39:54.70 ID:efdoNEKd0
後徳大寺大臣が鳶がウザいからって縄を張ったって。それを見た西行が
「鳶くらいいいじゃんwwww小っちぇえwwwww」とか言って、その家に行かなくなったとか。
綾小路宮の家にも縄が張ってあって、同じことやってるwwwwとか思ってたら、
実際は「カラスが池の蛙を食うから悲しくて縄を張った」と人づてに聞いた。
ま、誰にでも間違いはあるということで。
でもそれだったら後徳大寺大臣にも何か理由あったんちゃうの?


原文
後徳大寺大臣(ゴトクダイジノオトド)の、寝殿(シンデン)に、鳶(トビ)ゐさせじとて縄を張られたりけるを、
西行が見て、「鳶のゐたらんは、何かは苦しかるべき。この殿の御心(ミココロ)さばかりにこそ」とて、
その後(ノチ)は参らざりけると聞き侍るに、綾小路宮(アヤノコウヂノミヤ)の、おはします
小坂(コサカ)殿の棟(ムネ)に、いつぞや縄を引かれたりしかば、
かの例(タメシ)思ひ出でられ侍りしに、「まことや、烏(カラス)の群れゐて池の蛙をとりければ、
御覧(ゴラン)じかなしませ給ひてなん」と人の語りしこそ、さてはいみじくこそと覚えしか。
徳大寺にも、いかなる故(ユヱ)か侍りけん。


47 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/20(金) 23:50:38.82 ID:efdoNEKd0
【第11段】
10月くらいに、栗栖野ってとこのさらに向こうの山奥に行ったんだよ。
で、苔とかが生えてる小道をずっと登ってたら小っちゃい庵があったんだよ。
懸樋とかボロボロ、そこを流れる雫くらいしか音もしないようなとこだったんだけど、
仏さんを奉ってる棚に菊とか紅葉とかがちゃんと飾ってんの。誰か住んでるんだろうね。
で、こんなことに住んでる人間もいるんだなーとか思いながらそこらへんを見てたら、
めっちゃでかい柑子の木があって、そのまわりをめっちゃ柵してんのwwwww
もう興ざめもいいとこwww誰も盗らねーっつーのwwww


*第十一段
神無月(カミナヅキ)のころ、栗栖野(クルスノ)といふ所を過ぎて、
ある山里に尋ね入(イ)る事侍りしに、遥かなる苔(コケ)の細道を踏み分けて、
心ぼそく住みなしたる庵(イホリ)あり。木の葉に埋(ウヅ)もるゝ懸樋(カケヒ)の雫(シヅク)ならでは、
つゆおとなふものなし。閼伽棚(アカダナ)に菊・紅葉 (モミヂ)など折り散らしたる、
さすがに、住む人のあればなるべし。
かくてもあられけるよとあはれに見るほどに、かなたの庭に、
大きなる柑子(カウジ)の木の、枝もたわゝになりたるが、まはりをきびしく囲ひたりしこそ、
少しことさめて、この木なからましかばと覚えしか。


53 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/21(土) 00:03:09.17 ID:diXUlC+20
【第12段】
考えが同じやつとヲタ話とか世間の愚痴とか隠し事もなしにしゃべるのが本当はいいんだけど、
そう都合のいいやつがひょっこり現れるわけもなく、ま、いても結局話を合わそうとしてたら
一人がいいってところに落ち着くよね。
話してたら「へぇ」って思うこともあるけど、ちょっと違うところがでてきたら
「いや、自分はこう思う」とかいきがるバカが出てくるから、
「こうだからこうだろ」と論破してやるのも暇つぶしにはなる。
ただ実際にはちょっとくらい違う考えでも別にどうでもいいで流すんだろうけど、
それは心の友というにはあまりにもかけ離れてるし、ちょっと悲しいよね。


原文
*第十二段
同じ心ならん人としめやかに物語して、をかしき事も、世のはかなき事も、
うらなく言ひ慰(ナグサ)まんこそうれしかるべきに、さる人あるまじければ、
つゆ違(タガ)はざらんと向ひゐたらんは、たゞひとりある心地やせん。
たがひに言はんほどの事をば、「げに」と聞くかひあるものから、
いさゝか違(タガ)ふ所もあらん人こそ、「我はさやは思ふ」など争ひ憎(ニク)み、
「さるから、さぞ」ともうち語らはば、つれづれ慰まめと思へど、
げには、少し、かこつ方(カタ)も我と等しからざらん人は、大方のよしなし事言はんほどこそあらめ、
まめやかの心の友には、はるかに隔(ヘダ)たる所のありぬべきぞ、わびしきや。


54 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/21(土) 00:04:50.08 ID:tjYxqSan0
現代に生まれていたら、兼好は、名のあるVIPPERになっていただろうに…


56 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/21(土) 00:07:31.45 ID:diXUlC+20
【第13段】
一人で電気つけて本を広げて、二次元の友達をつくるのがマジ楽しい。
あ、同人とかじゃなくて文部省推薦とか白氏文集とか老子とか、あとは学者の書いた本とかね。
結構おすすめ。


*第十三段
ひとり、燈(トモシビ)のもとに文(フミ)をひろげて、見ぬ世の人を友とするぞ、こよなう慰むわざなる。
文は、文選(モンゼン)のあはれなる巻(マキ)々、白氏文集(ハクシノモンジフ)、老子(ラウシ)のことば、
南華(ナンクワ)の篇(ヘン)。この国の博士(ハカセ)どもの書ける物も、いにしへのは、あはれなること多かり。


62 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/21(土) 00:12:22.16 ID:yu6QWIUAO
なんというねらーww


64 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/21(土) 00:19:52.70 ID:diXUlC+20
【第14段】
歌はいい。底辺DQNも歌にしたらかっこよく聞こえるし、
猪とかも「寝てる猪の床」とか書いたらかわいいじゃん。
最近の歌は表面はうまいこと言ってるみたいだけど、古い曲みたいな深みがないよね。
貫之が「糸によるものならなくに」とか歌ったのは古今集の中でもカス扱いだそうだけど、
それだって今のやつにはムリ。昔は歌の形とか言葉とかにも品があった。
この歌だけ叩かれてるのも正直意味がわからん。源氏物語でもこの歌はこき下ろされてるし。
新古今和歌集の「残る松さへ峰にさびしき」ってのは、ちょっとライトな感じがする。
けど衆議判ではまあまあ、家長日記でも後鳥羽上皇がいいて言ってたと書いてる。


原文
*第十四段
和歌こそ、なほをかしきものなれ。あやしのしづ・山がつのしわざも、
言ひ出(イ)でつればおもしろく、おそろしき猪(ヰ)のししも、「ふす猪の床(トコ)」と言へば、
やさしくなりぬ。
この比(ゴロ)の歌は、一ふしをかしく言ひかなへたりと見ゆるはあれど、
古き歌どものやうに、いかにぞや、ことばの外(ホカ)に、あはれに、けしき覚ゆるはなし。
貫之(ツラユキ)が、「糸による物ならなくに」といへるは、古今集(コキンシフ)の中の歌屑(ウタクヅ)とかや言ひ伝へたれど、
今の世の人の詠みぬべきことがらとは見えず。その世の歌には、姿・ことば、このたぐひのみ多し。
この歌に限りてかく言いたてられたるも、知り難(ガタ)し。
源氏物語には、「物とはなしに」とぞ書ける。
新古今には、「残る松さへ峰にさびしき」といへる歌をぞいふなるは、まことに、少しくだけたる姿にもや見ゆらん。
されど、この歌も、衆議判(シュギハン)の時、よろしきよし沙汰(サタ)ありて、
後にも、ことさらに感じ、仰(オホ)せ下されけるよし、家長(イヘナガ)が日記には書けり。


65 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/21(土) 00:24:54.88 ID:yu6QWIUAO
>>64
「最近の○○はダメだ」ってのは昔からなんだなー


66 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/21(土) 00:25:01.24 ID:diXUlC+20
歌の道は昔から変わらんとか言うけど、そんなわけないだろw
今読んでるリリックとか韻とかも昔と違うじゃん。昔のほうがかっこよかったし深みもあったっつーの。
梁塵秘抄の曲とかいいよ。昔の人がちょっとはいた台詞ですらマジ感動するわ。


原文
歌の道のみいにしへに変らぬなどいふ事もあれど、いさや。
今も詠(ヨ)みあへる同じ詞(コトバ)・歌枕も、昔の人の詠めるは、
さらに、同じものにあらず、やすく、すなほにして、姿もきよげに、あはれも深く見ゆ。
梁塵秘抄(リヤウジンヒセウ)の郢曲(エイキヨク)の言葉こそ、
また、あはれなる事は多かンめれ。昔の人は、たゞ、いかに言ひ捨てたることぐさも、
みな、いみじく聞ゆるにや。


71 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/21(土) 00:33:07.53 ID:diXUlC+20
【第15段】
プチ旅行が最近のマイブームです。
田舎とか練り歩いたら結構珍しいものを見かけるんだよ。これが。
都会にメール送って逐一のチェックをさせとくのもちょっと優越感ってやつ?
旅行とかしてたらそういうことに結構気づくんだよ。ほら、普段持ってるものもかっこよく見えて、
芸のあるやつとか美人とかが普段よりよく見えることとかあるじゃん?
寺とか神社で野宿とかもいいよ。


原文
*第十五段
いづくにもあれ、しばし旅立ちたるこそ、目さむる心地(ココチ)すれ。
そのわたり、こゝ・かしこ見ありき、ゐなかびたる所、山里などは、いと目慣れぬ事のみぞ多かる。
都へ便り求めて文やる、「その事、かの事、便宜(ビンギ)に忘るな」など言ひやるこそをかしけれ。
さやうの所にてこそ、万(ヨロヅ)に心づかひせらるれ。
持てる調度(テウド)まで、よきはよく、能(ノウ)ある人、かたちよき人も、常よりはをかしとこそ見ゆれ。
寺・社(ヤシロ)などに忍びて籠(コモ)りたるもをかし。


73 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[sage] 投稿日:2008/06/21(土) 00:35:42.58 ID:diXUlC+20
【第16段】
ライブ最高!
多いのはペット、ギター。ウッドベースとかは毎日聞きたいくらい。


原文
*第十六段
神楽(カグラ)こそ、なまめかしく、おもしろけれ。
おほかた、ものの音(ネ)には、笛・篳篥(ヒチリキ)。常に聞きたきは、琵琶(ビハ)・和琴(ワゴン)。


75 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/21(土) 00:37:58.13 ID:DRLjlkWvO
>>73
改変しすぎwwwwww


74 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[sage] 投稿日:2008/06/21(土) 00:37:30.68 ID:diXUlC+20
【第17段】
山奥の寺にでも篭ってニート生活でもしたらちょっとくらい心もあらわれるんじゃね?


*第十七段
山寺にかきこもりて、仏に仕(ツカ)うまつるこそ、つれづれもなく、心の濁りも清まる心地すれ。


78 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/21(土) 00:45:56.28 ID:diXUlC+20
【第18段】
おまえらちょっとくらい節約しろよ。賢いやつは贅沢しないっての。
唐の許由という人はとにかく貧乏、水も手ですくって飲んでるような人間で、
人からもらった入れ物でも、ある日木に引っ掛けたら風が吹いて音が鳴ったから、
うるせーの一言で捨てたそうだ。
で、また手で水をすくって飲むようになったと。
ウザいものがなくなってせいせいしたと思うよ。
孫晨は布団とか持ってなかったから、冬でも藁一束。夜かけて朝しまう。
唐の人はこれがすばらしいと思ったから記録してるんだろう。
うちんとこにはこの手の話とかまったくないだろ?


原文
*第十八段
人は、己(オノ)れをつゞまやかにし、奢(オゴ)りを退(シリソ)けて、
財(タカラ)を持たず、世を貪(ムサボ)らざらんぞ、いみじかるべき。
昔より、賢き人の富めるは稀(マレ)なり。
唐土(モロコシ)に許由(キヨイウ)といひける人は、さらに、身にしたがへる貯(タクハ)へもなくて、
水をも手して捧(ササ)げて飲みけるを見て、なりひさこといふ物を人の得させたりければ、
ある時、木の枝(エダ)に懸(カ)けたりけるが、風に吹かれて鳴りけるを、かしかましとて捨てつ。
また、手に掬(ムス)びてぞ水も飲みける。いかばかり、心のうち涼しかりけん。
孫晨(ソンシン)は、冬の月に衾(フスマ)なくて、藁一束(ワラヒトツカ)ありけるを、
夕べにはこれに臥(フ)し、朝(アシタ)には収(ヲサ)めけり。
唐土の人は、これをいみじと思へばこそ、記(シル)し止(トド)めて世にも伝へけめ、
これらの人は、語りも伝ふべからず。


82 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[sage] 投稿日:2008/06/21(土) 00:54:00.48 ID:diXUlC+20
【第19段】
季節の移り変わりがいい。
秋が一番いいとか言う奴は素人。今は春だよ、春。
鳥が鳴く、小春日和に草とかが生えだす、ちょっと霞んできて桜とかが咲く、
で、その頃くらいから雨が降り出してさっさと散ってしまう。あとは葉がつくまで待ちぼうけ。
花といえば橘なんてのも素人。やっぱ梅でしょ。あの香りだけでノスタルジー全開ですよ。
あと山吹とか藤、こういうのが通って言うんだよ。


原文
*第十九段
折節(ヲリフシ)の移り変るこそ、ものごとにあはれなれ。
「もののあはれは秋こそまされ」と人ごとに言ふめれど、それもさるものにて、
今一きは心も浮き立つものは、春のけしきにこそあンめれ。
鳥の声などもことの外(ホカ)に春めきて、のどやかなる日影に、墻根(カキネ)の草萌(モ)え出(イ)づるころより、
やゝ春ふかく、霞みわたりて、花もやうやうけしきだつほどこそあれ、
折(ヲリ)しも、雨・風うちつづきて、心あわたゝしく散り過ぎぬ、青葉になりゆくまで、
万(ヨロズ)に、ただ、心をのみぞ悩ます。花橘(ハナタチバナ)は名にこそ負(オ)へれ、
なほ、梅の匂ひにぞ、古(イニシヘ)の事も、立ちかへり恋(コヒ)しう思ひ出でらるゝ。
山吹(ヤマブキ)の清げに、藤のおぼつかなきさましたる、すべて、思ひ捨てがたきこと多し。


85 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/21(土) 01:04:33.79 ID:nItNXXOjO
何かにわかを非難するオタクみたいだなw
花に優越付けちゃってw


86 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/21(土) 01:07:03.83 ID:diXUlC+20
灌仏会とか祭とかで若葉が萌えるのが世の中のgdgdとかイロコイとかよりよっぽどいい。
誰かが言ってたけど確かにそうだ。
5月は菖蒲の花が咲く、田植えの隣で鴨が鳴くのを見たら落ち着くじゃん。
6月もきったない家に夕顔が咲いたり蚊取り線香たいたりしてるのもそれはそれでいい光景だよ?
あと六月祓とかね。
七夕はいいね。だんだん夜が寒くなってきて、雁が鳴き始める、萩の葉が色づく、
あと稲刈りなんかも秋だよね。台風が通り過ぎた日の朝とかも何かいい。
源氏物語とか枕草子の二番煎じ?大切なことなので二回言いました。いいだろ、別に。
ここは俺のチラシの裏なんだよ、いやなら見るなよクソ共がwwww


「灌仏(クワンブツ)の比(コロ)、祭(マツリ)の比(コロ)、若葉の、梢(コズヱ)涼しげに茂りゆくほどこそ、
世のあはれも、人の恋しさもまされ」と人の仰せられしこそ、げにさるものなれ。
五月(サツキ)、菖蒲(アヤメ)ふく比、早苗(サナヘ)とる比、水鶏(クヒナ)の叩(タタ)くなど、
心ぼそからぬかは。六月(ミナヅキ)の比、あやしき家に夕顔(ユウガホ)の白く見えて、
蚊遣火(カヤリビ)ふすぶるも、あはれなり。六月祓(ミナヅキバラヘ)、またをかし。
七夕(タナバタ)祭るこそなまめかしけれ。やうやう夜寒(ヨサム)になるほど、雁(カリ)鳴きてくる比、
萩(ハギ)の下葉(シタバ)色づくほど、早稲田 (ワサダ)刈り干すなど、とり集めたる事は、
秋のみぞ多かる。また、野分(ノワキ)の朝(アシタ)こそをかしけれ。
言ひつゞくれば、みな源氏物語・枕草子などにこと古(フ)りにたれど、同じ事、また、いまさらに言はじとにもあらず。
おぼしき事言はぬは腹ふくるゝわざなれば、筆にまかせつゝあぢきなきすさびにて、
かつ破(ヤ)り捨(ス)つべきものなれば、人の見るべきにもあらず。


87 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/21(土) 01:11:51.41 ID:DRLjlkWvO
おっさんの小言や愚痴や負け惜しみや説教も、センスのいい人間が書くと名作になるんだな


90 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/21(土) 01:25:30.56 ID:diXUlC+20
えーと、冬だよね。冬枯れとかはいいと思うよ。
こう、水際の草に紅葉が落ちてついでの霜まで降りちゃってる朝とか、
遣水から湯気が出てるのとかはいいね。年の暮れにみんながせわせわしてるのも見てて楽しい。
殺風景で誰も見ないような月がポツンと照ってるような20日すぎくらいの空なんかレアな景色でいいと思う。
御仏名とか荷前の使いが出る時なんかはちょっと身が引きしまる。
正月までは結構イベントも多くて、追儺から四方拝につながるコンボとかも面白い。
大晦日にたいまつをつけて夜中すぎに人ん家の扉を叩きながら走り回って、
マジウザいってレベルじゃないんだけど、明け方にはさすがに消えるから、逆にさびしくなるんだよね。
こういう迎え火的は行事は最近都会ではなくなったけど、田舎ではまだやってるってね。ざまぁwwwwww
ま、そんなこんなで年が明けて、って別に前の日と何もかわらないんだけど、気持ちだよ気持ち。
門松とか立ってたら新年だなーって思うじゃん。それがいいんだよ。


原文
さて、冬枯(フユガレ)のけしきこそ、秋にはをさをさ劣(オト)るまじけれ。
汀(ミギハ)の草に紅葉(モミヂ)の散り止(トドマ)りて、霜いと白うおける朝(アシタ)、
遣水(ヤリミヅ)より烟(ケブリ)の立つこそをかしけれ。年の暮れ果(ハ)てて、
人ごとに急ぎあへるころぞ、またなくあはれなる。すさまじきものにして見る人もなき月の寒けく澄める、
廿日(ハツカ)余りの空こそ、心ぼそきものなれ。御仏名(オブツミヤウ)、荷前(ノサキ)の使(ツカヒ)立つなどぞ、
あはれにやんごとなき。公事(クジ)ども繁(シゲ)く、春の急ぎにとり重ねて催(モヨホ)し行はるるさまぞ、いみじきや。
追儺(ツヰナ)より四方拝(シホウハイ)に続くこそ面白(オモシロ)けれ。晦日(ツゴモリ)の夜(ヨ)、
いたう闇(クラ)きに、松どもともして、夜半(ヨナカ)過ぐるまで、人の、門(カド)叩き、走りありきて、何事にかあらん、
ことことしくのゝしりて、足を空に惑(マド)ふが、暁(アカツキ)がたより、さすがに音なくなりぬるこそ、年の名残も心ぼそけれ。
亡(ナ)き人のくる夜とて魂(タマ)祭るわざは、このごろ都にはなきを、
東(アヅマ)のかたには、なほする事にてありしこそ、あはれなりしか。
かくて明けゆく空のけしき、昨日に変りたりとは見えねど、ひきかへめづらしき心地ぞする。
大路(オホチ)のさま、松立てわたして、はなやかにうれしげなるこそ、またあはれなれ。


92 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[sage] 投稿日:2008/06/21(土) 01:27:53.74 ID:diXUlC+20
【第20段】
何とかってのが「いつ死んでもいいけど、空の景色だけは名残惜しい」って。俺も俺も。


原文
*第二十段
某(ナニガシ)とかやいひし世捨人(ヨステビト)の、「この世のほだし持たらぬ身に、ただ、空の名残のみぞ惜しき」
と言ひしこそ、まことに、さも覚えぬべけれ。


95 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/21(土) 01:36:33.20 ID:diXUlC+20
【第21段】
何でもいいから月でも見ようぜ。
「月がいい」っていうのに「露のほうがいいんだぜ」とか言うバカもいるけど、今回は許してやる。人それぞれだしね。
月とか花とかは置いといて、風がいいって言う人は多いよね。
あと、岩清水っての?これも季節関係なしにいい。
「洞窟から湖へ、水は毎日流れる。メンヘラの気持ちとか関係なしに」とかいう詩を見たけど、これはいい。
?康も「山沢で遊んで魚とか鳥を見てるだけで幸せです」って言ってた。
人里離れたキレイなところはやっぱりいいわ。


原文
*第二十一段
万(ヨロヅ)のことは、月見るにこそ、慰むものなれ。ある人の、「月ばかり面白きものはあらじ」と言ひしに、
またひとり、「露(ツユ)こそなほあはれなれ」と争ひしこそ、をかしけれ。折にふれば、何かはあはれならざらん。
月・花はさらなり、風のみこそ、人に心はつくめれ。岩に砕けて清く流るゝ水のけしきこそ、時をも分かずめでたけれ。
「?(ゲン)・湘(シヤウ)、日夜(ニチヤ)、東(ヒンガシ)に流れ去る。愁人(シウジン)のために止まること少時(シバラク)もせず」
といへる詩を見侍りしこそ、あはれなりしか。
?康(ケイカウ)も、「山沢(サンタク)に遊びて、魚鳥(ギヨテウ)を見れば、心楽しぶ」と言へり。
人遠く、水草(ミヅクサ)清き所にさまよひありきたるばかり、心慰むことはあらじ。


100 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[sage] 投稿日:2008/06/21(土) 01:46:34.57 ID:diXUlC+20
【第22段】
何でも古いのがいい。今とか全然ダメ。匠の技とかも昔のほうが何となくいいもん。
文章も昔。ちょっとした言葉もいちいちかっこいい。
昔は「車をもたげよ」とか「火をかかげよ」とか言ってたのに、
今は何?「もてあげよ」とか「かきあげよ」とか、わざわざ丁寧に言うなっての。
で、「主殿寮の者は立て」でよかったのが今は「立って火を灯せ」ですよ。
そのくせ最勝講の御聴聞所のことは「御講の廬」なのに最近は「講廬」ですよ。ナメてんの?
そりゃじいさんばあさんが今の若いモンはっていうわwwww


原文
*第二十二段
何事も、古き世のみぞ慕(シタ)はしき。今様(イマヤウ)は、無下(ムゲ)にいやしくこそなりゆくめれ。
かの木(キ)の道の匠(タクミ)の造れる、うつくしき器物(ウツハモノ)も、古代の姿こそをかしと見ゆれ。
文(フミ)の詞(コトバ)などぞ、昔の反古(ホウゴ)どもはいみじき。たゞ言ふ言葉も、口をしうこそなりもてゆくなれ。
古(イニシヘ)は、「車もたげよ」、「火かゝげよ」とこそ言ひしを、今様(イマヤウ)の人は、「もてあげよ」、「かきあげよ」と言ふ。
「主殿寮人数立(トノモレウニンジユタ)て」と言ふべきを、「たちあかししろくせよ」と言ひ、
最勝講(サイシヤウカウ)の御聴聞所(ミチヤウモンジヨ)なるをば「御講(ゴカウ)の廬(ロ)」とこそ言ふを、
「講廬(カウロ)」と言ふ。口をしとぞ、古き人は仰せられし。



101 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/21(土) 01:47:04.68 ID:zetDVx/R0
兼好ってリスペクトすると一途だけどアンチ叩きまくってるよね


2 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/27(金) 17:03:08.68 ID:YgI7tKMt0
【第23段】こんなに腐っちまった世の中だけど、宮中の華やかなこと華やかなこと。
露殿、朝餉、何とか殿、何とか門とか聞いただけでうっとりできる。
ちょっとした小窓だの縁だの引き戸ですら俺にとっては聖地並に神々しい。
宿舎で「夜回りの準備」なんてシチュエーションも燃える。
御殿の中は、煌々と油が灯ってるわけですよ。
で、宿舎の中で管理職が机に向かって仕事をしている。
その部下はえらそうに見回り。寒い夜はそこらへんで雑魚寝。マジアツいシーンだぜ。
「賢所の鈴の音は、俺の心を奮わせるぜ」なんて徳大寺の太政大臣も言ってたよね。


原文
衰へたる末の世とはいへど、猶九重の神さびたる有樣こそ、世づかずめでたきものなれ。
露臺(ろだい)、朝餉(あさがれい)、何殿(でん)、何門などは、いみじとも聞ゆべし。
怪しの所にもありぬべき小蔀(こじとみ)、小板敷、高遣戸なども、めでたくこそ聞ゆれ。
「陣に夜の設けせよ」といふこそいみじけれ。夜の御殿(おとゞ)のをば、
「掻燈(かいともし)疾(と)うよ」などいふ、まためでたし。
上卿(しゃうけい)の、陣にて事行へる樣は更なり、諸司の下人どもの、
したり顔になれたるもをかし。さばかり寒き終夜(よもすがら)、
此處彼處に睡(ねぶ)り居たるこそをかしけれ。
「内侍所の御鈴の音は、めでたく優なるものなり」とぞ、徳大寺の太政大臣は仰せられける。


4 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/27(金) 17:17:34.77 ID:YgI7tKMt0
【第24段】
皇女が野宮で斎戒するところが超!絶!萌・え!ってやつだな。
経のことは染め紙、仏さんのことは中子って言い換えてるみたいだけど、いいじゃない、こういうの。
もう、ほんと神社って場所はいちいちかっこいい。
まず周りの森。このさびれた感じが違う。かっこいい。で、神社の周りを玉垣で囲ってる。
榊の木には木綿をかけてある。これがわからないやつはダメだね。
俺のお勧めスポット。伊勢、賀茂、春日、平野、住吉、三輪、貴船、吉田、大原野、 松尾、梅宮。
こんなとこかな。マジおすすめ。


原文
齋王の、野の宮におはします有樣こそ、やさしく、面白き事の限りとは覺えしか。
「經」・「佛」など忌みて、「中子(なかご)」、「染紙(そめがみ)」などいふなるもをかし。
すべて神の社こそ、捨て難く、なまめかしきものなれや。
ものふりたる森の景色もたゞならぬに、玉垣しわたして、
榊木に木綿(ゆふ)かけたるなど、いみじからぬかは。
殊にをかしきは、伊勢・賀茂・春日・平野・住吉・三輪・貴船(きぶね)・
吉田・大原野・松尾(まつのを)・梅宮(うめのみや)。


7 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[sage] 投稿日:2008/06/27(金) 18:09:30.22 ID:YgI7tKMt0
【第25段】
飛鳥川の歌じゃないけど、時間は過ぎて過去は消え、享楽悲哀は交互にやってくる。
栄えた場所もいずれは荒地、家は一緒でも人は変わる。
桃の木に話しかけても答えてはくれず、誰と話そう昔話。
いまだ見ぬノスタルジックな遺跡たちが、俺の心を突き刺してくれるぜ。
ということで、京極殿とか法成寺なんか見てたら、そういう時代の移り変わりってやつが見えるわけですよ。
道長卿が末代まで栄えるようにってあれこれ手を回してこれですよ。まさに予想外。
大門とか金堂とかは最近まであったみたいだけど、南門は正和の頃に火事で焼けたって。
金堂は知らんうちに壊れて直すあてもなし。
阿弥陀堂くらいかな、まともに残ってるの。仏さんが9体ほど並んでるくらい。
行成大納言の書いた額とか、兼行が書いた扉なんかは結構いい感じで残ってるんだけど、
なんかかえってさびしいよね。法華堂もまだ残ってるけど、まあ、いずれ消えるでしょw
こういう名所でもなけりゃ跡が残ってても何の跡かもさっぱりわからん。
ま、死んだ後のことなんか考えたってしょうがないから今を生きようぜってこった。


原文
飛鳥川の淵瀬常ならぬ世にしあれば、時うつり、事去り、樂しび・悲しび行きかひて、
花やかなりし邊(あたり)も、人すまぬ野らとなり、變らぬ住家(すみか)は人あらたまりぬ。
桃李物いはねば、誰と共にか昔を語らん。まして見ぬ古のやんごとなかりけむ跡のみぞ、
いとはかなき。
京極殿・法成寺(ほふじゃうじ)など見るこそ、志留まり事變じにける樣は哀れなれ。
御堂殿の作り磨かせ給ひて、莊園多く寄せられ、我が御族のみ、御門の御後見、
世のかためにて、行末までとおぼしおきし時、いかならむ世にも、
かばかりあせ果てむとはおぼしてんや。大門(だいもん)・金堂など近くまでありしかど、
正和のころ、南門は燒けぬ。金堂はその後たふれ伏したるままにて、
取りたつるわざもなし。無量壽院ばかりぞ、そのかたとて殘りたる。丈六の佛九體、
いと尊くて竝びおはします。行成(ぎゃうぜい)大納言の額、兼行が書ける扉、
なほあざやかに見ゆるぞあはれなる。法華堂なども、いまだ侍るめり。これも亦、
いつまでかあらん。かばかりの名殘だになき所々は、おのづから礎(いしずえ)ばかり殘るもあれど、
さだかに知れる人もなし。されば、萬に見ざらむ世までを思ひ掟てんこそ、はかなかるべけれ。


8 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/27(金) 18:32:01.60 ID:YgI7tKMt0
【第26段】
風も吹いてないのに散る花じゃないけど、人の心の移り変わりってやつを考えてたら
あの子の言葉一つ一つからだんだん忘れてしまうってのも、ある意味死別より泣ける。
白い糸を見たらいずれ白くなくなるんだろうなと思うし、分かれ道を見たらここで別れた
人もいるんだなと思う。ノスタルジーってやつだな。堀川院の歌であったな。
昔通った女の家が、何か荒れ果ててるぜ
ハードボイルドってやつだぜ。わっかるかなぁ。


原文
風も吹きあへず移ろふ人の心の花に、馴れにし年月をおもへば、あはれと聞きし言の葉ごとに
忘れぬものから、我が世の外になり行くならひこそ、亡き人の別れよりも勝りて悲しきものなれ。
されば白き絲の染まむ事を悲しび、道の衢(ちまた)のわかれむ事を歎く人もありけんかし。
堀河院(ほりかはのいん)の百首の歌の中に、
 むかし見し妹が垣根は荒れにけり 茅花(つばな)まじりの菫のみして
さびしきけしき、さること侍りけむ。


9 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[sage] 投稿日:2008/06/27(金) 18:38:11.27 ID:YgI7tKMt0
【第27段】
天皇譲位の儀式で、3種の神器が渡されるのを見たら、マジで泣きたくなってくる。
花園上皇が譲位した年の春に詠んだらしい歌
 用事がないからもう誰もこなくなっちゃった
忙しいのはわかるけど、ちょっとくらい行ってやれよクズどもwwwwwwwwwwwwwwww


原文
御國ゆづりの節會行はれて、劒(けん)・璽・内侍所わたし奉らるゝほどこそ、限りなう心ぼそけれ。
新院のおりゐさせ給ひての春、よませ給ひけるとかや、
 殿守の伴のみやつこ(御奴)よそにして はらはぬ庭に花ぞ散りしく
今の世のことしげきにまぎれて、院にはまゐる人もなきぞ寂しげなる。
かゝるをりにぞ人の心もあらはれぬべき。


10 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[sage] 投稿日:2008/06/27(金) 18:46:40.83 ID:YgI7tKMt0
【第28段】
天皇が喪に服してるときは暗い。さすがの俺もめったなことは言えない。
仮御所の様子。床板を下げる。御簾は葦製。飾りも質素。調度品も質素。
周りの人の服装もみんな質素。さすが天皇陛下だぜ。


原文
諒闇(まことにくらし=天子の喪)の年ばかり哀れなる事はあらじ。
倚廬(いろ)の御所のさまなど、板敷をさげ、葦の御簾(みす)をかけて、
布の帽額(もこう)あらあらしく、御調度ども疎(おろそ)かに、みな人の裝束(さうぞく)、
太刀、平緒まで、異樣なるぞゆゝしき。


12 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/27(金) 18:58:28.12 ID:YgI7tKMt0
【第29段】
まあ、俺にもね、激しい恋ってやつがあったんだよ。
人が寝てる時間にさ、眠れなくなったらその手のやつを入れてる箱を取り出してね、
もういらないからって捨てようとかするわけだよ。そしたら、もう死んだんだけどさ、
昔の女が遊んだ後の紙とかが出てくるわけ。もう涙目。
だって生きてる人の手紙だって、読み返したらあんなことあっただのこんなことあっただの
思い出すじゃん。ノスタルジーに浸るじゃん。
そういうことで、この手の形見は捨てずにちゃんととってます。


原文
靜かに思へば、よろづ過ぎにしかたの戀しさのみぞせむ方なき。
人しづまりて後、永き夜のすさびに、何となき具足とりしたゝめ、
殘し置かじと思ふ反古など破りすつる中(うち)に、亡き人の手習ひ、
繪かきすさびたる見出でたるこそ、たゞその折の心地すれ。このごろある人の文だに、
久しくなりて、いかなる折り、いつの年なりけむと思ふは、あはれなるぞかし。
手なれし具足なども、心もなくてかはらず久しき、いと悲し。


13 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[sage] 投稿日:2008/06/27(金) 19:29:55.50 ID:YgI7tKMt0
【第30段】
人が死んだ時は、何かいろんな意味で悲しい。
四十九日の間は、山奥の寺なんかに大勢集まって法事だのなんだのやるんだけど、
ほんとバタバタ。いつの間にか終わってるって感じ。で、終わったらグッタリ。
口を開くのもいやだから荷物をまとめてさっさと帰るんだけど、帰った後の方が実感わくよね。
それを「縁起が悪いからそういうことは早く忘れよう」だって。何言ってんの? バカなの?
まあそうは言っても、時間が経ってさっぱり忘れるとかはないんだけど、さすがに去る者は
日々疎遠になるってやつで、葬式のときみたいな気持ちはないよね。何か笑い話とかも出てきたりしてね。
遺体は山奥だから法事とかあったら行くけど、そのうち苔なんか生えちゃっていい感じに荒れるのな。
で、そのうち誰も行かなくなる。っつーか行く人もそのうち死んじゃう。
直接関係ない人が聞いたって別に何とも思わないだろうから放置。
かっこいい言い方したら、毎年咲く花だけが死んだ人を弔うなんてことなんだけど、
実際は風雨にさらされるだけさらされて、いずれ更地になって田んぼか何かになるんだろうね。


原文
人の亡き跡ばかり悲しきはなし。中陰(ちゅういん)の程、山里などに移ろひて、
便りあしく狹き所にあまたあひ居て、後のわざども營みあへる、心あわたゞし。
日數(ひかず)の早く過ぐるほどぞ、ものにも似ぬ。はての日は、
いと情なう、互にいふ事もなく、我かしこげに物ひきしたため、ちりち゛りに行きあかれぬ。
もとの住家にかへりてぞ、さらに悲しきことは多かるべき。
「しかじかの事は、あなかしこ、跡のため忌むなる事ぞ」などいへるこそ、
かばかりの中に何かはと、人の心はなほうたて覺ゆれ。
年月經ても、露(つゆ)忘るゝにはあらねど、去るものは日々に疎しといへる事なれば、
さはいへど、その際(きは)ばかりは覺えぬにや、よしなし事いひてうちも笑ひぬ。
骸(から)は、けうとき山の中にをさめて、さるべき日ばかり詣でつゝ見れば、
程なく卒都婆も苔むし、木の葉ふり埋みて、夕の嵐、夜の月のみぞ、言問ふよすがなりける。
思ひ出でて忍ぶ人あらむほどこそあらめ、そも又ほどなくうせて、
聞き傳ふるばかりの末々は、哀れとやは思ふ。さるは、跡とふわざも絶えぬれば、
いづれの人と名をだに知らず、年々の春の草のみぞ、心あらむ人は哀れと見るべきを、
はては、嵐にむせびし松も、千年を待たで薪にくだかれ、
ふるき墳(つか)はすかれて田となりぬ。その形(かた)だになくなりぬるぞ悲しき。


15 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[sage] 投稿日:2008/06/27(金) 19:35:00.66 ID:YgI7tKMt0
【第31段】
雪がめっちゃ降った日に用事があって手紙を出したのね。で、その時に雪のことを書いてなかったので
「雪のことくらい一筆書いとけ。そんな気の利かないやつのお願いなんか聞きませんよ、バーカ」
だって。もう死んだ人だしね、久しぶりに思い出したわ。


原文
雪の面白う降りたりし朝、人の許(がり)いふべき事ありて文をやるとて、雪のことは何ともいはざりし返事に、
「この雪いかゞ見ると、一筆のたまはせぬ程の、ひがひがしからん人の仰せらるゝ事、
聞き入るべきかは、かへすがえす口惜しき御心なり」と言ひたりしこそ、をかしかりしか。
今は亡き人なれば、かばかりの事も忘れがたし。


17 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/27(金) 19:51:14.84 ID:YgI7tKMt0
【第32段】
9月20日くらいだったかな、ある人に誘われて明け方まで月を見ながらブラブラしてたんだよね。
で、その人が寄りたいところがあるって言うもんだから、一緒についていったのね。
そこがちょっと荒れ気味の庭に夜露がしたたっててさ、いい感じのお香が立ってんの。
もうその時点で俺のハートをわしづかみってやつ?
頃合をみて帰ることになったんだけど、俺だけちょっと物陰から見てたんだよ。
そしたらそこの主人が妻戸をあけてまた月を見てんの。もうねwwどストライクwwww
お客が帰ったからってさっさと戸締りするそこらへんのカスどもとはえらい違いですよwww
だって普通帰った客がこんなストーキングまがいのことしてるとか思わないじゃんwwwww
いや、マジで感動したよ。その人はもう死んだって聞いたけどさ。あーあ。


原文
九月(ながづき)二十日の頃、ある人に誘はれ奉りて、明くるまで月見歩く事侍りしに、
思し出づる所ありて、案内(あない)せさせて入り給ひぬ。荒れたる庭の露しげきに、
わざとならぬ匂ひしめやかにうち薫りて、忍びたるけはひ、いと物あはれなり。
よきほどにて出で給ひぬれど、猶ことざまの優に覺えて、物のかくれよりしばし見居たるに、
妻戸を今少しおしあけて、月見るけしきなり。やがてかけ籠(こも)らましかば、口惜しからまし。
あとまで見る人ありとは如何でか知らん。かやうの事は、たゞ朝夕の心づかひによるべし。
その人、程なく亡せにけりと聞き侍りし。


18 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[sage] 投稿日:2008/06/27(金) 20:00:02.40 ID:YgI7tKMt0
【第33段】
冷泉の内裏を作ったときに、専門職に見せたって。そしたらおkってみんな言うので、
そのままにしてたんだけど、遷都の日も近くなってきたときに玄輝門院が
「閑院殿のくし型の穴って丸くて縁なんかなかったわよ?」
だってwwwwwwwwwwwwww
新内裏は葉が入って木で縁つけてたからやり直しwwwwwwwうはwwwwww


原文
今の内裏作り出(いだ)されて、有職の人々に見せられけるに、いづくも難なしとて、
すでに遷幸の日近くなりけるに、玄輝門院の御覽じて、
「閑院殿の櫛形の穴(壁に櫛形の穴をつけて通路としたもの)は、まろく、縁もなくてぞありし。」
と仰せられける、いみじかりけり。
これは葉(よう)の入りて、木にて縁をしたりければ、誤りにて直されにけり。


1 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/28(土) 18:55:43.81 ID:XQ+bdVlA0
【第34段】
甲香というのは、ほら貝みたいなんだけど、ちょっと小さい。で、口が細長い貝の蓋だって。
武蔵の国、金沢の海岸にいるんだけど、地元では「へなたり」っていうんだってさ。


原文
甲香(かひこう)は、ほら貝の樣(やう)なるが、小さくて、口の程の、
細長にして出でたる貝の蓋なり。武藏の國金澤といふ浦にありしを、
所の者は「へなたりと申し侍る」とぞ言ひし。


98 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/21(土) 01:42:38.12 ID:uSW3a5T0O
だが>>1は第何段までするつもりなのだ?


102 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[sage] 投稿日:2008/06/21(土) 01:47:55.83 ID:diXUlC+20
そろそろしんどくなってきた
全部で128段あるけど、ちょっとムリかも


107 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[sage] 投稿日:2008/06/21(土) 01:55:34.76 ID:diXUlC+20
おもしろそうなとこだけ抜粋してみるわ

【第35段】
下手くそが駄文を書き散らすのは別にいい。下手くそが誰かに書かせるのは果てしなくウザい。


原文
*第三十五段
手のわろき人の、はばからず、文(フミ)書き散(チ)らすは、よし。見ぐるしとて、人に書かするは、うるさし。


7 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/28(土) 19:04:42.93 ID:XQ+bdVlA0
【第36段】
しばらく行かなかった女がいたのね。まあ、俺ってやつは甲斐性なしだからさ。
恨んでるだろうなと思ってたら、女のほうから「お手伝いを一人よこしてくれないかしら」
だって。こういうのうれしいよね。
「それマジでいい女じゃね?」って人は言う。当たり前だろ。


原文
久しく訪れぬ頃、いかばかり恨むらむと、我が怠り思ひ知られて、言葉なき心地するに、
女のかたより、『仕丁(じちゃう)やある、一人』なんどいひおこせたるこそ、ありがたくうれしけれ。
「さる心ざましたる人ぞよき」と、人の申し侍りし、さもあるべき事なり。


12 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/28(土) 19:09:53.59 ID:XQ+bdVlA0
【第37段】
なあなあで親しくやってるやつでも、何かあったらちゃんと襟を正す。
別にそんなのいいじゃんと言う人もいるけど、俺はかっこいいと思う。そういうの。
でもそれだったらいきなり馴れ馴れしいやつってのも、ありと言えばありだよね。


原文
朝夕へだてなく馴れたる人の、ともある時に、我に心をおき、ひきつくろへる樣に見ゆるこそ、
今更かくやはなどいふ人もありぬべけれど、猶げにげにしく、よき人かなとぞ覺ゆる。
疎き人の、うちとけたる事などいひたる、また、よしと思ひつきぬべし。


19 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[sage] 投稿日:2008/06/28(土) 20:17:01.41 ID:XQ+bdVlA0
【第38段】
出世競争に腐心してたら人生つまんないよ。
金持ってたら守らないといけなくなる。ろくでもないことばっかり引き寄せる。
いくら金があっても死んだら無駄。ってか邪魔。喜ぶのはバカばっかり。
大きな車とか肥えた馬とか金の飾りとか全部無駄。持ってるやつはバカ。
全部捨てたほうがいいよ。マジで。金がほしいとか言うやつはバカなんだから。
名前を残そうってのはありだよね。でも役職が高いとか身分が高いとかは論外ね。
そんなもん運がよけりゃバカでもできるじゃん。賢いやつは出世とか興味ないんだから。
役職とか望むのもバカ。
頭、それとハート。これだよ、これ。でもよく考えたらそういうのって、結局人の評価だよね。
評価する人とかそのうち死ぬじゃん。後から聞いた人だっていずれ死ぬじゃん。
それ考えたら何か評価とかどうでもよくなるよね。死んだら何にもならんし。
というわけで評価を望むのもバカ決定。
まあ、あえて勉強しようというわからずやに言おう。知恵のついたカスがうそをつく。
才能は煩悩の始まり。言っとくけど、人から聞いたとか勉強しましたとかは知恵とは違うから。
じゃあ知恵って何かって? 知らねーよ、そんなこと^^じゃあ善が何か言ってみろっての。
悟ったやつってのは知恵もない、徳もない、功績とか名声とかなーんもなし。
こんなのが後世に残るわけないだろ。別に何かを守ってるわけでもなし。
っていうかそういう次元を超えちゃってる。そういうのがすごいってもんなんだよ。
人生迷いながら出世を望むなんてのはそういうこった。くだらねーからやめとけよ^^


20 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[sage] 投稿日:2008/06/28(土) 20:18:04.56 ID:XQ+bdVlA0
原文
名利に使はれて、靜かなる暇なく、一生を苦しむるこそ、愚かなれ。
財(たから)多ければ身を守るにまどし。害を買ひ、煩ひを招く媒(なかだち)なり。
身の後には金(こがね)をして北斗を支ふとも、人の爲にぞ煩はるべき。
愚かなる人の目を喜ばしむる樂しび、又あぢきなし。大きなる車、肥えたる馬、
金玉の飾りも、心あらん人はうたて愚かなりとぞ見るべき。金は山にすて、
玉は淵になぐべし。利に惑ふは、すぐれて愚かなる人なり。
埋もれぬ名をながき世に殘さむこそ、あらまほしかるべけれ。位高く、やんごとなきをしも、
勝れたる人とやはいふべき。愚かに拙き人も、家に生れ時にあへば、高き位にのぼり、
驕りを極むるもあり。いみじかりし賢人・聖人、みづから卑しき位にをり、
時に遇はずして止(や)みぬる、また多し。偏に高き官・位(つかさ・くらゐ)を望むも、次に愚かなり。
智惠と心とこそ、世に勝れたる譽(ほまれ)も殘さまほしきを、つらつら思へば、
譽を愛するは人の聞きを喜ぶなり。譽むる人、譏(そし)る人、共に世に留まらず、
傳へ聞かん人またまた速かに去るべし。誰をか恥ぢ、誰にか知られんことを願はん。
譽はまた毀(そしり)の本(もと)なり。身の後の名、殘りて更に益なし。これを願ふも次に愚かなり。
たゞし、強ひて智をもとめ、賢をねがふ人の爲に言はば、智惠出でては僞(いつはり)あり。
才能は煩惱の増長せるなり。傳へて聞き、學びて知るは、まことの智にあらず。
いかなるをか智といふべき。可・不可は一條なり。いかなるをか善といふ。まことの人は、
智もなく、徳もなく、功もなく、名もなし。誰か知り、誰か傳へむ。これ、徳をかくし、
愚を守るにあらず。もとより賢愚・得失のさかひに居らざればなり。
迷ひの心をもちて名利の要を求むるに、かくの如し。萬事はみな非なり。
いふに足らず、願ふに足らず。


109 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/21(土) 02:03:36.75 ID:diXUlC+20
【第39段】
誰かが法然上人に「念仏を唱えてたら眠くなってついついサボっちゃいます。どうしましょう」
と聞いたら、「起きてるときに唱えたら?」と答えたって。深いよwwwwwww
あと、「極楽に行くのも確実と思えば確実、不確定と思えば不確定」とも言ったそうで。これも深いwwwwwwwww
あとは「疑ってても結局極楽には行くから」って。ちょwwwマジパネェwwww


原文
*第三十九段
或人(アルヒト)、法然(ホフネン)上人に、「念仏の時、睡(ネブリ)にをかされて、行(ギヤウ)を怠り侍る事、
いかゞして、この障(サハ)りを止(ヤ) め侍らん」と申しければ、「目の醒(サ)めたらんほど、念仏し給へ」
と答へられたりける、いと尊(タフト)かりけり。
また、「往生(ワウジャウ)は、一定(イチヂヤウ)と思へば一定、不定(フヂヤウ)と思へば不定なり」と言はれけり。これも尊し。
また、「疑ひながらも、念仏すれば、往生す」とも言はれけり。これもまた尊し。


22 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/28(土) 20:21:01.68 ID:XQ+bdVlA0
【第40段】
因幡の国に何とか入道っていう女がめちゃめちゃかわいいってうわさだったんだけど、
栗ばっかり食ってご飯を食べない偏食家だったからお嫁にいけませんでしたって。ちゃんちゃん^^


原文
因幡(いなば)の國に、何の入道とかやいふものの女、かたちよしと聞きて、
人あまたいひわたりけれども、この娘、ただ栗をのみ食ひて、更に米(よね)のたぐひを食はざりければ、
「かゝる異樣のもの、人に見(まみ)ゆべきにあらず」とて、親ゆるさざりけり


24 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/28(土) 20:32:24.03 ID:XQ+bdVlA0
【第41段】
5月5日、賀茂の競馬を見に行ったんだけど、めっちゃ混んでたのね。柵のとことかもう人だかり。
ふと見たら、樗の木に登って見てる法師がいたんだよ。何か眠そうでフラフラしてんの。
それを見てた人が「あいつバカじゃねーのwwwwwwww」って言うもんだから、俺はこう言ってやったのさ。
「こんな競馬を見に来てる俺らも一緒だっつーのwwwwwww」
そしたら前にいたやつが「間違いねぇwwwwwwwwwwwwwwww」って、何か場所譲ってもらっちゃった^^
こんくらいのことは誰でも考えてるんだろうけどさ、要は発想だな。ま、人間木とか石ころとかは違うってこった。

原文
五月(さつき)五日、賀茂の競馬(くらべうま)を見侍りしに、車の前に雜人(ざふにん)たち
隔てて見えざりしかば、各々(おのおの)下りて、埒(らち)の際によりたれど、
殊に人多く立ちこみて、分け入りぬべき様もなし。
かゝる折に、向ひなる楝(あふち)の木に、法師の登りて、木の股についゐて、物見るあり。
取りつきながら、いたう眠(ねぶ)りて、堕ちぬべき時に目を覺す事度々なり。
これを見る人嘲りあざみて、「世のしれ物かな。かく危(あやふ)き枝の上にて、
安き心ありて眠るらんよ」と言ふに、わが心にふと思ひし儘に、
「我等が生死(しゃうじ)の到來、唯今にもやあらむ。それを忘れて、物見て日を暮す、
愚かなる事は猶まさりたるものを」と言ひたれば、前なる人ども、
「誠に然こそ候ひけれ。尤も愚かに候」と言ひて、皆後を見返りて、「こゝへいらせ給へ」
とて、所を去りて、呼び入れはべりにき。
かほどの理、誰かは思ひよらざらむなれども、折からの、思ひかけぬ心地して、
胸にあたりけるにや。人、木石にあらねば、時にとりて、物に感ずる事なきにあらず。


26 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/28(土) 20:42:59.31 ID:XQ+bdVlA0
【第42段】
唐橋の中将って人の子供で、行雅僧都って先生がいたんだよ。
何かのぼせる病気を持ってて、年食ったら鼻がふさがって息もできなくなったのな。
あれこれ治療してみたけどぜんぜん効果なし。そのうち目からデコから腫れまくって
何も見えなくなって、もう二の舞でつけるお面みたいになっちゃって、めっちゃ怖いの。
もう鬼みたい。目とか頭の上にいって鼻もデコのあたりにいっちゃって、
仲間内にも見られた顔じゃなくなったからって引きこもり。そのうち死んじゃった。
こんな病気もあるんだよ。気をつけろよ。


原文
唐橋の中將といふ人の子に、行雅僧都とて、教相の人の師する僧ありけり。
氣(け)のあがる病ありて、年のやうやうたくるほどに、鼻の中ふたがりて、息も出でがたかりければ、
さまざまにつくろひけれど、煩はしくなりて、目・眉・額なども腫れまどひて、うち覆ひければ、
物も見えず、二の舞の面の樣に見えけるが、たゞ恐ろしく、鬼の顔になりて、
目は頂の方につき、額の程鼻になりなどして、後は坊の内の人にも見えず籠り居て、
年久しくありて、猶煩はしくなりて死ににけり。
かゝる病もある事にこそありけれ。


28 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/28(土) 20:55:06.56 ID:XQ+bdVlA0
【第43段】
春の暮れ、のどかな空、ちょっと見つけたおしゃれな一軒屋。古びた樹木に萎れた花。
せっかくなのでちょっと入ってみました^^
南側は全部しまってたので(残念!)、東側に回ったらなんと妻戸が開いてました。
簾が破れてたので、こっそり拝見^^;
何と俺好み(おおっと!)の二十歳くらいの男の子が机に座ってのんびり本を読んでいました。
今度突撃しちゃおうかな^^


原文
春の暮つかた、のどやかに艷なる空に、賤しからぬ家の、奧深く、木立ものふりて、
庭に散りしをれたる花、見過しがたきを、さし入りて見れば、南面(みなみおもて)の格子、
皆下してさびしげなるに、東にむきて妻戸のよきほどに開(あ)きたる、
御簾(みす)のやぶれより見れば、かたち清げなる男(おのこ)の、
年二十ばかりにて、うちとけたれど、心にくくのどやかなる樣して、
机の上に書をくりひろげて見居たり。
いかなる人なりけむ、たづね聞かまほし。


32 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/28(土) 21:17:45.83 ID:XQ+bdVlA0
【第44段】
古びた竹の網戸からひょっこり出てきた若い男。見えにくかったけどたぶんキレイ系の狩衣と紫の指貫を着てたと思う。
小っちゃい子を連れて、ずっと奥まで続いてるあぜ道を露に濡れつつ歩いてたんだよ。
で、笛なんか吹いてたんだけど、こんな片田舎で聞いてる人もいないだろうなと思ったら
急に行き先が知りたくなってプチストーキング^^
笛の音がやんだとこは、山の中の大きな屋敷。榻にかけてる車も、都に比べたら何か目立ってる感じ。
下人に聞いたら「何とか宮様がいるからたぶん法事かと」だって。
見てたら御堂の方に法師たちが集まってた。夜風に吹かれてやってくるお香のにおいってのはやっぱりいいね。
あと寝殿から御堂に歩いてる女官の残り香ね。山奥のクセに気の利いたシチュエーションじゃない。
気ままに伸びてる秋の草、露がしたたって、虫の音、遣水の音ものんびり。雲の流れは都より早いかな。
月が晴れたり曇ったり、この辺はちょっとせわしかったな。


原文
怪しの竹の編戸の内より、いと若き男の、月影に色合定かならねど、つやゝかなる狩衣に、
濃き指貫、いとゆゑづきたるさまにて、さゝやかなる童一人を具して、遙かなる田の中の細道を、
稻葉の露にそぼちつゝ分け行くほど、笛をえならず吹きすさびたる、あはれと聞き知るべき人もあらじと思ふに、
行かむかた知らまほしくて、見送りつゝ行けば、笛を吹きやみて、山の際に總門のあるうちに入りぬ。
榻にたてたる車の見ゆるも、都よりは目とまる心地して、下人に問へば、
「しかじかの宮のおはします頃にて、御佛事などさぶらふにや」と言ふ。
御堂の方に法師ども參りたり。夜寒の風にさそはれくる空薫物(そらだきもの)の匂ひも、
身にしむ心地す。寢殿より御堂の廊にかよふ女房の追風用意など、人目なき山里ともいはず、心遣ひしたり。
心のまゝにしげれる秋の野らは、おきあまる露に埋もれて、蟲の音かごとがましく、遣水の音のどやかなり。
都の空よりは、雲のゆききも早き心地して、月の晴れ曇ること定めがたし。


31 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[sage] 投稿日:2008/06/28(土) 20:57:27.50 ID:/omcD3Wt0
>>1って文学部とかそんなんなの?


33 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/28(土) 21:18:15.20 ID:XQ+bdVlA0
>>31
全然関係ない人です。だから古典の知識とかもないから^^


34 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[sage] 投稿日:2008/06/28(土) 21:19:38.23 ID:/omcD3Wt0
>>33
なのになんで現代語訳できるんだw


38 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[sage] 投稿日:2008/06/28(土) 21:24:53.49 ID:XQ+bdVlA0
【第45段】
藤原公世の兄貴で良覺僧正ってのがいたんだって。キレやすさが半端ねー感じ。
寺のそばに榎の木があったからって「榎木僧正」ってあだ名をつけられたんだけど、そこでブチ切れ。
なめんなよって、その木を切り倒してしまった。で、根っこが残ってたから今度は「切杭の僧正」だって。
で、またマジギレ。根っこを掘って捨てたんだけど、そこに大きな堀が残ったから今度は「堀池の僧正」だってさwww


原文
公世(きんよ)の二位の兄に、良覺僧正と聞えしは極めて腹惡しき人なりけり。
坊の傍に大きなる榎の木のありければ、人、「榎木僧正(えのきのそうじょう)」
とぞ言ひける。この名然るべからずとて、かの木を切られにけり。その根のありければ、
「切杭(きりくひ)の僧正」と言ひけり。愈(いよいよ)腹立ちて、切杭を掘りすてたりければ、
その跡大きなる堀にてありければ、「堀池(ほりけ)の僧正」とぞいひける。


42 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/28(土) 21:33:27.35 ID:XQ+bdVlA0
【第46段】
柳原らへんに強盗法印って人がいたんだよね。
強盗に合いまくってたからこんな名前なんだってwwwwwwwwwwwwwwww


原文
柳原の邊(ほとり)に、強盜法印(ごうとうほういん)と号する僧ありけり。
度々(たびたび)強盜にあひたる故に、この名をつけにけるとぞ。


113 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[sage] 投稿日:2008/06/21(土) 02:30:03.95 ID:diXUlC+20
【第47段】
ある人がババァの尼さんを連れて清水寺に行ったって。
で、そのばあさんが途中でくしゃみも出てないのにくしゅんくしゅん言ってるから
「何言ってんのwww」って聞いたら、ガン無視でまた言い続ける。
何回か聞いたらいらだたしげに「くしゃみをするときはくしゅんって言わないと死んでしまうんだよ。
今比叡山に育ててるぼっちゃんがいるんだけど、ほら、今くしゃみしてるかもしれないだろう。
だから代わりに言ってるんだよ」と言ってたそうで。
ありえねぇってwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww


原文
*第四十七段
或人(アルヒト)、清水(キヨミヅ)へ参りけるに、老いたる尼の行き連れたりけるが、
道すがら、「くさめくさめ」と言ひもて行きければ、「尼御前(アマゴゼ)、何事をかくはのたまふぞ」と問ひけれども、
応(イラ)へもせず、なほ言ひ止(ヤ)まざりけるを、度々問はれて、うち腹立ちて
「やゝ。鼻(ハナ)ひたる時、かくまじなはねば死ぬるなりと申せば、養君(ヤシナヒギミ)の、
比叡山(ヒエノヤマ)に児(チゴ)にておはしますが、たゞ今もや鼻ひ給はんと思へば、かく申すぞかし」と言ひけり。
有り難き志(ココロザシ)なりけんかし。


47 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/28(土) 21:39:39.50 ID:XQ+bdVlA0
【第48段】
光親卿が後鳥羽院の最勝講奉行をしてたときに、院から食事に誘われたって。
で、食い散らかしたお膳を御簾の中に差し入れて出て行ったって。
女官は激怒「汚ねーなおい、誰が片付けると思ってんだゴラ」とか言ってたんだけど、
院は「あいつはわかってる」と感心してたって。


原文
光親卿、院の最勝講奉行してさぶらひけるを、御前へ召されて、供御をいだされて食はせられけり。
さて食ひ散らしたる衝重(ついがさね)を、御簾の中へさし入れてまかり出でにけり。
女房、「あな汚な。誰に取れとてか」など申しあはれければ、
「有職のふるまひ、やんごとなき事なり」とかへすがえす感ぜさせ給ひけるとぞ。


49 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/28(土) 21:40:56.25 ID:jHONagrF0
女官こええよwww


52 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/28(土) 21:52:51.76 ID:XQ+bdVlA0
【第49段】
年食ってから修行しようとか考えてんなよクズ共^^古い墓はだいたい早死にしたやつばっかりだろ。
いきなり病気にかかる。で、ぽっくり逝く。その時になって初めて気づくんだよな。バカだから。
その場ですることを先延ばし、後からでいいことを急いでやる。バカな人生過ごしてるやつにありがちだよね。
いいか、人間いつ死ぬかわからないんだよ。わかったら今すぐにやるべきことがわかるだろ。
昔いた聖人は、用事を言われても「忙しいから無理」って答えつつ念仏を唱えてそのうち死んだってさ。
禅林寺の永観著『往生十因』にちゃんと書いてる。
心戒っていう聖人はあんまりにもクズ過ぎる世の中のことを考えてたら落ち着いて座る暇もなくて
いっつもしゃがんでたってさ。


原文
老來りて、始めて道を行ぜんと待つ事勿れ。古き墳(つか)、多くはこれ少年の人なり。
はからざるに病をうけて、忽ちにこの世を去らんとする時にこそ、はじめて過ぎぬる方のあやまれる事は知らるなれ。
誤りといふは、他の事にあらず、速かにすべき事を緩くし、緩くすべきことを急ぎて、
過ぎにしことの悔しきなり。その時悔ゆとも、甲斐あらんや。
人はたゞ、無常の身に迫りぬる事を心にひしとかけて、束の間も忘るまじきなり。
さらば、などか、此の世の濁りもうすく、佛道を勤むる心もまめやかならざらん。
「昔ありける聖は、人来たりて自他の要事をいふとき、答へて云はく、
『今、火急の事ありて、既に朝夕(ちょうせき)にせまれり』とて、耳をふたぎて念佛して、
終に往生を遂げけり」と、禪林の十因に侍(はべ)り。
心戒といひける聖は、餘りにこの世のかりそめなることを思ひて、
靜かについゐける事だになく、常はうづくまりてのみぞありける。


56 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[sage] 投稿日:2008/06/28(土) 22:10:18.51 ID:XQ+bdVlA0
【第50段】
応長の頃、伊勢の国から鬼になった女を連れてきたってうわさが広まって、
それから20日くらいは京都、白川で鬼見物の人だかり。
「昨日は西園寺にいたってよ」
「今日は院に行くらしいぜ」
「今あそこにいるってよ」
云々、でも誰も見てない。でも誰もデマとは言わない。もうみんな鬼の話で爆釣り。
そんな頃、東山から安居院に行ったんだけど、四条から北に住んでる人たちがみんな北を目指して走ってんの。
「一条室町に鬼がいたぞー!」ってみんなバカ騒ぎ。
今出川のあたりから見てたら院の御桟敷がもう人ごみがすごすぎ。こんなに集まってるんだから
たぶん鬼もいるんだろうなと思って一人パシらせたのね。そしたらわかりませんでしたって。
結局日が暮れるまでギャーギャー騒いでしまいには喧嘩まで起こったって。バカだねwwwwww
それから2、3日くらいちょっとした病気が流行ったんだけど、鬼のうわさがきっかけじゃないの?
なんていう人がいたとかいないとか。


原文
應長のころ、伊勢の國より、女の鬼になりたるを率て上りたりといふ事ありて、
その頃二十日ばかり、日ごとに、京・白川の人、鬼見にとて出で惑ふ。
「昨日は西園寺に參りたりし、今日は院へ参るべし。たゞ今はそこそこに」など云ひあへり。
まさしく見たりといふ人もなく、虚言(そらごと)といふ人もなし。
上下(かみしも)たゞ鬼の事のみいひやまず。
その頃、東山より、安居院(あぐゐ)の邊へまかり侍りしに、四條より上(かみ)さまの人、
みな北をさして走る。「一條室町に鬼あり」とのゝしり合へり。今出川の邊より見やれば、
院の御棧敷のあたり、更に通り得べうもあらず立ちこみたり。はやく跡なき事にはあらざんめりとて、
人をやりて見するに、大方逢へるものなし。暮るゝまでかく立ちさわぎて、はては鬪諍(とうそう)おこりて、
あさましきことどもありけり。
そのころおしなべて、二日三日人のわづらふこと侍りしをぞ、「かの鬼の虚言は、
この兆(しるし)を示すなりけり」といふ人も侍りし。


58 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/28(土) 22:16:09.30 ID:XQ+bdVlA0
【第51段】
亀山殿の池に大井川の水を引っ張ってこよう! ということで、地元の人に工事をやらせたって。
で、金も人も使いまくって2、3日で水車を作ったんだけど、全然だめ。
修理とかそんなレベルじゃなくて全然だめ。しょうがないから放置。
結局宇治の職人にやらしたらあっさりできちゃったって。
最初からプロにやらせろよwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww


原文
龜山殿の御池に、大井川の水をまかせられむとて、大井の土民に仰せて、水車(みづぐるま)を作らせられけり。
多くの錢(あし)を賜ひて、數日(すじつ)に營み出してかけたりけるに、大方廻らざりければ、とかく直しけれども、
終に廻らで、徒らに立てりけり。
さて宇治の里人を召してこしらへさせられければ、やすらかに結(ゆ)ひて參らせたりけるが、思ふやうに廻りて、
水を汲み入るゝ事、めでたかりけり。
萬にその道を知れるものは、やんごとなきものなり。


114 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/21(土) 02:38:51.88 ID:diXUlC+20
有名どころは押さえとこうか

【第52段】
仁和寺にいる法師、いい年して岩清水八幡にいったことがなかったので、思いつきで一人で歩いておまいりにいったらしい。
で、極楽寺とか高良神社とかに参って、満足して帰ったと。
で、通りすがりの人との会話で、「長年の夢がかないました。聞いていたより立派でしたよ。そうそう、参拝者がみんな山のぼりしてたようですけど、あれ、何だったんでしょうね。興味はあったけど、自分は参拝に来ただけですから、山まではみてませんけどね」だって。
やっぱ案内は必要だわwwwwwwwwwwwwwwww


*第五十二段
仁和寺(ニンナジ)にある法師、年寄るまで石清水(イハシミヅ)を拝(ヲガ)まざりければ
心うく覚えて、ある時思ひ立ちて、たゞひとり、徒歩(カチ)より詣でけり。極楽寺・高良(カウラ)などを拝みて、
かばかりと心得て帰りにけり。
さて、かたへの人にあひて、「年比(トシゴロ)思ひつること、果し侍りぬ。聞きしにも過ぎて尊くこそおはしけれ。
そも、参りたる人ごとに山へ登りしは、何事かありけん、ゆかしかりしかど、神へ参るこそ本意(ホンイ)なれと思ひて
、山までは見ず」とぞ言ひける。
少しのことにも、先達(センダツ)はあらまほしき事なり。


136 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[sage] 投稿日:2008/06/21(土) 03:32:49.88 ID:diXUlC+20
人気っぽいので
【第53段】
これも仁和寺の法師ね。寺の坊主が一ちょ前になったからって宴会をしたって。
で、酔った勢いで鼎をかぶったんだけど、つかえるからって鼻を押し当てて無理やりかぶって踊るもんだから
笑いの神様も思わず降臨wwww
で、踊りつかれたから鼎を抜こうとしたんだけど、取れない。
もう宴会どころじゃなくなってみんな真剣。いろいろ試してたら首から血は出るわ腫れ上がるわで、
法師もだんだん息が詰まってきた。叩き割ろうとするけど上手くいかない。っていうか響きが強烈でそれどころじゃない。
しょうがないから上から布をかぶせて手を引いて杖をつきつき病院行き。もう怪しいとかそういうの超えちゃってる。
面と向かった医者とか不覚にもフイタwwwとか言いそうじゃん。
状態を聞いても声がくぐもって聞こえない。診察もできない。
「こんなのムリ。症例とかないしwwww」と医者もさじをなげたので、しょうがなしに仁和寺に帰った。
親族縁者やもういい年の母親は泣いてるけど、それも聞こえてないっぽいwwww
で、結局誰かが決断した。「耳とか鼻がぶち切れても死ぬよりまし。全力で引っ張るぞ」
そして鼎と首の間に藁を差し込んで金属がこすらないようにして首をちぎる勢いで引っ張ったら、
耳と鼻はちぎれたけど何とか抜けた。
その後一命を取り留めた法師はしばらく病気になってたってさwwwwwwwwwwwwwwwww


137 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[sage] 投稿日:2008/06/21(土) 03:33:04.16 ID:diXUlC+20
原文
*第五十三段
これも仁和寺の法師、童(ワラハ)の法師にならんとする名残(ナゴリ)とて、おのおのあそぶ事ありけるに、
酔(ヱ)ひて興に入る余り、傍(カタハラ)なる足鼎(アシガナヘ)を取りて、頭(カシラ)に被(カヅ)きたれば、
詰(ツマ)るやうにするを、鼻をおし平(ヒラ)めて顔をさし入れて、舞ひ出でたるに、満座(マンザ)興に入る事限りなし。
しばしかなでて後、抜かんとするに、大方抜かれず。酒宴ことさめて、いかゞはせんと惑ひけり。
とかくすれば、頚(クビ)の廻(マハ)り欠けて、血垂(タ) り、たゞ腫れに腫れみちて、息もつまりければ、
打ち割らんとすれど、たやすく割れず、響きて堪へ難かりければ、かなはで、すべきやうなくて、
三足(ミツアシ)なる角の上に帷子(カタビラ)をうち掛けて、手をひき、杖をつかせて、
京なる医師(クスシ)のがり率(ヰ)て行(ユ)きける、道すがら、人の怪しみ見る事限りなし。
医師のもとにさし入りて、向ひゐたりけんありさま、さこそ異様(コトヤウ)なりけめ。物を言ふも、
くゞもり声に響きて聞えず。「かゝることは、文(フミ)にも見えず、伝へたる教へもなし」と言へば、
また、仁和寺へ帰りて、親しき者、老いたる母(ハワ)など、枕上(ガミ)に寄りゐて泣き悲しめども、聞くらんとも覚えず。
かゝるほどに、ある者の言ふやう、「たとひ耳鼻こそ切れ失すとも、命ばかりはなどか生きざらん。
たゞ、力を立てて引きに引き給へ」とて、藁(ワラ)のしべを廻りにさし入れて、かねを隔てて、
頚もちぎるばかり引きたるに、耳鼻欠けうげながら抜けにけり。からき命まうけて、久しく病みゐたりけり。


79 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/28(土) 23:21:11.52 ID:XQ+bdVlA0
【第54段】
仁和寺にマジかわいいショタっ子がいたんだけど、ショタコン法師共が誘い出そうとしてたんだって。
で、その手のヲタに協力させて、かわいい弁当箱を作ってそれをまた小綺麗な箱に入れて、
双岡の適当なとこに埋めて、その上に紅葉をちらしてカモフラージュ。
準備完了ってことでそのショタ君を誘いに行った。
あっちこっちでさんざん遊んだあと、例の丘、苔の生えたとこに座って
「あー、疲れた。紅葉でも焼いて酒の燗をつけてくれるやつはいないのか。何か術みたいなの使ってくれよ」
なんて白々しく言っちゃって、で、別の法師がさっき弁当箱を埋めたところに向かって数珠とかすって
何か適当な印とか結んでんの。
それで紅葉をどけてみたらカラ。場所を間違えたかと思って探してみるけどカラwww
誰かが盗ってたんだろwwwww結局興ざめで帰ったってwwwwwwwwwwww
バカは余計な小細工すんなっつーのwwwwwwwwwwwwwwwwww


原文
御室(おむろ)に、いみじき兒のありけるを、いかで誘ひ出して遊ばむと企(たく)む法師どもありて、
能あるあそび法師どもなど語らひて、風流の破籠(わりご)やうのもの、ねんごろに營み出でて、
箱風情のものに認め入れて、雙(ならび)の岡の便りよき所に埋(うづ)み置きて、紅葉ちらしかけなど、
思ひよらぬさまにして、御所へまゐりて、兒をそゝのかし出でにけり。
うれしく思ひて、こゝかしこ遊びめぐりて、ありつる苔の筵に竝みゐて、
「いたうこそ困じにたれ。あはれ紅葉を燒(た)かむ人もがな。験(しるし)あらん僧たち、いのり試みられよ」
などいひしろひて、埋みつる木のもとに向きて、數珠(じゅず)おしすり、印ことごとしく結びいでなどして、
いらなくふるまひて、木の葉をかきのけたれど、つやつや物も見えず。所の違ひたるにやとて、
掘らぬ所もなく山をあされども無かりけり。埋(うづ)みけるを人の見おきて、御所へ參りたる間に盜めるなりけり。
法師ども言の葉なくて、聞きにくくいさかひ腹だちて歸りにけり。
あまりに興あらむとすることは、必ずあいなきものなり。


81 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/28(土) 23:28:54.67 ID:XQ+bdVlA0
【第55段】
家は夏向きね。冬とかどうだっていい。暑いとイライラするじゃん。そんなときに家がカスだったらもブチキレですよ。
水を渡すときは浅くね。深いと涼しく見えない。小さいものとか見るなら、上げ戸じゃなくて引き戸ね。
天井は高かったら冬寒いし、灯りも暗くなる。
あとは余分なスペースとかあったらいいね。そういうのはセンスってやつ? 何かの役に立つかもしれんしね。


原文
家の作りやうは、夏をむねとすべし。冬はいかなる所にも住まる。暑き頃わろき住居(すまひ)は、堪へがたき事なり。
 深き水は涼しげなし。淺くて流れたる、遙かに涼し。細かなるものを見るに、遣戸は蔀の間よりも明し。
天井の高きは、冬寒く、燈暗し。造作は、用なき所をつくりたる、見るもおもしろく、萬の用にも立ちてよしとぞ、
人のさだめあひ侍りし。


119 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/21(土) 02:50:19.94 ID:diXUlC+20
【第56段】
久しぶりに会ったのに自分のことばっかり話すやつってちょっとキモいよね。
親しいって言っても久しぶりじゃん。ちょっとくらい遠慮しろっつーのwww
バカはちょっと出かけたくらいでも今日は何とかがあっただのベラベラしゃべりまくってセルフ受けしてやんの。もうバカ丸出し。
できる子はいっぱい人がいて、そのうちの一人に話してたってみんなが聞くもんなのにね。
バカはどこにでもしゃしゃり出てきてまるで見てきたかのようにDQN全開でしゃべってくれやがるから当然のごとくフルボッコwwww
話題転換で話を振ってもガン無視、またくだらねー話題でセルフ受け。もうね、アホかと、バカかとwwwww
人がマジレスで話してるときにテメーのおしゃれとかの話をしだすなっつーのwwww半年ROMってろwwwwww


*第五十六段
久しく隔(ヘダタ)りて逢ひたる人の、我が方にありつる事、数々に残りなく語り続くるこそ、あいなけれ。
隔てなく馴れぬる人も、程(ホド)経て見るは、恥づかしからぬかは。
つぎざまの人は、あからさまに立ち出でても、今日(ケフ)ありつる事とて、息も継ぎあへず語り興ずるぞかし。
よき人の物語するは、人あまたあれど、一人に向きて言ふを、おのづから、人も聞くにこそあれ、
よからぬ人は、誰ともなく、あまたの中にうち出でて、見ることのやうに語りなせば、皆同じく笑ひのゝしる、いとらうがはし。
をかしき事を言ひてもいたく興ぜぬと、興なき事を言ひてもよく笑ふにぞ、品のほど計(ハカ)られぬべき。
人の身ざまのよし・あし、才(ザエ)ある人はその事など定め合へるに、己(オノ)が身をひきかけて言ひ出(イ)でたる、いとわびし。


82 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[sage] 投稿日:2008/06/28(土) 23:31:00.84 ID:XQ+bdVlA0
【第57段】
歌の話しててもさ、その歌がカスだったら話もカス。わかってるやつはそんな歌の話なんかしない。
ま、素人はおとなしくしとけっつーこった。


原文
人のかたり出でたる歌物語の、歌のわろきこそ本意なけれ。
すこしその道知らん人は、いみじと思ひては語らじ。
すべていとも知らぬ道の物がたりしたる、かたはらいたく聞きにくし。


84 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/28(土) 23:49:52.98 ID:XQ+bdVlA0
【第58段】
「道を求めようとする心があれば、どこに住もうが一緒。家にいて普通に近所付き合いしててもいいじゃん。
来世を願うのに別に支障もないっしょ」というのはわかってないやつの言葉ね。
解脱しようと思ったらね、仕事とか家庭とかどうでもよくなるの。そんなもんにかまけてるやつにわかってたまるかっての。
だいたい昔に比べて今は弱すぎ。山にこもってもやれ飢えるだの風雨が凌げんだの。
まあその辺はしょうがないから俗世にまみれるってこともあるけどさ。
「だったら山にこもる意味ないじゃんwwwwwwwwwwwww」ってのはバカの理屈ね。
俗世にまみれるって言っても紙の寝具、麻の服、一杯のご飯に雑草汁。そんくらいで十分なの。
安いでしょ? で、身なりも恥ずかしいから人付き合いもなくさっさと仏の道に入っちゃう。
人間さっさと俗世の欲から離れたほうがいいって。欲ばっかりかいてるとかケモノと一緒だからwwwwwww


原文
「道心あらば住む所にしもよらじ、家にあり人に交はるとも、後世を願はむに難かるべきかは」
と言ふは、更に後世知らぬ人なり。げにはこの世をはかなみ、必ず生死を出でむと思はむに、
何の興ありてか、朝夕君に仕へ、家を顧る營みの勇ましからん。心は縁にひかれて移るものなれば、
靜かならでは道は行じがたし。
その器物(うつはもの)、昔の人に及ばず、山林に入りても、飢をたすけ、嵐を防ぐよすがなくては、
あられぬわざなれば、おのづから世を貪るに似たる事も、便りに觸れば、などか無からん。
さればとて、「背けるかひなし。さばかりならば、なじかは捨てし」などいはんは、無下の事なり。
さすがに一たび道に入りて、世をいとなむ人、たとひ望みありとも、勢ひある人の貪欲多きに似るべからず。
紙の衾(ふすま)、麻の衣、一鉢のまうけ、藜(あかざ)の羮(あつもの)、いくばくか人の費(つひえ)をなさむ。
求むる所はやすく、その心早く足りぬべし。形に恥づる所もあれば、さはいへど、惡には疎く、善には近づくことのみぞ多き。
人と生れたらんしるしには、いかにもして世を遁れむ事こそあらまほしけれ。偏に貪ることをつとめて、
菩提(ぼだい)に赴かざらむは、よろづの畜類にかはる所あるまじくや。


87 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/29(日) 00:00:11.14 ID:/tVHDo680
【第59段】
出家したいならさっさとしろよ^^
「ちょっとこれをやってから」「同じことならこれもやって」「ああ、あれやってなかったらバカにされるな」
「ま、人生長いし、もうちょっといいよね」とかもうナメてるとしか言いようがない。
そんなやつは用事ばっかり増えていつの間にか死んでしまうんだよ。バーカ。
火事で逃げるやつが「ちょっと待って」とか言うか? 助かりたかったら一心不乱に全部投げ捨てて逃げるだろうが。
命も一緒。死は待ってくれない。むしろ水害火災よりも急にきちゃう。
そうなったら親、子、恩人、云々全部捨てることになるんだよ。わかったかバカ^^


原文
大事を思ひたたむ人は、さり難き心にかゝらむ事の本意を遂げずして、さながら捨つべきなり。
「しばしこの事果てて」、「同じくは彼の事沙汰しおきて」、「しかしかの事、人の嘲りやあらん、行末難なく認め設けて」
「年来もあればこそあれ、その事待たん、程あらじ。物さわがしからぬやうに」など思はんには、
え去らぬ事のみいとゞ重なりて、事の盡くる限りもなく、思ひたつ日もあるべからず。
おほやう、人を見るに、少し心ある際は、皆このあらましにてぞ一期は過ぐめる。
近き火などに逃ぐる人は、「しばし」とやいふ。身を助けむとすれば、恥をも顧みず、
財(たから)をも捨てて遁れ去るぞかし。命は人を待つものかは。
無常の來ることは、水火の攻むるよりも速かに、遁れがたきものを、その時老いたる親、
いときなき子、君の恩、人の情、捨てがたしとて捨てざらんや。


90 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/29(日) 00:22:28.70 ID:w9QSBPrZ0
ほっとけばいいのに、やたら他人を気にしてアグレッシブな助言してくるな


93 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/29(日) 00:34:40.70 ID:/tVHDo680
【第60段】
真乗院に、盛親僧都っていう天才がいた。芋頭ってのが好きで、いつもそればっかり食ってた。
講義のときでも大きな鉢にてんこ盛り。膝もとに置いて食いながら本を読んでたとか。
病気になったら1、2週間くらい治療とか言って、また芋頭ばっかり食ってんのwwwwwwww
で、それでたいがいの病気治してんのwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
いっつも独り占め。誰にもあげない。
超ド貧乏だったから、師匠が死ぬときに200貫と寺ひとつくれたんだけど、寺を100貫で売って、
合計300貫を芋頭の代金ということにして、京都の知り合いに預けて毎回10貫ずつ取り寄せて
芋頭を買ってたって。結局芋頭代で300貫終了wwwwどんだけwwwwwwwwwwww
この僧都、とある法師に「しろうるり」って名前をつけたんだけど、「何それ」って聞かれたら
「俺も知らねwwwwこの法師に似てるやつじゃないのwwww」だってwwwwwww
で、この僧都、イケメン、力持ち、大食漢で大天才、弁舌さわやか、宗の中心的存在で
寺からも信頼が厚かったんだけど、結構世間をナメてたっつーか、もう自由勝手。
人の言うことも聞かない。ご飯も自分のとこにきたらさっさと食う。みんなで食うとかそんな気まったくなし。
食いたいときに食い、寝たいときに寝る。大切な用事でも全然関係なし。
目が冴えてたら全然寝ない。歌でも歌いながら外をブラブラしちゃう。
そういうDQN全開の生活だったんだけど、別に誰も何も言わなかったって。
はいはい、人気者はいいよねー。


95 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/29(日) 00:36:07.97 ID:/tVHDo680
原文
眞乘院に、盛親僧都(じょうしんそうず)とて、やんごとなき智者ありけり。
芋頭(いもがしら)といふ物を好みて、多く食ひけり。談義の座にても、大きなる鉢にうづたかく盛りて、
膝もとにおきつゝ、食ひながら書をも讀みけり。煩ふ事あるには、七日(なぬか)、二七日(ふたなぬか)など、
療治とて籠り居て、思ふやうによき芋頭を選びて、ことに多く食ひて、萬の病をいやしけり。
人に食はすることなし。たゞ一人のみぞ食ひける。極めて貧しかりけるに、師匠、死にざまに、
錢二百貫と坊ひとつを讓りたりけるを、坊を百貫に賣りて、かれこれ三萬疋を芋頭の錢(あし)と定めて、
京なる人に預けおきて、十貫づゝ取りよせて、芋頭を乏しからずめしけるほどに、また、他用(ことよう)に用ふる事なくて、
その錢(あし)皆になりにけり。「三百貫のものを貧しき身にまうけて、かく計らひける、誠にあり難き道心者(だうしんじゃ)なり。」
とぞ人申しける。
この僧都、ある法師を見て、「しろうるり」といふ名をつけたりけり。「とは、何ものぞ」と、
人の問ひければ、「さる者を我も知らず。もしあらましかば、この僧の顔に似てん」とぞいひける。
この僧都、みめよく、力強く、大食(たいしょく)にて、能書・學匠・辯説、人にすぐれて、宗の法燈なれば、
寺中にも重く思はれたりけれども、世を輕く思ひたる曲者にて、萬(よろづ)自由にして、大かた人に隨ふといふ事なし。
出仕して饗膳などにつく時も、皆人の前据ゑわたすを待たず、我が前に据ゑぬれば、やがて獨り打ち食ひて、
歸りたければ、ひとりついたちて行きけり。齋(とき)・非時(ひじ)も、人に等しく定めて食はず、我が食ひたき時、
夜中にも曉にも食ひて、睡(ねぶ)たければ、晝もかけ籠りて、いかなる大事あれども、人のいふこと聽き入れず。
目覺めぬれば、幾夜も寝(い)ねず。心を澄まし嘯(うそぶ)きありきなど、世の常ならぬさまなれども、
人に厭(いと)はれず、萬(よろづ)許されけり。徳の至(いた)れりけるにや。


98 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/29(日) 00:42:44.23 ID:/tVHDo680
【第61段】お産のときに蒸篭を落とすのはただのおまじない。胎盤がなかなか降りてこないときだけやることね。
普通に降りてきたらやる必要ないから。
ま、一般から広まったことだしね。何の根拠もないし。大原の蒸篭を使うんだって。
宝蔵にしまってある古い絵に、貧乏人の出産シーンで蒸篭を落としてるとこが描いてるんだって。


原文
御産(ごさん)の時、甑(こしき)落す事は、定まれることにはあらず。御胞衣(おんえな)滯(とどこお)る時の
呪(まじない)なり。滯らせ給はねば、この事なし。
下ざまより事おこりて、させる本説なし。大原の里の甑をめすなり。ふるき寳藏の繪に、
賤しき人の子産みたる所に、甑おとしたるを書きたり。


101 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[sage] 投稿日:2008/06/29(日) 00:47:28.31 ID:/tVHDo680
【第62段】
延政門院がロリっ子だったときに、お父さんの御所に行く人にことづけとして詠んだ歌
二つ文字:「こ」
牛の角文字:「ひ」
直ぐな文字「し」
歪み文字:「く」
とぞ君は覚ゆる
延政門院ってお父さんっ子だったんだね^^


原文
延政門院 幼(いときな)くおはしましける時、院へ參る人に、御言(おこと)づてとて
申させ給ひける御歌、
 ふたつ文字 牛の角文字 直ぐな文字 ゆがみもじとぞ君はおぼゆる
恋しく思ひ参らせ給ふとなり。


104 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[sage] 投稿日:2008/06/29(日) 00:51:55.30 ID:/tVHDo680
【第63段】
正月8日から始まる阿闍梨、昔盗賊に襲われたからっていうことで、最初は警護程度だったのに
今じゃ兵士まで集めてものものしくなってる。
一年の初めの儀式なんだから、兵士なんか入れちゃだめだろ。


原文
後七日の阿闍梨、武者を集むる事、いつとかや盜人に逢ひにけるより、
宿直人(とのいびと)とてかく ことごとしくなりにけり。
一年(ひととせ)の相は、この修中に有樣にこそ見ゆなれば、兵(つわもの)を用ひんこと、
穩かならぬ事なり。


106 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[sage] 投稿日:2008/06/29(日) 00:54:09.62 ID:/tVHDo680
【第64段】
五つ緒の車は誰が乗るとか決まってなくて、役職極めたらみんな乗るってさ


原文
「車の五緒(いつゝお)は必ず人によらず、ほどにつけて、極むる官・位(かん・くらい)に至りぬれば、
乘るものなり」とぞ、ある人仰せられし。


108 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/29(日) 00:55:56.72 ID:/tVHDo680
【第65段】
最近の冠は高いね。昔の冠持ってる人は継ぎ足して使ってるもん。


原文
このごろの冠(かぶり)は、昔よりは遙かに高くなりたるなり。
古代の冠桶を持ちたる人は、端(はた)をつぎて今は用ゐるなり。


3 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[sage] 投稿日:2008/07/05(土) 22:11:30.01 ID:kjwWG3xJ0
【第66段】
岡本の関白家平が、花盛りの梅の枝につがいの雉を2羽くくりつけてくれというのを
御鷹飼、下毛野武勝に言ったら、「花に鳥? しかも2羽? 無理ッスwwwサーセンwww」
なんて言われた。
しょうがないから料理人だの何だのにやりかたを聞いて回ったけど誰も知らないとのこと。
「じゃあお前やって見ろよ」と武勝に丸投げしたら、枯れた梅の枝に1羽だけちょんとつけて
渡された。
以下ずっと武勝のターン
「柴とか梅なら、つぼみか枯れた枝につけます。五葉の松でもいいっす。
長さは6から7尺、枝を斜めに切って、裏返したあと5分に切ります。
そして、真ん中あたりに鳥をつけます。
あ、そうそう、踏ませる枝もあります。割れてない藤を2箇所とかいいですね。
つけねの羽の長さくらいに切って、牛の角みたいに曲げます。
で、初雪が降ったらそれを肩にかけて中門からよそよそしく入るわけですよ。
通るのは軒下の石畳で、雪に足跡なんてのはNG。
足のうえの毛をちょっと散らして、二練の御所の欄干へとかけておきます。
ご褒美の衣装をもらったら、肩にかけてお礼を言って帰ります。
あ、初雪って言っても鼻緒も隠れない程度の雪だったら言ったらダメですよ。
ちょっと薀蓄を言うと、鷹というのは弱腰の雉を狙って捕るものなので、足の上の毛をちらすんです。
こうしたら鷹が捕まえたように見えるでしょ」
花のついた枝に鳥つけたらいかんとか意味分からん。9月くらいに造花に雉をくくりつけて
君のために折った花、季節とか関係ないよね
なんて歌ったとか伊勢物語に書いて……造花、だと?


4 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/07/05(土) 22:11:50.58 ID:kjwWG3xJ0
原文
岡本關白殿、盛りなる紅梅の枝に、鳥一雙を添へて、この枝につけて參らすべき由、
御鷹飼、下毛野武勝(しもつけのたけかつ)に仰せられたりけるに、「花に鳥つくる術、
知り候はず、一枝に二つつくることも、存じ候はず」と申しければ、膳部に尋ねられ、
人々に問はせ給ひて、また武勝に、「さらば、己が思はむやうにつけて參らせよ」
と仰せられたりければ、花もなき梅の枝に、一つ付けて参らせけり。
武勝が申し侍りしは、「柴の枝、梅の枝、つぼみたると散りたるに付く。五葉などにも付く。
枝の長さ七尺、あるひは六尺、返し刀五分に切る。枝の半(なかば)に鳥を付く。
付くる枝、踏まする枝あり。しゞら藤の割らぬにて、二所付くべし。藤の先は、
火うち羽(ば)の長(たけ)に比べて切りて、牛の角のやうに撓(たわ)むべし。
初雪の朝(あした)、枝を肩にかけて、中門より振舞ひて参る。
大砌(おほみぎり)の石を傳ひて、雪に跡をつけず、雨覆ひの毛を少しかなぐり散らして、
二棟の御所の高欄によせ掛(か)く。祿を出(い)ださるれば、肩にかけて、拜して退く。
初雪といへども、沓のはなの隱れぬほどの雪には参らず。雨覆ひの毛を散らすことは、
鷹は、弱腰を取ることなれば、御鷹の取りたるよしなるべし」と申しき。
花に鳥付けずとは、いかなる故にかありけん。長月ばかりに、梅のつくり枝に、
雉を付けて、「君がためにと折る花は時しもわかぬ」と言へること、伊勢物語に見えたり。
造り花は苦しからぬにや。


5 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/07/05(土) 22:23:17.61 ID:kjwWG3xJ0
【第67段】
賀茂の岩本神社と橋本神社は、それぞれ在原業平と藤原実方を祭ってる神社なんだけど、
どっちがどっちか分からん人が多いって。で、俺もわかんなかったから、行ったときに
宮司のじいさんに聞いてみたんよ。そしたら
「藤原実方は御手洗に人影が映るとこだから、橋本は水の近いところと覚えてます。
吉永和尚でしたかな、
月とか花が好きだった在原業平はここにあり原、なんちゃって
なんて歌ってたのは岩本神社でしたけど、そういう話ならあなたのほうが知ってるでしょ」
って。やるじゃん。
今出川院の近衞をやってた人かな、歌集とかによく載ってる人なんだけど、若いときに
百人一首の歌をこの神社の水で書いて納めてたって。いい歌多いよ。マジやるじゃん、って感じ。


原文
賀茂の岩本、橋本(=共に社の名前)は、業平・實方(=藤原實方)なり。
人の常にいひ紛(まが)へ侍れば、一年(ひととせ)參りたりしに、
老いたる宮司の過ぎしを呼び止(とゞ)めて、尋ね侍りしに、
「實方は、御手洗(=参詣人が手を洗ふ所)に影の映りける所と侍れば、
『橋本や、なほ水の近ければ』と覺え侍(はべ)る。吉水和尚の、
 月をめで花をながめし古(いにしえ)の やさしき人は こゝにあり原
と詠みたまひけるは、岩本の社とこそ承りおき侍れど、己(おのれ)らよりは、
なかなか御存じなどもこそさぶらはめ」と、いと忝(うやうや)しく言ひたりしこそ、
いみじく覺えしか。
今出川院近衞(いまでがわのいんのこのえ)とて、集(しゅう)どもにあまた入りたる人は、
若かりける時、常に百首の歌を詠みて、かの二つの社の御前の水にて書きて
手向けられけり。誠にやんごとなき譽ありて、人の口にある歌多し。
作文・詩序などいみじく書く人なり。


6 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[sage] 投稿日:2008/07/05(土) 22:31:03.70 ID:kjwWG3xJ0
【第68段】
筑紫のなんとか押領使ってのが、薬になるって大根を毎日2本焼いて食ってたって。
ある日、人が出払った隙に敵が攻めてきたらしいんだけど、兵士が2人ひょっこりでてきて、
敵を撃退した。
その何とかが不思議に思って「誰だ、なぜ俺を助けた」と聞いたら
「ふふ、俺たちは大根。貴様が毎日おいしく食ってくれたお礼だ。これからも食ってくれよ。アディオス!」
といってどっかに行ってしまった。
おまえら大根食えよ、こういうこともあるんだからwwwwwwwwwwwwwww


原文
筑紫に、なにがしの押領使などいふやうなる者のありけるが、土大根を萬にいみじき藥とて、
朝ごとに二つづゝ燒きて食ひける事、年久しくなりぬ。ある時、館のうちに人もなかりける隙をはかりて、
敵襲ひ來りて圍み攻めけるに、館の内に兵(つわもの)二人出で来て、命を惜しまず戰ひて、
皆追ひ返してけり。いと不思議に覚えて、
「日頃こゝにものし給ふとも見ぬ人々の、かく戰ひしたまふは、いかなる人ぞ」
と問ひければ、「年來(としごろ)たのみて、朝な朝な召しつる土大根らに候(そうろう)」
といひて失せにけり。
 深く信を致しぬれば、かゝる徳もありけるにこそ。


8 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/07/05(土) 22:41:52.39 ID:kjwWG3xJ0
【第69段】
書写山の性空上人は、法華経を何回も何回も何回も(ry読んで六根が清浄になったって。
その人が旅の途中で小屋に泊まったとき、豆殻を焼いて豆を煮てる音が聞こえてきたのを
「もとは兄弟、でも今自分を焼いて俺を煮てる。辛い目にあわせてくれるよな、殻 だ け に」
と言ってるように聞こえたんだって。
で、焼けてる豆殻の音は
「俺だって好きで燃えてるわけじゃないんだぜ、不可抗力ってやつだ。わかるな?」
と言ってるように聞こえたんだってwww


原文
書寫の上人は、法華讀誦の功積りて、六根淨にかなへる人なりけり。
旅の假屋に立ち入られけるに、豆の殻を焚きて豆を煮ける音の、
つぶつぶと鳴るを聞き給ひければ、「疎からぬ己等(おのれら)しも、
恨めしく我をば煮て、辛(から)き目を見するものかな」と言ひけり。
焚かるゝ豆がらのはらはらと鳴る音は、「我が心よりする事かは。
燒かるゝはいかばかり堪へがたけれども、力なきことなり。かくな恨み給ひそ」
とぞ聞えける。


9 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[sage] 投稿日:2008/07/05(土) 22:52:28.46 ID:kjwWG3xJ0
【第70段】
元応の大嘗会の最中の話ね。清暑堂での音楽会、玄上という楽器がなくなってたときに、
菊亭右大臣は代わりに牧馬を弾いてたんだけど、席について柱を探ってみたら、1つ落ちてしまった。
持ってた接着剤を使ってみたら本番前に乾いてなんとかなったらしい。
何か恨みでもあったんか知らんけど、客に紛れこんでた顔を布で隠した女がこっそり外して
またもとのとおりに置いてたってさ。


原文
玄應の清暑堂の御遊に、玄上は失せにしころ、菊亭の大臣、牧馬を彈じ給ひけるに、
座につきてまづ柱(ぢゅう)を探(さぐ)られたりければ、ひとつ落ちにけり。
御懐(ふところ)に續飯(そくひ)をもち給ひたるにて付けられにければ、神供(じんぐ)の
參るほどによく干て、事故(ことゆえ)なかりけり。
いかなる意趣かありけん、物見ける衣被(きぬかづき)の、寄りて放ちて、もとのやうに置きたりけるとぞ。


127 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[sage] 投稿日:2008/06/21(土) 03:00:22.74 ID:diXUlC+20
【第71段】
名前を聞いて何となく思い出せるんだけど、見たときに想像してた顔してる人はまずいないよね。
昔の話を聞いても、近所でそんなことがあったような気がするし、
登場人物も自分の知ってるやつにいるような気がするんだけど、もしかして俺だけ?
それとか、たった今誰かが言ったこととか見たものに何かデジャヴを感じ時があるんだけど、
俺だけじゃ……ないよね?


原文
*第七十一段
名を聞くより、やがて、面影(オモカゲ)は推(オ)し測(ハカ)らるゝ心地(ココチ)するを、
見る時は、また、かねて思ひつるまゝの顔したる人こそなけれ、昔物語(ムカシモノガタリ)を聞きても、
この比(ゴロ)の人の家のそこほどにてぞありけんと覚え、人も、今見る人の中に思ひよそへらるゝは、誰もかく覚ゆるにや。
また、如何なる折ぞ、たゞ今、人の言ふ事も、目に見ゆる物も、我が心の中(ウチ)に、
かゝる事のいつぞやありしかと覚えて、いつとは思ひ出でねども、まさしくありし心地のするは、我ばかりかく思ふにや。


10 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/07/05(土) 22:57:51.58 ID:kjwWG3xJ0
【第72段】
ウザいもの。部屋に家具置きすぎ、硯に筆置きすぎ、持仏堂に仏置きすぎ、
庭に石とか木を置きすぎ、家にガキが多すぎ、しゃべりすぎなやつ、
願文に自分の善行を長々書いてるやつ。
文書入れに手紙が一杯入ってるとか、はあんまりウザくない。あと塵とか積もっても所詮塵だよね。


原文
賎しげなるもの。居たるあたりに調度の多き、硯に筆の多き、持佛堂に佛の多き、
前栽に石・草木の多き、家のうちに子孫(こうまご)の多き、人にあひて詞の多き、
願文に作善多く書き載せたる。
多くて見苦しからぬは、文車の文(ふみ)、塵塚の塵(ちり)。


11 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/07/05(土) 23:17:40.81 ID:kjwWG3xJ0
【第73段】
世間に出回ってる話はたいがいうそ。真実はつまらないんだろうね。
大体話って尾びれつくじゃん。時間が経ったり場所が離れたりしたら尾びれがでかくなるじゃん。
それを記録とかしちゃうやついるじゃん。で結局事実になっちゃう。
プロの技とかさ、クソ素人どもは騒いで神扱いしちゃうじゃん。
わかってるやつは信用しないっつーの、見たらわかるっつーのwwwwwwww
ばれるとかばれないとか考えないでデタラメばっかりはいてるやつってさ、ソース出せってのw
で、うそっぽい話をちょっとかじってさ、いかにも得意げに話すやついるじゃん。
お前マジで信じてるのって思うよね。信じてないクセにもっともらしくしゃべるじゃん。
滑稽通り越して怖いよね、マジで。
自分の名誉を守るために人がついてくれたうそとかはさ、誰もムキになって否定しないじゃん。
笑えるうそとかは自分だけ否定するのも気が引けるじゃん。で、聞いてるだけなのに証人になってさ、
で、いつの間にか事実になっちゃうの。
もうね、マジでうそ多すぎ。珍しいこととかまずないものと思っていいくらい。カスどもは驚きの事実ばっかり
持ってくるけど、そんな話ないっつーのwww普通はそんな話しないのwwwwwwwwwwwwww
あ、例外はありね。仏神の奇跡とか高僧の伝記とか。どっちでもいいって言えばどっちでもいいけどさ。
別に「な、なんだってェー!!」とか言わなくていいからさ、ま、適当に信じとけよ^^


12 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/07/05(土) 23:18:41.57 ID:kjwWG3xJ0
原文
世にかたり傳ふる事、誠は愛なきにや、多くは皆虚言(そらごと)なり。
あるにも過ぎて、人はものをいひなすに、まして年月すぎ、境も隔たりぬれば、
言いたき侭(まま)に語りなして、筆にも書き留めぬれば、やがて定りぬ。
道々のものの上手のいみじき事など、かたくななる人の、その道知らぬは、
そゞろに神の如くにいへども、道知れる人は更に信も起さず。音にきくと見る時とは、
何事も變るものなり。
かつ顯(あら)はるゝも顧(かえり)みず、口に任せていひちらすは、やがて浮きたることと聞ゆ。
又、我も誠(まこと)しからずは思ひながら、人のいひしままに、鼻の程をごめきて言ふは、
その人の虚言にはあらず。げにげにしく所々うちおぼめき、能く知らぬよしして、さりながら、
つまづま合せて語る虚言は、恐ろしき事なり。わがため面目(めんぼく)あるやうに言はれぬる虚言は、
人いたくあらがはず、皆人の興ずる虚言は、一人「さもなかりしものを」と言はんも詮(せん)なくて、
聞き居たる程に、證人にさへなされて、いとゞ定りぬべし。
とにもかくにも、虚言多き世なり。ただ、常にある、珍しからぬ事のままに心えたらん、
よろづ違ふべからず。下ざまの人のものがたりは、耳驚くことのみあり。
よき人はあやしき事を語らず。
かくは言へど、佛神の奇特(きどく)、權者(ごんじゃ)の傳記、さのみ信ぜざるべきにもあらず。
これは世俗の虚言を懇に信じたるも をこがましく、「よもあらじ」などいふも詮なければ、
大方は誠しくあひしらひて、偏に信ぜず、また疑ひ嘲(あざけ)るべからず。


13 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[sage] 投稿日:2008/07/05(土) 23:27:25.52 ID:kjwWG3xJ0
【第74段】
アリみたいにあっちこっちに走る。貴賎関係なし。年齢も関係なし。行くところと帰るところがある。
夜寝て朝起きる。何やってんだろうね。何かセコセコ生きてんの。
そうやって生きてさ、結局いつか死ぬんだろ。しかもそういうのは知らんうちにさっさと来るんだろ。
おまえらそれで楽しいの? バカはさ、死ぬのが怖くないんだよね。目先の欲に目が行ってさ、
死ぬとか考えないの。で、バカは死を悲しんじゃうの。
人間いつか死ぬの。そういう理屈なの。いい加減分かれよ^^


原文
蟻の如くに集りて、東西に急ぎ、南北に走(わし)る。貴(たか)きあり、賎しきあり。
老いたるあり、若きあり。行く所あり、歸る家あり。夕に寝(い)ねて、朝に起く。
營む所何事ぞや。生を貪り、利を求めてやむ時なし。
身を養ひて何事をか待つ、期(ご)するところ、たゞ老(おい)と死とにあり。
その來る事速かにして、念々の間に留まらず。これを待つ間、何の樂しみかあらむ。
惑へるものはこれを恐れず。名利に溺れて、先途の近きことを顧みねばなり。
愚かなる人は、またこれをかなしぶ。常住ならんことを思ひて、
變化(へんげ)の理を知らねばなり。


130 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[sage] 投稿日:2008/06/21(土) 03:11:20.71 ID:diXUlC+20
【第75段】
妄想できない奴って何なの? 一人の世界とか最高なのにね。
社会に出たら心はチリで汚れて、人に関わったら話を合わせないといけない。
Hしたり言い合いしたりうらんだり喜んだり……。
そんなこんなでゆらゆらして、でもところどころで人生の選択せまられて損得で決めちゃう。
もう酔っ払いと一緒、酔っ払いが見てる夢みたい。走り回ってる割りには何もなく時間ばっかり過ぎるとかみんな一緒。
極めるとかじゃないけど、三次元を捨てて妄想の世界に浸ってたらとりあえず幸せじゃん。
「生活、人事、技術、学問の因縁を捨てろ」って摩訶止観にも書いてあるじゃんwwwww


*第七十五段
つれづれわぶる人は、いかなる心ならん。まぎるゝ方なく、たゞひとりあるのみこそよけれ。
世に従へば、心、外(ホカ)の塵(チリ)に奪はれて惑ひ易く、人に交れば、言葉、よその聞きに随(シタガ)ひて、
さながら、心にあらず。人に戯(タハブ) れ、物に争ひ、一度(ヒトタビ)は恨み、一度は喜ぶ。その事、定まれる事なし。
分別(フンベツ)みだりに起りて、得失(トクシツ)止む時なし。惑ひの上に酔(ヱ)へり。酔ひの中に夢をなす。
走りて急がはしく、ほれて忘れたる事、人皆かくの如し。
未(イマ)だ、まことの道を知らずとも、縁(エン)を離れて身を閑かにし、事にあづからずして心を安くせんこそ、
しばらく楽しぶとも言ひつべけれ。「生活・人事(ニンジ)・伎能(ギノウ)・学問等の諸縁(シヨエン)を止めよ」とこそ、
摩訶止観(マカシクワン)にも侍れ。


14 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[sage] 投稿日:2008/07/05(土) 23:29:37.90 ID:kjwWG3xJ0
【第76段】
有名な人の慶弔事で、人がいっぱい集まってる中で、坊主が混じってウロウロしてんのw
何やってんのカスって感じwwwwwwww
坊主ならそういう俗っぽいことすんなってのwwwwwwwwwwwwwwww


原文
世の覚え花やかなるあたりに、嘆きも喜びもありて、人多く往きとぶらふ中(うち)に、
聖法師(ひじりほうし)の交りて、いひ入れ佇みたるこそ、さらずともと見ゆれ。
さるべきゆゑありとも、法師は人にうとくてありなん。


15 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[sage] 投稿日:2008/07/05(土) 23:35:05.39 ID:kjwWG3xJ0
【第77段】
巷のうわさ話とかに全然関係ないやつがしゃしゃり出てきて、あちこち言いふらしたり聞いて回ったりするじゃん。
あれはいったい何なの? アホなの?
人事を自分のことみたいに知っててさ、お前何でそこまで知ってんの?って言いたくなるやつ。
そういうのがあちこち言いふらしてんの。田舎の坊主とかにありがちだよねwwwww


原文
世の中に、そのころ人のもてあつかひぐさに言ひあへること、いろふべきにはあらぬ人の、
よく案内(あない)知りて、人にも語り聞かせ、問ひ聞きたるこそうけられね。ことに、
かたほとりなる聖法師などぞ、世の人の上は、わがことと尋ね聞き、如何でかばかりは知りけむと覺ゆるまでぞ、
言ひ散らすめる。


140 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[sage] 投稿日:2008/06/21(土) 03:44:25.02 ID:diXUlC+20
【第78段】
最近のトレンド? 流行? 追っかけてるのを見たらバカとか思っちゃう。
こういうのにうとい人のほうがむしろ知的だろwww
新参に対して超ローカルな話題とかスラングで会話しちゃってニヤニヤしてんの、
社会不適格者によくあることだよねwwwwwwwwwwwwww


原文
*第七十八段
今様(イマヤウ)の事どもの珍しきを、言ひ広め、もてなすこそ、またうけられね。
世にこと古りたるまで知らぬ人は、心にくし。
いまさらの人などのある時、こゝもとに言ひつけたることぐさ、物の名など、心得たるどち、
片端(カタハシ)言ひ交し、目見合(メミア)はせ、笑ひなどして、心知らぬ人に心得ず思はする事、
世慣れず、よからぬ人の必ずある事なり。


1 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/22(日) 15:06:14.14 ID:4zCkW4W+0

【第79段】
何でも口挟んじゃう痛い子いるよね。知ってる奴はわざわざ言わないのにね。
田舎モンとか知ったか多いよねwwwwww
聞いてるほうが痛々しいっていうか、厨二病全開すぎwwww
ま、知ってても余計なことはぺらぺらしゃベんなっつーこった。


原文
何事も入りたゝぬさましたるぞよき。よき人は、知りたる事とて、さのみ知り顔にやは言ふ。
片田舎よりさし出でたる人こそ、万の道に心得たるよしのさしいらへはすれ。
されば、世に恥づかしきかたもあれど、自らもいみじと思へる気色、かたくななり。
よくわきまへたる道には、必ず口重く、問はぬ限りは言はぬこそ、いみじけれ。


16 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[sage] 投稿日:2008/07/05(土) 23:45:10.68 ID:kjwWG3xJ0
【第80段】だいたいみんな関係ないこと好きだよね。法師は法師のクセに武術かじってみたりとか
逆に兵士は弓の使い方も知らんクセに仏法をかじってみたり連歌とか楽器とかやっちゃうの。
お前ら本職もへたくそなクセに笑いのネタばっかり増やすなっつーのwwwwwwwww
法師だけじゃなくて上達部とか殿上人にも武術かじってるやつ多いでしょ。
百戦百勝でも武の誉れとかないんだよ。運良く勝ってハイ、勇者とかゴロゴロいるじゃん。
武の誉れってのはね、武器弓尽きてそれでも最後まで戦って、潔く死ぬ。これなんだよな。
生きてるクセに武勇伝なんか語るなってのww
っていうか武術とか野蛮だから専門以外は手ぇ出すなよwwwwwwwwwwww


原文
人ごとに、我が身にうとき事をのみぞ好める。法師は兵の道をたて、夷は弓ひく術知らず、
佛法知りたる氣色(きそく)し、連歌し、管絃を嗜みあへり。されど、おろかなる己が道より、
なほ人に思ひ侮(あなづ)られぬべし。
法師のみにもあらず、上達部、殿上人、上ざままでおしなべて、武を好む人多かり。
百たび戰ひて百たび勝つとも、いまだ武勇の名を定めがたし。その故は運に乘じて敵を砕く時、
勇者にあらずといふ人なし。兵(つわもの)盡き、矢窮(きわま)りて、遂に敵に降らず、
死を安くして後、はじめて名を顯はすべき道なり。生けらんほどは、武に誇るべからず。
人倫に遠く、禽獸に近き振舞(ふるまい)、その家にあらずば、好みて益なきことなり。


18 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/07/05(土) 23:51:14.73 ID:kjwWG3xJ0
【第81段】
屏風とか障子の絵がへたくそだったら、見苦しいっていうか、家主の人格疑っちゃうよね。
そういうやつに限ってだいたい趣味の悪い調度品使ってんの。いいものを使えってことじゃないんだよな。
わざと体裁を崩したりとかさ、余計なオプションつけてみたりさ、よくわからん工夫しちゃってんの。
古くて質素で安くて長持ち、こういうのがいいものって言うんだよな。

原文
屏風・障子などの繪も文字も、かたくななる筆樣(ふでやう)して書きたるが、
見にくきよりも、宿の主人(あるじ)の拙く覺ゆるなり。
大かた持てる調度にても、心おとりせらるゝ事はありぬべし。さのみよき物を持つべしとにもあらず、
損ぜざらむためとて、品なく見にくきさまに爲(し)なし、珍しからんとて、用なき事どもし添(そ)へ、
煩はしく好みなせるをいふなり。古めかしきやうにて、いたくことごとしからず、費(ついえ)もなくて、
物がらのよきがよきなり。


19 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/07/06(日) 00:01:58.97 ID:KD8bbLYd0
【第82段】
「表紙が薄絹だと傷むのが早くて困る」これは素人。たとえば頓阿。
「薄絹の表紙で上下がほつれたとこ、螺鈿の軸貝が落ちた後ってのがいい」これ最強。
何冊かまとめた草子とか同じじゃないとダメとかいうやつには弘融僧都の言葉をあげよう。
「ものを一様にするのは素人。不揃いが最強」これ、わかる?
「何でも整ってるのはダメ、全然ダメ。やり残しがあるほうがいい。将来性がある。
内裏を作るときでも絶対にやり残しを作ってる」って誰かが言ってたけど、
確かに昔の偉い人が書いた内外の経典もところどころ欠けてるよね。

原文
「羅(うすもの)の表紙は、疾(と)く損ずるが侘しき」と人のいひしに、頓阿が、
「羅は上下はづれ、螺鈿(らでん)の軸は、貝落ちて後こそいみじけれ」と申し侍りしこそ、
心勝りて覺えしか。一部とある草紙などの、同じ樣(よう)にもあらぬを、醜しといへど、
弘融僧都が、「物を必ず一具に整へんとするは、拙(つたな)き者のする事なり。
不具なるこそよけれ」と言ひしも、いみじく覺えしなり。
「總(すべ)て、何も皆、事の整(ととの)ほりたるはあしき事なり。爲殘(しのこ)したるを、
さて打ち置きたるは、面白く、生き延ぶる事(わざ)なり。内裏造らるゝにも、必ず、
造り果てぬ所を殘す事なり」と、ある人申し侍りしなり。先賢の作れる内外(ないげ)の文にも、
章段の闕けたる事のみこそ侍れ


20 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/07/06(日) 00:08:05.76 ID:KD8bbLYd0
【第83段】
竹林院入道左大臣は、太政大臣になるのに何の支障もなかったんだけど、
「飽きた。左大臣でやめちゃおう」とか言ってさっさと出家してしまった。
洞院左大臣も、二番煎じで太政大臣になるまえに辞めてしまった。
「昇った龍は下るのを後悔する」っていうじゃん。満月も欠けるし、盛んなものも衰える。
先が詰まってきたら確かに転落人生の始まりかもしれんね。

原文
竹林院入道左大臣殿、太政大臣にあがり給はんに、何の滯りかおはせむなれども、
「珍しげなし。一の上(かみ)にてやみなん」とて、出家し給ひにけり。洞院左大臣殿
この事を甘心し給ひて、相國(しゃうごく)の望みおはせざりけり。
「亢龍の悔いあり」とかやいふ事侍るなり。月滿ちては缺け、物盛りにしては衰ふ。
萬の事、先の詰りたるは、破れに近き道なり。


21 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/07/06(日) 00:10:42.43 ID:KD8bbLYd0
【第84段】
三蔵法師がインドに向かって旅してるときにちょくちょくホームシックにかかってたって。
三蔵もたいしたことねーなwwwwwwwwwwwwというのは素人。
弘融僧都いわく「人間らしくていいじゃん。俺好きよ」
弘融僧都やるじゃんwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

原文
法顯(ほふげん)三藏の天竺に渡りて、故郷の扇を見ては悲しび、
病に臥しては漢の食を願ひ給ひける事を聞きて、「さばかりの人の、無下にこそ、
心弱き氣色を人の國にて見え給ひけれ」と人の言ひしに、弘融僧都、
「優に情ありける三藏かな」といひたりしこそ、法師の樣(よう)にもあらず、
心にくく覺えしか。


4 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 15:20:30.40 ID:4zCkW4W+0
【第85段】
人にはツンデレ要素があるから、うそとかたまにはあると思う。でも素直クールなのもありだと思う。
普通はできる人を見てちょっとうらやましい、くらいなんだけど、馬鹿は逆恨みして
「どうせ商業主義の偽善者なんだろ」とかくだまいちゃうwww
ほんとバカwwバカ丸出しwwwwwwww
この手の馬鹿は治らないwwもう手遅れwwちまちま小銭稼いで一生バカやってろwwwwwwwwwwww
道端で⊂二二二( ^ω^)二⊃とかしたら、こいつはバカ決定。
俺は悪い奴だぜとかいきがって人殺したら犯罪者。
馬だって駿馬になる努力をしたら駿馬になる。国家一種狙ってたら地方の公僕くらいにはなるよね。
バカでも死ぬ気で勉強したら賢いって言っていいかも(笑)ですwwwww


原文
人の心すなほならねば、偽りなきにしもあらず。されども、おのづから、正直の人、などかなからん。
己れすなほならねど、人の賢を見て羨むは、尋常なり。至りて愚かなる人は、たまたま賢なる人を見て、これを憎む。
「大きなる利を得んがために、少しきの利を受けず、偽り飾りて名を立てんとす」と謗る。
己れが心に違へるによりてこの嘲りをなすにて知りぬ、この人は、下愚の性移るべからず、
偽りて小利をも辞すべからず、仮りにも賢を学ぶべからず。
狂人の真似とて大路を走らば、即ち狂人なり。悪人の真似とて人を殺さば、悪人なり。
驥を学ぶは驥の類ひ、舜を学ぶは舜の徒なり。偽りても賢を学ばんを、賢といふべし。


23 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/07/06(日) 00:15:56.49 ID:KD8bbLYd0
【第86段】
惟継中納言はハイパーロマンティストで一生涯のベジタリアン。
お経を読み読み寺法師の円伊僧正と同居してたんだけど、文保の時に焼き討ちにあって
寺がなくなった。そのときの惟継中納言の言葉
「寺法師って呼んでたけど、寺がなくなったからこれから法師って呼ぶね」
なんという鬼才wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww


原文
惟繼(これつぐ)中納言は、風月の才に富める人なり。一生精進にて、讀經うちして、
寺法師の圓伊僧正と同宿して侍りけるに、文保に三井寺焼かれし時、坊主にあひて、
「御坊をば寺法師とこそ申しつれど、寺はなければ今よりは法師とこそ申さめ」
と言はれけり。いみじき秀句なりけり。


25 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/07/06(日) 00:34:15.88 ID:KD8bbLYd0
【第87段】
DQNには絶対酒を飲ませてはいけない。
宇治に住んでた男が、京都の具坊主っていうのと小舅の関係だったから仲良くしてたって。
その男、あるとき具坊主を迎えに馬をやったんだけど、長い道のりだったろうからってことで、
具坊主がその馬の口取りに酒を出したんだって。
その男は受け取った酒をがばがば飲むし、太刀とか持っちゃってちょっと頼もしく見えたようだえど、
道中、木幡のあたりで兵士を大勢つれた奈良法師に出会ったとき、この男がいきがって
「こんな日暮れにこんなところで何やってんだ? あぁ?」なんて言って太刀まで抜いて絡むもんだから
相手の兵士も太刀だの矢だので戦闘準備。あわてた具坊主は手をすりすり
「スンマセン、こいつ酔っ払いで、ホントスイマセン」
と平謝り。兵士は笑いながらとおりすぎてしまった。すると男は具坊主に向かって
「てめぇ、俺が酔ってるとかナメてんのか? あ? せっかく抜いた太刀が無駄じゃねーか、カスが」
と言って、具坊主をメッタ切り。
それから「山賊が出たぞ」とか叫んじゃって、あわててやってきた近所の人たちに
「俺が山賊なんだぜ、ハハー!」なんて叫びながらひとり無双乱舞。
結局フルボッコにされて縛り上げられた。
で、馬は血だらけになって宇治の家についた。主人びっくり。すぐに人を使って捜索させたら、
梔原で倒れてるのを発見して何とか連れて帰ったって。
命は助かったけど、腰とか切られて半身不随になったってさ。


26 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/07/06(日) 00:35:28.68 ID:KD8bbLYd0
原文
下部(しもべ)に酒のまする事は心すべき事なり。
宇治に住みける男(おのこ)、京に具覺坊とてなまめきたる遁世の僧を、小舅なりければ、
常に申し睦びけり。ある時、迎へに馬を遣したりければ、「遥かなる程なり。
口つきの男(おのこ)に、まづ一度せさせよ」とて、酒を出したれば、さしうけさしうけ、
よゝと飮みぬ。太刀うち佩きて、かひがひしげなれば、頼もしく覺えて、召し具して行くほどに、
木幡の程(ほど)にて、奈良法師の兵士(ひょうじ)あまた具して逢ひたるに、この男立ち對ひて、
「日暮れにたる山中に、怪しきぞ。止まり候へ」と言ひて、太刀をひき拔きければ、
人も皆太刀抜き、矢矧(やは)げなどしけるを、具覺坊手をすりて、
「現心(うつしごゝろ)なく醉ひたるものに候ふ。枉(ま)げて許し給はらん」と言ひければ、
おのおの嘲りて過ぎぬ。この男具覺坊にあひて、
「御坊は口惜しき事し給ひつるものかな。おのれ醉ひたること侍らず。高名仕らんとするを、
拔ける太刀空しくなし給ひつること」と怒りて、ひた斬りに斬り落しつ。
さて、「山賊(やまだち)あり」とのゝしりければ、里人おこりて出であへば、
「われこそ山賊よ」と言ひて、走りかゝりつゝ斬り廻りけるを、あまたして手負はせ、
打ち伏せて縛りけり。馬は血つきて、宇治大路の家に走り入りたり。
浅ましくて、男ども數多(あまた)走らかしたれば、具覺坊は、梔原(くちなしばら)にによひ伏したるを、
求め出でて舁(か)きもて來つ。辛き命生きたれど、腰きり損ぜられて、かたはに成りにけり。


28 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/07/06(日) 00:39:29.03 ID:KD8bbLYd0
【第88段】ある人が、小野道風の書いた和漢朗詠集ってのを持ってるのを
「疑ってるわけじゃないんだけど……四条大納言が選んだものを小野道風が書いたって
ちょっと時代が違うんじゃ……ないのかな? かな?」と言われたので
「だから珍品なんですよ」と言ってそれこそ大切にしてたってさ。


原文
或者、小野道風の書ける和漢朗詠集とて持ちたりけるを、ある人、
「御相傳浮けることには侍らじなれども、四條大納言撰ばれたるものを、道風書かむこと、
時代や違ひはべらむ、覺束なくこそ」といひければ、
「さ候へばこそ、世に有り難きものには侍りけれ」とていよいよ秘藏しけり。


15 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/28(土) 19:27:20.99 ID:XQ+bdVlA0
【第89段】
「山奥に猫またって化け物がいて、人を喰うらしいぜ」
「バッカ、猫またくらいそこらへんにいるだろ。年食った猫が猫またになって人を喰うんだよ」
という会話。とある何とかっていう連歌マニアの法師がそれを聞いて、
「マジ? ヤベェじゃん」とか思ってたって。
で、その法師がある日夜中まで連歌をやった帰り道、小川のあたりでキラリと光るまなざし。
うわさの猫またここに参上、ターゲットはもちろん法師。喉元をめがけて突っ込んでくる。
法師涙目、もう足もがたがた。小川に転がり込んで
「ね、ね、猫まただぁー!」(ジャーン、ジャーン)
と叫ぶもんだから、近所の人がびっくりしてやってきた。
で、みんなで法師を川から助け出したんだけど、連歌の賞品とか全部びしょびしょ。
まあそれでも危機一髪で助かったとフラフラ家に帰りついたって。
結局、何とか法師の飼い犬が飛びついてきただけでした。ちゃんちゃん^^


原文
「奧山に、猫またと云ふものありて、人を食ふなる」と人のいひけるに、
「山ならねども、これらにも、猫の經あがりて、猫またになりて、人とる事はあなるものを」
といふものありけるを、なに阿彌陀佛とかや連歌しける法師の、行願寺の邊にありけるが、
聞きて、「一人ありかむ身は心すべきことにこそ。」と思ひける頃しも、
ある所にて、夜ふくるまで連歌して、たゞ一人かへりけるに、小川(おがは)の端にて、
音に聞きし猫また、あやまたず足もとへふと寄り來て、やがて掻きつくまゝに、
頚のほどを食はんとす。肝心もうせて、防がんとするに力もなく、足も立たず、
小川へ転(ころ)び入りて、「助けよや、猫また、よやよや」と叫べば、
家々より松どもともして、走り寄りて見れば、このわたりに見知れる僧なり。
「こは如何(いか)に」とて、川の中より抱き起したれば、連歌の賭物とりて、
扇小箱など懷に持ちたりけるも、水に入りぬ。希有にして助かりたるさまにて、
這ふ這ふ家に入りにけり。
飼ひける犬の、暗けれど主を知りて、飛びつきたりけるとぞ。


5 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 15:28:17.43 ID:4zCkW4W+0
【第90段】
大納言法印のパシリの乙鶴丸は、やすら殿という人間と知り合いで、いつも遊びに行ってた。
ある日帰ってきた乙鶴丸に、法印が「どこに行ってたんだ?」と聞いたところ「やすら殿のとこです」と答える。
「そのやすら殿ってのは男か?それとも坊さんか?」と聞いたら、袖をすりすり「えっと、頭は見てません」だって。
何で頭見えねーんだよwwwwwwwwwwwwwww


原文
大納言法印の召使ひし乙鶴丸、やすら殿といふ者を知りて、常に行き通ひしに、
或時出でて帰り来たるを、法印、「いづくへ行きつるぞ」と問ひしかば、「やすら殿のがり罷りて候ふ」と言ふ。
「そのやすら殿は、男か法師か」とまた問はれて、袖掻き合せて、「いかゞ候ふらん。頭をば見候はず」と答へ申しき。
などか、頭ばかりの見えざりけん。


30 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/07/06(日) 00:49:11.95 ID:KD8bbLYd0
【第91段】
赤舌日っていうのは、陰陽道では何にもない日。昔は厄日でも何でもなかった。
最近じゃね? 厄日とかになったのって。
それで何もうまくいかないだのやることなすこと全部ダメだの得たものはなくすだの
バカじゃねーのwwwwwwwそんなやつは吉日選んだってダメだってのwwwwwwww
いいか、この世は変化の連続、あると思っても存在しない。はじめはあっても終わりはない。
望みはかなわない、欲は消えない、人の心は常にゆらゆら、すべては幻みたいに移りかわる。
とどまるものなんか何一つないってのにこの理屈が分かってない。
「吉日に悪事は必ず凶、凶日に善行は必ず吉」って言うだろ。
要するに吉凶とか人が決めてるんであって日とか関係ないからwwwwwwww


原文
赤舌日(しゃくぜつにち)といふ事、陰陽道(おんみゃうだう)には沙汰なき事なり。
昔の人これを忌まず。この頃、何者の言ひ出でて忌み始めけるにか、この日ある事、
末通らずといひて、その日言ひたりしこと、爲(し)たりし事、叶はず、得たりし物は失ひつ、
企てたりし事成らずといふ、愚かなり。吉日(きちにち)を選びてなしたるわざの、
末通らぬを數へて見んも、亦等しかるべし。
その故は、無常變易(へんやく)の境、ありと見るものも存せず、始めあることも終りなし。
志は遂げず。望みは絶えず。人の心不定(ふぢゃう)なり。ものみな幻化(げんげ)なり。
何事かしばらくも住する。この理(り)を知らざるなり。「吉日に惡をなすに、必ず凶なり。
惡日(あくにち)に善を行ふに、かならず吉(きつ)なり」といへり。
吉凶は人によりて、日によらず。


40 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/07/06(日) 01:21:28.29 ID:KD8bbLYd0
【第92段】
弓を習ってる人が、2本持って的に向かったって。そしたら師匠が
「カス初心者は2本も持っていくなよ。次があるとか思ったら気が緩むからな。
毎回1本、次はないと思えよ」だって。
たった2本なんだけどね、しかも師匠の前で失敗とか考えないじゃん、普通。
でも師匠はちゃんと見抜いてる。こういう考えっていろいろ当てはまるよね。
勉強しようと思ったら、だいたい朝は夕方しようとか、夕方は夕方で明日しようとか思うじゃん。
で、まあまあのんびりやろうとか思うじゃん。もう一瞬の油断とかそれ以前の話だよね。
結局一念発起ですぐに行動! とかはなかなか難しいわけで^^;


原文
ある人、弓射る事を習ふに、諸矢(もろや)をたばさみて的に向ふ。師の云はく、
「初心の人、二つの矢を持つことなかれ。後の矢を頼みて、初めの矢になほざりの心あり。
毎度たゞ得失なく、この一矢に定むべしと思へ」と言ふ。わづかに二つの矢、
師の前にて一つをおろそかにせんと思はんや。懈怠(けだい)の心、みづから知らずといへども、
師これを知る。このいましめ、萬事にわたるべし。
道を學する人、夕には朝あらむことを思ひ、朝には夕あらむことを思ひて
、重ねて懇(ねんごろ)に修せむことを期(ご)す。況んや一刹那のうちにおいて、
懈怠の心あることを知らんや。何ぞ、たゞ今の一念において、直ちにすることの甚だ難き。


7 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 15:52:43.80 ID:4zCkW4W+0
【第93段】
「牛を売ってた奴がいてさ、その牛を買う人が明日金持ってくるって話になったんだけど、
その日の夜に牛が死んだってさ。いや、買おうとしてた奴はラッキーだったよな」なんて話てた人がいた。
そこでちょっと痛い子が登場「売るほうは損してるように見えるけど、実は得してるんだよ!」
「な、なn(ry」「いいか、自分の死ぬ時期がわからんというのはこの牛も一緒。俺らも一緒なわけだ。
で、牛は死んだけど売る奴は生き残った。これはすごいことだぞ。牛代とか知れてるじゃん。
命拾いしてるんだよ?損なわけないだろ」なんて言っちゃうもんだから
「それ誰でも一緒じゃんwwwwww」とフルボッコwwww
でもその痛い子の次の言葉「いや、だからさ、死ぬとか怖いじゃん?命とか大切じゃん。
だから生きてることに感謝して楽しまないとダメっつってんだよ。ダメな奴はこういうことがわかってないから
ダメな生活を送るんだよ。ね、ボケッと生きてて死ぬ間際に死ぬのが怖いとかバカじゃん。
バカっていうより、わかってないじゃん。死ぬのが怖くないとかうそじゃん。
怖くないって人がいたらすごいよ。まあ、でもそれが真理かも知れないけどさ」
もうねwwwwもうねwwwwwwもちろんフルボッコwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww


原文
「牛を売る者あり。買ふ人、明日、その値をやりて、牛を取らんといふ。夜の間に牛死ぬ。
買はんとする人に利あり、売らんとする人に損あり」と語る人あり。
これを聞きて、かたへなる者の云はく、「牛の主、まことに損ありといへども、また、大きなる利あり。
その故は、生あるもの、死の近き事を知らざる事、牛、既にしかなり。人、また同じ。
はからざるに牛は死し、はからざるに主は存ぜり。一日の命、万金よりも重し。牛の値、鵝毛よりも軽し。
万金を得て一銭を失はん人、損ありと言ふべからず」と言ふに、皆人嘲りて、「その理は。牛の主に限るべからず」と言ふ。
また云はく、「されば、人、死を憎まば、生を愛すべし。存命の喜び、日々に楽しまざらんや。
愚かなる人、この楽しびを忘れて、いたづがはしく外の楽しびを求め、この財を忘れて、危く他の財を貪るには、志満つ事なし。
行ける間生を楽しまずして、死に臨みて死を恐れば、この理あるべからず。
人皆生を楽しまざるは、死を恐れざる故なり。死を恐れざるにはあらず、死の近き事を忘るゝなり。
もしまた、生死の相にあづからずといはば、実の理を得たりといふべし」と言ふに、人、いよいよ嘲る。


41 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/07/06(日) 01:26:49.80 ID:KD8bbLYd0
【第94段】
常盤井の太政大臣が宮中で仕事をしてたとき、勅書を持ってきた北面の武士が馬から下りたって。
それを見て太政大臣は
「北面の何とかは勅書を持ったまま馬から下りるバカなので、クビにしてくれ」
と言ったのでそいつクビ。
勅書を見せる時は馬から降りるなってさ。


原文
常磐井相國、出仕したまひけるに、敕書を持ちたる北面あひ奉りて、馬よりおりたりけるを、
相國、後に、「北面なにがしは、敕書を持ちながら下馬し侍りし者なり。かほどの者、
いかでか君に仕うまつり候ふべき」と申されければ、北面を放たれにけり。
勅書を馬の上ながら捧げて見せ奉るべし、下るべからずとぞ。


42 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/07/06(日) 01:31:55.21 ID:KD8bbLYd0
【第95段】
箱のくり型に紐を通すときはどっちから?職人に聞いてみました^^
A.どっちでもいい。強いて言えば文書箱がだいたい右。手箱はだいたい左。
だそうです^^


原文
「箱のくりかたに緒を著くる事、いづ方につけ侍るべきぞ」と、
ある有職の人に尋ね申し侍りしかば、「軸に付け、表紙につくること、兩説なれば、
何れも難なし。文の箱は、多くは右につく。手箱には軸につくるも常のことなり」
と仰せられき。


43 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/07/06(日) 01:33:52.59 ID:KD8bbLYd0
【第96段】
めなもみっていう草があるんだって。まむしに噛まれたときにこの草を揉んでつけたら治るって。
これ豆知識な。


原文
めなもみといふ草あり。蝮(くちばみ)にさされたる人、かの草を揉みてつけぬれば、
すなはち癒ゆとなん。見知りておくべし。


44 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/07/06(日) 01:36:37.70 ID:KD8bbLYd0
【第97段】
まとわりついてたら邪魔なものってあるよね。
体にはしらみ、家にはねずみ、国には賊とかね。
あとカスに財産、君子に義理人情、坊主に法ってとこかなwwwww


原文
其の物につきて、その物を費し損ふもの、數を知らずあり。身に虱あり。
家に鼠あり。國に賊あり。小人に財(ざい)あり。君子に仁義あり。僧に法あり。


45 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/07/06(日) 01:46:06.88 ID:KD8bbLYd0
【第98段】
偉い坊さんがつらつら書いて一言芳談とかタイトルがついてる草子があるんだけど、
気になった文句をちょっとピックアップ
1、したほうがいいかしないほうがいいか分からないことはすんな
1、極楽に行きたいなら味噌桶ひとつ持つな。経文とか仏さんも簡単なやつでいい
1、世の中捨てたら、何もなくても不自由しない方法を考えながら暮らせ。それが一番
1、上の者は下の者、頭がいい奴はバカ、金持ちは貧乏人、才能がある奴は無能な奴の
気持ちになってみるこった
1、仏の道ってのはそんなに難しくない。暇人になって世の中のことを考えないようにする。
これが最初だな
あと何かあったんだけど、忘れちゃった^^;


原文
尊き聖のい云ひ置きけることを書き付けて、一言芳談(いちごんほうだん)とかや
名づけたる草紙を見侍りしに、心に會(あ)ひて覺えし事ども。
一 爲(し)やせまし、爲(せ)ずやあらましと思ふことは、おほやうは、爲ぬはよきなり。
一 後世を思はんものは、糂汰瓶(じんだがめ)一つも持つまじきことなり。持經(ぢきゃう)・
本尊(ほぞん)にいたるまで、よき物を持つ、よしなきことなり。
一 遁世者は、なきに事かけぬやうをはからひて過ぐる、最上のやうにてあるなり。
一 上臈は下臈になり、智者は愚者になり、徳人は貧になり、能ある人は無能になるべきなり。
一 佛道を願ふといふは、別のこと無し、暇ある身になりて、世のこと心にかけぬを、第一の道とす。
この外も、ありし事ども、覺えず。


47 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/07/06(日) 01:53:21.24 ID:KD8bbLYd0
【第99段】
堀川の太政大臣はイケメン、リア充でハデ好き。次男の基俊に検非違使をやらせてたときに、
「役所の唐櫃が汚い、新しいのにしろよ」と命じたんだけど
この唐櫃は昔から使ってるものでもう数100年くらい経ってる。公用品は古いほうがいいんだから
新しくとかできません。と故事に詳しい役人が言ったので命令取り消しwwwざまぁwwwwwww


原文
堀河の相國は、美男のたのしき人にて、その事となく過差を好み給ひけり。
御子基俊卿を大理(だいり)になして、廳務を行はれけるに、
廳屋の唐櫃見苦しとて、めでたく作り改めらるべきよし仰せられけるに、
この唐櫃は、上古より傳はりて、その始めを知らず、數百年を經たり。累代の公物、
古弊をもちて規模とす。たやすく改められ難きよし、故實の諸官等申しければ、
その事やみにけり。


49 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/07/06(日) 01:55:59.52 ID:KD8bbLYd0
【第100段】
久我の太政大臣が殿上で水を飲もうとしたので、主殿司が土器を持ってきたって。
そしたらまがりを持って来いって。で、そのまがりで水を飲んだってさ。


原文
久我の相國は、殿上にて水を召しけるに、主殿司(とのもづかさ)、土器(かわらけ)を
奉(たてまつ)りければ、「まがりを參らせよ」とて、まがりしてぞ召しける。


4 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/07/06(日) 16:04:39.99 ID:KD8bbLYd0
【第101段】
ある人が任大臣の節会の内弁の役をしたときに、内記が持ってた宣命を取らずに壇上に上がってしまった。
めっちゃまずい状況だったんだけど、戻るわけにもいかない。
もうダメっっと思ったところで、六位の外記の康綱が衣被の女官に宣命を持たせて、
こっそり渡したって。よかったね^^


原文
ある人、任大臣の節會の内辨を勤められけるに、内記のもちたる宣命を取らずして、
堂上せられにけり。きはまりなき失禮(しちらい)なれども、立ち帰り取るべきにもあらず、
思ひ煩はれけるに、六位の外記(げき)康綱、衣被(きぬかづ)の女房をかたらひて、
かの宣命をもたせて、忍びやかに奉らせけり。いみじかりけり。


6 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/07/06(日) 16:15:35.13 ID:KD8bbLYd0
【第102段】
尹大納言の光忠卿が追儀の進行役をやることになったので、洞院右大臣にやり方を聞いてみた。
「そういうのは又五郎先生に聞いたらいいっスよ」って。
その又五郎というのは、公事に詳しいじいさん衞士なんだって。
前に近衞殿が進行役をしたときに、敷物を敷き忘れて外記を呼んでしまってたもんだから
その時に火をたいていた又五郎が「先に敷物じゃね?」とこっそり教えてくれたって。
そういう人がいたら助かるよね^^


原文
尹大納言光忠卿、追儺の上卿(しゃうけい)を務められけるに、
洞院右大臣殿に次第を申し請けられければ、「又五郎男を師とするより外の才覺候はじ」
とぞ宣ひける。かの又五郎は、老いたる衞士の、よく公事に馴れたる者にてぞありける。
近衞殿著陣したまひける時、膝突を忘れて、外記を召されければ、火たきて候ひけるが、
「まづ膝突をめさるべくや候らん」と、忍びやかに呟(つぶや)きける、いとをかしかりけり。


7 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/07/06(日) 16:24:29.67 ID:KD8bbLYd0
【第103段】
大覚寺殿で、殿内の人たちでなぞなぞしてたって。
そこに医者の平忠守が顔を出したので、侍従大納言の公明卿が
「我が国の人間じゃないっぽい忠守ってなんだ?」となぞかけ。
「唐の平氏なだけに唐瓶子」という答えにみんな爆笑www
平忠守はブチ切れて出て行ったってさ。


原文
大覺寺殿にて、近習の人ども、なぞなぞをつくりて解かれけるところへ、
醫師忠守 參りたりけるに、侍從大納言公明卿、「我が朝のものとも見えぬ忠守かな」
となぞなぞにせられたりけるを、「唐瓶子」と解きて笑ひあはれければ、
腹立ちて退(まか)り出にけり。


9 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/07/06(日) 17:04:40.35 ID:KD8bbLYd0
【第104段】
人気のない荒れた宿に、訳ありの女が一人隠れ住んでいた。
ある男が夕方、月が出始めたころにお忍びでその女を見舞いに行った。
犬がギャンギャン吠える。中から召使いの女が出てくる。
「どちら様でしょう」
ちょっとしたやりとりの後で奥に案内される。
薄汚れた建物の様子は、その生活ぶりを想像させるに十分だった。
古びた板敷きのあたりにたどり着くと、ここで待っておくように言われた。
しばらく待っていると、落ち着いた、しかし若い女の声で「どうぞ」という声が聞こえた。
ある男は、立て開けの狭い遣り戸から中に入った。
部屋の中はそれほど汚れてはおらず、灯りは遠くからかすかに差し込んでくる程度だったが、
その分家具などがうっすらと綺麗に見え、ずっと焚いていたような香のにおいが心地よく感じられる。
「門はお閉めになって。雨も降っておりますから、御車は中に。お供の方もどこそこにどうぞ」
と女が言う。それを聞いて、「今夜はゆっくり寝られそうだ」などと供がささやいているが、
狭い家なのでほのかに聞こえてきた。
夜中、積もる話をいろいろしていたら、とうとう一番鶏が鳴きだした。それから、これからのことを
話していたら、ところどころから鶏の鳴き声が聞こえてきた。
「もう夜明け。いってしまうの?」
と女が聞く。
夜明け前にそそくさと帰らなければならないわけでもなかったので、男はもうしばらく話していた。
そのうち、戸の隙間から光が差し込んできた。別れ際に一言二言ささやいて、家を後にする。
梢や庭が青みがかった4月の朝。
そのロマンスが忘れられずに、今でも桂の巨木が隠れるまで見送るとか、見送らないとか。


10 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/07/06(日) 17:05:54.69 ID:KD8bbLYd0
原文
荒れたる宿の、人目なきに、女の憚る事あるころにて、つれづれと籠り居たるを、ある人、
とぶらひ給はんとて、夕月夜のおぼつかなき程に、忍びて尋ねおはしたるに、
犬のことごとしく咎(とが)むれば、下衆女(げすおんな)の出(い)でて、「いづくよりぞ」
と言ふに、やがて案内(あない)せさせて入り給ひぬ。心ぼそげなる有様、
いかで過すらんと、いと心ぐるし。あやしき板敷に、しばし立ち給へるを、
もてしづめたるけはひの、若やかなるして、「こなた」と言ふ人あれば、
たてあけ所 狭げなる遣戸よりぞ入り給ひぬる。
内のさまは、いたくすさまじからず。心にくく、灯はかなたにほのかなれど、
ものの綺羅など見えて、俄かにしもあらぬ匂ひ、いとなつかしう住みなしたり。
「門(かど)よくさしてよ。雨もぞふる。御車は門の下に、御供(おんとも)の人はそこそこに」と言へば、
「今宵ぞやすき寝(い)は寢(ぬ)べかめる」と、うちさゝめくも、忍びたれど、ほどなければ、ほの聞ゆ。
さて、この程の事ども、細やかに聞え給ふに、夜ぶかき鳥も鳴きぬ。
來(こ)しかた行くすゑかけて、まめやかなる御物語に、この度は鳥も花やかなる聲にうちしきれば、
明け離るゝにやと聞きたまへど、夜深く急ぐべきところの様(さま)にもあらねば、
少したゆみ給へるに、隙(ひま)白くなれば、忘れ難きことなど言ひて、立ち出で給ふに、
梢も庭もめづらしく青みわたりたる卯月ばかりの曙、艷にをかしかりしを思(おぼ)し出でて、
桂の木の大きなるが隠るゝまで、今も見送り給ふとぞ。


12 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/07/06(日) 17:16:34.77 ID:KD8bbLYd0
【第105段】
家の北側に雪が残っていて、凍っている。そこに寄せている車の長柄にも霜が降りて輝いている。
夜明けの月がささやかに、しかしはっきりと見える。
そんな人里はなれたお堂の縁側で、イケてる男と女が語らっている。
ストーキングの鬼と呼ばれたこの俺の食指も動くってもんだ。
顔とか姿は合格ライン。周りからはありえないほどいいにおいがしてくる。
話していることがちょこちょこ聞こえてくるのもすばらしかったよ^^


原文
北の家陰に消え殘りたる雪の、いたう凍りたるに、さし寄せたる車の轅(ながえ)も、
霜いたくきらめきて、有明の月さやかなれども、隈(くま)なくはあらぬに、
人離れなる御堂の廊に、なみなみにはあらずと見ゆる男、女と長押に尻かけて、
物語するさまこそ、何事にかあらん、盡きすまじけれ。
かぶし・かたちなど、いとよしと見えて、えもいはぬ匂ひの、さと薫りたるこそ、をかしけれ。
けはいなど、はづれはづれ聞こえたるも、ゆかし。


13 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/07/06(日) 17:17:16.30 ID:Ds3lMytwO
こゆの好きだw


14 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/07/06(日) 17:26:29.70 ID:KD8bbLYd0
【第106段】
高野山の證空上人が京都に行くときに、細い道で馬に乗った女とすれ違ったって。
そのとき口引きの男がちょっとミスって上人の馬を堀に落としてしまった。
上人ブチ切れ。「お前たいがいにしろよコラ、いいか、俺が比丘ならお前は優婆夷。
優婆夷の分際が俺を堀に落とすとかブッ殺すぞダボが」とさんざんあたる。
それに対して口引きの男が「ちょwwww言ってることがイミフwwwwwwww」なんていうもんだから、
上人ますますブチ切れ。
「バカ、もうバカ通り越して激。激バカ。わかってんのかバカ」
といい感じに散らしたところで言いすぎに気づき、涙目で逃げてしまった。
これはリアルに聞いてみたかったwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww


原文
高野の證空上人、京へ上りけるに、細道にて、馬に乘りたる女の行きあひたりけるが、
口引きける男、あしく引きて、聖の馬を堀へ落してけり。
聖、いと腹あしく咎めて、「こは希有の狼藉かな。四部の弟子はよな、
比丘よりは比丘尼は劣り、比丘尼より優婆塞は劣り、優婆塞より優婆夷は劣れり。
かくの如くの優婆夷などの身にて、比丘を堀に蹴入れさする、未曾有の惡行なり」
といはれければ、口引きの男、「いかに仰せらるゝやらん、えこそ聞き知らね」といふに、
上人なほいきまきて、「何といふぞ。非修(ひしゅ)非學の男(おのこ)」とあらゝかに言ひて、
きはまりなき放言しつと思ひける氣色にて、馬引きかへして逃げられにけり。
尊かりける諍(いさか)いなるべし。


16 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/07/06(日) 18:03:51.72 ID:KD8bbLYd0
【第107段】
女が言おうとしたことにいい感じの返事ができるのかありえないってことで、
亀山院の時にスイーツな女官たちが、若い男が参上するたびに
「ホトトギスの声を聞かれましたか?」なんてからかい半分で聞いていた。
何とか大納言「自分低脳ッスからwwwwサーセンwwwwwwwww」
堀河内大臣「岩倉で聞いてきましたよ」
そういうのを聞いては「岩倉とかとかがいんじゃない? 低脳とかねーよwwwwwwwwwwwwww」
とか評価しあってたって。
男ってのは、女に笑われないように勉強しとかないといけない。
浄土寺の前関白殿は安喜門院さまが小さい頃からしっかり教育してるから言葉遣いも丁寧だとか。
山階左大臣は、カス女にでもちゃんと気を配ってるとか。
まあ、女がいなけりゃ身だしなみなんかどうでもよくなるよね。
で、男はこんな風にがんばってるわけだけど。女の本性はクズだから。
わがままで貪欲、理屈とか無視で心移りも余裕。言葉の使いまわしばっかりうまい。
些細なことを聞いてみても答えない。警戒してるんだろなと思ったら、
どうでもいいことまで聞いてもないのにべらべらしゃべる。
深いことを考えて表面を飾ってるように見えるから、男より賢いかと思ったら、その飾りもあっさりはがれちゃう。
要するに女はツンデレでバカ。そんなのに付き合ってたら疲れるに決まってんだろ。
ま、女の戯言にいちいち付き合う必要なんてないってこった。逆に賢い女なんかいたってつまらんだけだし。
ただ、イロコイの話は別ね。これはがんばりどころだから。


17 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/07/06(日) 18:05:07.38 ID:KD8bbLYd0
原文
女の物いひかけたる返り事、とりあへずよき程にする男は、有りがたきものぞとて、
龜山院の御時、しれたる女房ども、若き男達(おのこだち)の參らるゝ毎に、
「郭公(ほととぎす)や聞き給へる」と問ひて試みられけるに、某の大納言とかやは、
「數ならぬ身は、え聞き候はず」と答へられけり。堀河内大臣殿は、「岩倉にて聞きて候ひしやらん」
と仰せられけるを、「これは難なし。數ならぬ身むつかし」など定め合はれけり。
すべて男(おのこ)をば、女に笑はれぬ樣におほしたつべしとぞ。「淨土寺の前關白殿は、
幼くて、安喜門院のよく教へまゐらせさせ給ひける故に、御詞などのよきぞ」と人の仰せられけるとかや。
山階左大臣殿は、「怪しの下女(げぢょ)の見奉るも、いと恥しく、心づかひせらるゝ」とこそ、仰せられけれ。
女のなき世なりせば、衣紋(えもん)も冠も、いかにもあれ、ひきつくろふ人も侍らじ。
かく人に恥ぢらるゝ女、いかばかりいみじきものぞと思ふに、女の性(しょう)は皆ひがめり。
人我(にんが)の相深く、貪欲甚だしく、物の理を知らず、たゞ迷ひの方に心も早く移り、詞も巧みに、
苦しからぬ事をも問ふ時は言はず。用意あるかと見れば、また、あさましき事まで、
問はずがたりに言ひ出す。深くたばかり飾れる事は、男の智慧にも優りたるかと思へば、
その事、あとより顯はるゝを知らず。質朴(すなお)ならずして、拙きものは女なり。
その心に隨ひてよく思はれんことは、心憂かるべし。されば、何かは女の恥かしからん。
もし賢女あらば、それも物うとく、すさまじかりなん。たゞ迷ひを主(あるじ)としてかれに隨ふ時、
やさしくもおもしろくも覺ゆべきことなり。


10 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 16:18:06.56 ID:4zCkW4W+0
【第108段】
寸間を惜しむ人はいない。わかってんのかバカなのかは紙一重だけどね。
バカにあえて言うなら、小銭でも大切にしてたら大富豪の仲間入り。商売人の小銭の執着心とかマジパネェから。
ちょっとくらいって思ってても時間なんかいつのまにか過ぎてしまってるもんだ。
ということで、勉強中のクズ共は先のことなんかどうでもいいから、今の一瞬に打ち込め。
もし誰かが来て「君は明日死ぬ」とか言われてみ? 夕方近い時間からいったい何すんの? 
マジで明日死ぬかもしれないんだよ?
一日生きてて、メシ、トイレ、寝る、しゃべる、歩く、まぁこんなことでえらい時間を使ってしまうわけだ。
で、余った時間とかちょっとしかないのにまったく無駄な使い方ばっかりして、結局一日、一月、一生が終わり。
もうほんとバカとしか言いようがない。
謝霊運は法華経の翻訳とかしてた人だけど、頭にお花畑が広がってるボケナスだったから白蓮社には出入禁止。
やる気がない奴は死んでるのと一緒。何で時間を惜しむか。何の心配もなくのうのうと生きてるだけでいいなら
それでいいけど、やってる奴はやってるよって言いたいだけなんだよ、わかったかクズ共^^


原文
寸陰惜しむ人なし。これ、よく知れるか、愚かなるか。愚かにして怠る人のために言はば、
一銭軽しと言へども、これを重ぬれば、貧しき人を富める人となす。されば、商人の、一銭を惜しむ心、切なり。
刹那覚えずといへども、これを運びて止まざれば、命を終ふる期、忽ちに至る。
されば、道人は、遠く日月を惜しむべからず。たゞ今の一念、空しく過ぐる事を惜しむべし。
もし、人来りて、我が命、明日は必ず失はるべしと告げ知らせたらんに、今日の暮るゝ間、何事をか頼み、
何事をか営まん。我等が生ける今日の日、何ぞ、その時節に異ならん。
一日のうちに、飲食・便利・睡眠・言語・行歩、止む事を得ずして、多くの時を失ふ。
その余りの暇幾ばくならぬうちに、無益の事をなし、無益の事を言ひ、無益の事を思惟して時を移すのみならず、
日を消し、月を亘りて、一生を送る、尤も愚かなり。
謝霊運は、法華の筆受なりしかども、心、常に風雲の思を観ぜしかば恵遠、百蓮の交りを許さざりき。
暫くもこれなき時は、死人に同じ。光陰何のためにか惜しむとならば、内に思慮なく、外に世事なくして、
止まん人は止み、修せん人は修せよとなり。


19 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/07/06(日) 18:11:05.44 ID:KD8bbLYd0
【第109段】
とある木登り名人、弟子に高い木の梢を切らせてたんだけど、危なっかしくても何にも言わない。
で、終わって軒先の高さまで降りてきたところで「気をつけて降りてこいよ」と言った。
「こんくらい飛び降りてもいいじゃん。何言ってんの?」と聞いたら、
「ああ、枝を切るときとか危ないと思いながらやるだろ、だから別にいいんだよ。
安心したときが一番危ないんだよ。」と教えてくれた。
カスのくせにいいこというじゃない。蹴鞠も難しいところから蹴っていって、簡単なとこだとあっさりミスるもんね。


原文
高名の木のぼりといひし男(おのこ)、人を掟てて、高き木にのぼせて梢を切らせしに、
いと危く見えしほどはいふこともなくて、降るゝ時に、軒長(のきたけ)ばかりになりて、
「あやまちすな。心して降りよ」と言葉をかけ侍りしを、「かばかりになりては、
飛び降るとも降りなん。如何にかく言ふぞ」と申し侍りしかば、「その事に候。目くるめき、
枝危きほどは、おのれが恐れ侍れば申さず。あやまちは、安き所になりて、
必ず仕ることに候」といふ。
あやしき下臈なれども、聖人の戒めにかなへり。鞠も、かたき所を蹴出して後、
やすくおもへば、必ず落つと侍るやらむ。


23 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/07/06(日) 18:15:07.34 ID:KD8bbLYd0
【第110段】
双六の天才に勝ち方を聞いてみた
「勝とうとかすんなよ。負けなきゃいいんだから。負けそうな手を考えるだろ、そしたらその手は使わない。
とにかく一目でも負けが遅くなるように打ちゃいいんだよ」
どこの世界でも一緒っつーことだな。


原文
雙六(すぐろく)の上手といひし人に、その術(てだて)を問ひ侍りしかば、
「勝たんとうつべからず、負けじとうつべきなり。いづれの手か疾く負けぬべきと案じて、
その手を使はずして、一目なりとも遲く負くべき手につくべし」といふ。
道を知れる教(おしえ)、身を修め、國を保たむ道も、またしかなり。


107 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 21:32:43.13 ID:m7A3yFaz0
保守がわりに徒然草

『第百十段』
双六の上手といひし人に、その手立を問ひ侍りしかば、
「勝たんと打つべからず。負けじと打つべきなり。いづれの手か疾く負けぬべきと案じて、その手を使はずして、一目なりともおそく負くべき手につくべし」と言ふ。

道を知れる教、身を治め、国を保たん道も、またしかなり。



【第110段】
モノポリーのチャンピオンに、勝つためのセオリーを訊いてみたんだわ。
そしたら、
「勝ちたいと思って打っちゃ…ダメッ…、負けぬ…と思って打つッ…!どう打ったら…すぐにでも負けてしまうか…これをまず考えるッ…
 わかったら…その手は禁じ手…絶対的悪手…ッ!一マスでも差をつけッ…『負け』が遠のく打ち筋ッ…!それが…神の一手…ッ!」
だってさ。

研究や政治も同じことだよね、ちったぁ見習えっつーのwww


13 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 16:21:33.18 ID:4zCkW4W+0
【第111段】
「ひがな一日ゲームばっかりやってる奴は死ねばいいと思うよ」
とある偉い人の言葉です。ありがたく聞けよ^^


原文
「囲碁・双六好みて明かし暮らす人は、四重・五逆にもまされる悪事とぞ思ふ」
と、或ひじりの申しし事、耳に止まりて、いみじく覚え侍り。


14 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 16:25:07.98 ID:AxcmwJgV0
今日一日ゲームやってた俺涙目


25 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/07/06(日) 18:49:26.40 ID:KD8bbLYd0
【第112段】
明日遠くに行こうとするやつに、時間がかかる用事頼むバカはいないだろ。
急用抱えてる奴とか鬱入ってる奴とか、他のこと何も気にしないじゃん。
人事とかどうでもいいじゃん。でも誰も叩かないじゃん。
老いぼれとか病人とか世捨て人とかもこれと一緒って思っていいんだよ。
どうせ行事だのなんだのとか簡単に捨てていいんだから。
そういうのをやろうとしたら、あれもしたいこれもしたいだの考え事ばっかり増えて
戯言に埋もれながらいつの間にか年食ってる。
日は暮れたけどまだ先は長い。すでに人生は下り坂。こうなったらさっさとリタイアしようぜ。
信用もいらない、礼儀もいらない。わからん奴は気違いにでもなれよ。常識もない、人情もない。
叩かれてもほめられても無視しとけよ。


原文
明日は遠國へ赴くべしと聞かん人に、心しづかになすべからむわざをば、人言ひかけてむや。
俄の大事をも營み、切(せち)に歎くこともある人は、他の事を聞き入れず、人の愁い・喜びをも問はず。
問はずとて、などやと恨むる人もなし。
されば年もやうやうたけ、病にもまつはれ、況んや世をも遁れたらん人、亦これに同じかるべし。
人間の儀式、いづれの事か去り難からぬ。世俗の默し難きに從ひて、これを必ずとせば、
願ひも多く、身も苦しく、心の暇もなく、一生は雜事の小節にさへられて、空しく暮れなん。
日暮れ、道遠し、吾が生(しゃう)既に蹉だたり、諸縁を放下すべき時なり。
信をも守らじ、禮儀をも思はじ。この心を持たざらん人は、物狂ひともいへ。
現(うつう)なし、情なしとも思へ。譏(そし)るとも苦しまじ。譽むとも聞きいれじ。


15 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 16:33:46.89 ID:4zCkW4W+0
【愛113段】
40超えたおっさんがイロコイに目覚めて、黙っとけばいいのに男がどうのとか女がどうのとか、
調子にのって他人事にまで首つっこんじゃうのが痛々しくて見てらんないwwww
おっさんがゆとりに混じってウケ狙い、クズのくせにまるで有名人みたいに自分語り、
貧乏人が見え張っておごりでオフ会、こういうのマジ痛いからwwwwwwwwwww自重しろよwwwww


原文
四十にも余りぬる人の、色めきたる方、おのづから忍びてあらんは、いかゞはせん、言に打ち出でて、
男・女の事、人の上をも言ひ戯るゝこそ、にげなく、見苦しけれ。
大方、聞きにくゝ、見苦しき事、老人の、若き人に交りて、興あらんと物言ひゐたる。
数ならぬ身にて、世の覚えある人を隔てなきさまに言ひたる。貧しき所に、酒宴好み、客人に饗応せんときらめきたる。


26 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/07/06(日) 19:00:30.38 ID:KD8bbLYd0
【第114段】
今出川の太政大臣が嵯峨に向かってる途中で、有栖川を渡るときに斎王丸が牛車の牛を
水の中に追い立てた。で、牛が入った水しぶきが車の前板までひっかかったから、
為則が「クソガキが、こんな入れ方すんなよ、ボケ」なんていうものだから、太政大臣が逆ギレ
「お前、こいつより牛の扱いわかってて言ってんのか? あ?」と言って為則の頭を車に打ち付けた。
この斎王丸ってのは太秦殿の男子専用の牛飼いで、太秦殿自体が牛飼いの家系だったから
女官の名前も膝幸、こと槌、胞腹、乙牛と牛にちなんだ名前がついてるってさ。


原文
今出川のおほい殿、嵯峨へおはしけるに、有栖川のわたりに、水の流れたる所にて、
齋王丸御牛を追ひたりければ、足掻(あがき)の水、前板までさゝとかゝりけるを、
爲則、御車の後(しり)に候ひけるが、「希有の童(わらは)かな。斯る所にて御牛をば追ふものか」
と言ひたりければ、おほい殿、御氣色悪しくなりて、「おのれ、車やらんこと、齋王丸に勝りてえ知らじ。
希有の男なり」とて御車に頭をうちあてられにけり。
この高名の齋王丸は、太秦殿(うづまさどの)の男、料の御牛飼ぞかし。
この太秦殿に侍りける女房の名ども、一人は膝幸(ひざさち)、一人はこと槌(ことつち)、
一人は胞腹(はうはら)、一人は乙牛(おとうし)とつけられけり。


29 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/07/06(日) 19:09:32.17 ID:KD8bbLYd0
【第115段】
宿河原というところに、ぼろぼろというのがたむろって九品の念仏を唱えてた。
そこにやってきたとあるぼろぼろ、「この中にいろおし坊はいないか」と聞いた。
「あ? 俺だけど、何か用?」
「俺はしら梵字。お前、俺の師匠殺したろ。東の国からわざわざやってきてやったぜ」
「あぁ、そんなこともあったな。いいぜ、相手してやるから表に出な。お前ら、邪魔すんなよ」
そういって二人で外の河原で戦って、相打ちして死んだそうだ。
ぼろぼろってのは昔はいなかったんだけど、最近増えたみたいね。梵論字とか梵字とか漢字とか
言ってたのがはしりみたいだけど、わがままで喧嘩っ早い。
ちょっとDQNっぽいけど何か命知らずなとことかがかっこいいからメモってみた。


原文
宿河原といふ所にて、ぼろぼろ多く集りて、九品の念佛を申しけるに、外より入りくるぼろぼろの、
「もしこの中(うち)に、いろをし坊と申すぼろやおはします」と尋ねければ、その中より、
「いろをし、こゝに候。かく宣ふは誰(た)ぞ」と答ふれば、「しら梵字と申す者なり。
おのれが師、なにがしと申しし人、東國にて、いろをしと申すぼろに殺されけりと承りしかば、
その人に逢ひ奉りて、恨み申さばやと思ひて、尋ね申すなり」と言ふ。いろをし、
「ゆゝしくも尋ねおはしたり。さる事はべりき。こゝにて對面したてまつらば、
道場をけがし侍るべし。前の河原へ参り合はん。あなかしこ。わきざしたち、
いづ方をも見つぎ給ふな。數多のわづらひにならば、佛事のさまたげに侍るべし」
と言ひ定めて、二人河原に出であひて、心ゆくばかりに貫きあひて、共に死にけり。
ぼろぼろといふものは、昔はなかりけるにや。近き世に、梵論字(ぼろんじ)・梵字・漢字などいひける者、
そのはじめなりけるとかや。世を捨てたるに似て、我執ふかく、佛道を願ふに似て、
闘諍(とうじゃう)を事とす。放逸無慚のありさまなれども、死を輕くして、
少しもなづまざる方(かた)のいさぎよく覺えて、人の語りしまゝに書きつけ侍るなり。


16 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 16:41:17.24 ID:4zCkW4W+0
【第116段】
寺の名前とか物の名前とか、昔は普通につけてた。最近はひねってるか何かわからんけど、アホな名前が増えてる。
子どもにDQNネームつけてる親とか何なの?死ぬの?
そういうの、アホがやることだからwwww普通の人はしないからwwwww


原文
寺院の号、さらぬ万の物にも、名を付くる事、昔の人は、少しも求めず、たゞ、ありのまゝに、やすく付けけるなり。
この比は、深く案じ、才覚をあらはさんとしたるやうに聞ゆる、いとむつかし。
人の名も、目慣れぬ文字を付かんとする、益なき事なり。
何事も、珍しき事を求め、異説を好むは、浅才の人の必ずある事なりとぞ。


32 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/07/06(日) 19:14:28.22 ID:KD8bbLYd0
【第117段】
友達にしたらいけない7タイプ。エリート、若者、病気知らず、酒好き、強い奴、うそつき、強欲な奴。
友達にしたいのは3タイプ。ものをくれる人、医者、賢い奴。


原文
友とするに惡(わろ)き者、七つあり。一つには、高くやんごとなき人、二つには、若き人。
三つには、病なく身つよき人。四つには、酒を好む人。五つには、武(たけ)く勇める兵。
六つには、虚言(そらごと)する人。七つには、慾ふかき人。
善き友三つあり。一つには、ものくるゝ友。二つには、、醫師。三つには、智惠ある友。


35 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/07/06(日) 19:36:07.17 ID:KD8bbLYd0
【第118段】
鯉のお吸い物食ったら髪がほつれないって。膠作るときに骨使うじゃん。粘りとかでるんだろうね。
鯉は天皇の食事にもでるくらいだから、やっぱいい魚なんだよな。鳥だったら雉かな。
それに松茸なんかが入ったお吸い物ね。これはやばいだろ。もう他の食いもんがカスに見える。
中宮の御殿の風呂にある黒い棚に雁が置いてあったって。それを北山入道が見て、帰ったあと早速報告。
「あんなのが棚にあるとかありえないから。俺だったらブチ切れだから。そこまともな奴がいないでしょ」
ってさ。


原文
鯉の羮(あつもの)食ひたる日は、鬢(びん)そゝけずとなむ。膠(にかは)にも作るものなれば、粘りたる物にこそ。
鯉ばかりこそ、御前にても切らるゝものなれば、やんごとなき魚なり。鳥には雉、さうなきものなり。
雉・松茸などは、御湯殿(おゆどの)の上にかゝりたるも苦しからず。その外は心憂きことなり。
中宮の御方の御湯殿の上の黒御棚(くろみのたな)に、雁の見えつるを、北山入道殿の御覽じて、
歸らせたまひて、やがて御文にて、「かやうのもの、さながらその姿にて、御棚にゐて候ひしこと、見ならはず。
さま惡しきことなり。はかばかしき人のさぶらはぬ故にこそ」など申されたりけり。


36 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/07/06(日) 19:39:20.02 ID:KD8bbLYd0
【第119段】
鎌倉に鰹って魚がいるんだって。最近うまいって出回ってるみたい。
ただ鎌倉の古参に言わせれば「わしらの代じゃあんなもんカス扱いで、頭とか誰も食わなかった」そうだ
こんなもんが出回るとか世も末だね^^


原文
鎌倉の海に鰹といふ魚は、かの境には雙なきものにて、この頃もてなすものなり。
それも、鎌倉の年寄の申し侍りしは、「この魚、おのれ等若かりし世までは、
はかばかしき人の前へ出づること侍らざりき。頭は下部も食はず、
切り捨て侍りしものなり」と申しき。
かやうの物も、世の末になれば、上ざままでも入りたつわざにこそ侍れ。


19 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 16:46:57.37 ID:4zCkW4W+0
【第120段】
中国産は、薬以外いりません。本も大分ひろまったからコピ本とかも結構出回ってるしね。
中国から日本海の荒波をガラクタ積んでえっちらおっちら来てるんでしょ?バカじゃねーの?
「海外品は宝じゃない」「レア物はほしがっちゃいけない」って中国の本に書いてるじゃんwww


原文
唐の物は、薬の外は、みななくとも事欠くまじ。書どもは、この国に多く広まりぬれば、書きも写してん。
唐土舟の、たやすからぬ道に、無用の物どものみ取り積みて、所狭く渡しもて来る、いと愚かなり。
「遠き物を宝とせず」とも、また、「得難き貨を貴まず」とも、文にも侍るとかや。


39 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/07/06(日) 19:45:53.52 ID:KD8bbLYd0
【第121段】
家畜といったら馬か牛。繋いどくのもちょっと気が引けるけど、必要だしね。しょうがない。
犬は防犯用。人より使えるから飼ったほうがいいね。ま、あちこちにいるからわざわざ飼う必要もないか。
それ以外は飼育禁止な。ケモノが檻、鳥が籠に入れられたらもう自由がなくなるじゃん。
かわいそうじゃん。それを楽しむとか鬼畜じゃん。王子猷は野生の鳥とか獣とかが好きだったの。
飼ってたわけと違うから。
「珍しい鳥とかあやしいケモノは国内持ち込み禁止」って書いてるだろ。


原文
養ひ飼ふものには馬・牛。繋ぎ苦しむるこそ痛ましけれど、なくて叶はぬ物なれば、如何はせむ。
犬は、守り防ぐつとめ、人にも優りたれば、必ずあるべし。されど、家毎にあるものなれば、
ことさらに求め飼はずともありなん。
その外の鳥・獸、すべて用なきものなり。走る獸は檻にこめ、鎖をさされ、飛ぶ鳥は翼を切り、
籠(こ)に入れられて、雲を戀ひ、野山を思ふ愁へ、やむ時なし。その思ひ我が身にあたりて忍び難くは、
心あらん人、これを樂しまんや。生(しゃう)を苦しめて目を喜ばしむるは、桀・紂が心なり。
王子猷が鳥を愛せし、林に樂しぶを見て逍遥の友としき。捕へ苦しめたるにあらず。
「凡そ、珍しき鳥、怪しき獸、國に養はず」とこそ文にも侍るなれ。


42 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/07/06(日) 20:00:53.37 ID:KD8bbLYd0
【第122段】
才能というのは、文章が読めて偉い人の教えを理解できるのが一番。
次は文字をちゃんと書けること。勉強するときいるから。
次は医術だな。人を助けるときとか主人の約に立つときとかは必要だから。
あとは弓とか馬とかの六道。この辺の文武医は押さえといて間違いない。
料理もいいね。うまいもん食ったら幸せになるよね。
あとは細工かな。何かと役に立つ。
それ以外の特技とかクソ役にも立たないからいらない。
詩吟が得意とかいっても、重宝されこそすれ、それで世の中が治まるわけないから。
金とか貴重だけど鉄のほうが役に立つ。つまりはそういうことだ。


原文
人の才能は、文明らかにして、聖の教へを知れるを第一とす。次には手かく事、
旨とする事はなくとも、これを習ふべし。學問に便りあらむ爲なり。次に醫術を習ふべし。
身を養ひ、人を助け、忠孝のつとめも、醫にあらずばあるべからず。次に弓射、
馬に乘る事、六藝に出せり。必ずこれを窺ふべし。文・武・醫の道、
まことに缺けてはあるべからず。これを學ばんをば、いたづらなる人といふべからず。
次に、食は人の天なり。よく味ひをとゝのへ知れる人、大きなる徳とすべし。
次に、細工、よろづの要多し。
この外の事ども、多能は君子のはづるところなり。詩歌にたくみに、絲竹に妙なるは、
幽玄の道、君臣これを重くすとはいへども、今の世には、これをもちて世を治むること、
漸く愚かなるに似たり。金(こがね)はすぐれたれども、鐵の益多きに如かざるがごとし。


21 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 16:58:16.46 ID:4zCkW4W+0
【第123段】
無益なことばっかりやってる奴は、バカとか暇人とか呼んどけばいいか。
会社とか上司とかのせいで仕事が増えることはある。結果的に余った時間とか少ないのはわかる。
でも、ちょっと待ってほしい。生活に必要なものとか、結局衣食住だけでいいじゃん。
飢えもない、寒さもしのげる、台風が来ても平気、別にそれでいいじゃん。
あ、違う。病気にはなるね。病気はヤバいよね。医療は要る。だから衣食住に薬を足した4つがあれば良いじゃん。
これがなかったら貧乏人、あったら裕福、それ以上望んだら成金。こんな感じでがんばったらいんじゃね?


原文
無益のことをなして時を移すを、愚かなる人とも、僻事する人とも言ふべし。
国のため、君のために、止むことを得ずして為すべき事多し。その余りの暇、幾ばくならず。
思ふべし、人の身に止むことを得ずして営む所、第一に食ふ物、第二に着る物、第三に居る所なり。
人間の大事、この三つには過ぎず。饑ゑず、寒からず、風雨に侵されずして、閑かに過すを楽しびとす。
たゞし、人皆病あり。病に冒されぬれば、その愁忍び難し。医療を忘るべからず。
薬を加へて、四つの事、求め得ざるを貧しとす。この四つ、欠けざるを富めりとす。
この四つの外を求め営むを奢りとす。四つの事倹約ならば、誰の人か足らずとせん。


44 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/07/06(日) 20:02:46.94 ID:KD8bbLYd0
【第124段】
是法法師は頭良かったんだけど、べつにそんなこと関係なしで念仏唱えて死んでった。
いいね、こういうの。


原文
是法法師は、淨土宗に恥ぢずと雖も、學匠をたてず、たゞ明暮念佛して、
やすらかに世を過すありさま、いとあらまほし。


46 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/07/06(日) 20:13:05.18 ID:KD8bbLYd0
【第125段】
四十九日の法事で、ある有名な導師を招いた。
その導師の説法がすばらしくて、みんな涙目で聞いていた。
その導師が帰った後の話。
「いやあ、いい説法だったよね」
「いや、ホントに。さすが顔が狛犬に似てるだけのことはあるね」
一同爆笑。もうちょっとまともに褒めろってのwwwwwwww
あと、人に酒を勧めるときに、自分が飲んだ後に人に勧めるのは剣で人を斬るのと一緒。
剣は両刃。持ち上げてまず自分を斬ったら相手は斬れないだろ。
だから酔っ払ったらもう相手に酒を飲ませることなんかできないってこった」
お前、斬ったことあるんかと言いたい。小一時間ほど問い詰めたい。


原文
人に後れて、四十九日(なゝなのか)の佛事に、ある聖を請じ侍りしに、
説法いみじくして皆人涙を流しけり。導師かへりて後、聽聞の人ども、
「いつよりも、殊に今日は尊くおぼえ侍りつる」と感じあへりし返り事に、ある者の曰く、
「何とも候へ、あれほど唐の狗に似候ひなむ上は」と言ひたりしに、
あはれもさめてをかしかりけり。さる導師のほめやうやはあるべき。
また人に酒勸むるとて、「おのれまづたべて人に強ひ奉らんとするは、
劒(けん)にて人を斬らむとするに似たる事なり。二方に刃つきたるものなれば、
もたぐる時、まづ我が頚を斬るゆゑに、人をばえ斬らぬなり。おのれまづ醉ひて臥しなば、
人はよも召さじ」と申しき。劒にて斬り試みたりけるにや。いとをかしかりき。


48 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/07/06(日) 20:16:37.69 ID:6XhgmfiE0
すげーな
研究でもしてんの


51 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/07/06(日) 20:32:37.52 ID:KD8bbLYd0
>>48
何もしてない。ってかゆっくり読んだらだいたいの意味は分かるだろ。
その意味を拾っていってるだけなんだがな。


47 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/07/06(日) 20:15:53.92 ID:KD8bbLYd0
【第126段】
博打で負けが込んできたら、残りをつぎ込むの禁止。いつか勝てる流れが来るんだから。
そういう引き際を知ってるのが本物の博打打ちってもんだ。
ある人の言葉だって。


原文
「博奕(ばくち)の負け極まりて、殘りなくうち入れむとせむに逢ひては、打つべからず。
立ち歸り、続けて勝つべき時の至れると知るべし。その時を知るを、よき博奕といふなり」
と、あるもの申しき。


22 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 17:00:34.59 ID:4zCkW4W+0
【第127段】
直せないものは捨てようぜ


原文
改めて益なき事は、改めぬをよしとするなり。


23 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 17:01:36.27 ID:XGY9qSpn0
おもしろいな


50 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/07/06(日) 20:31:25.09 ID:KD8bbLYd0
【第128段】
雅房大納言は賢くていい人だったんだけど、大将になろうとしたところで、院の側近が告げ口。
「院、大変なものを見てしまいました」
「なんだ」
「雅房卿が鷹の餌に犬の足を切っていました。私、中垣の穴から見ておりました」
ということで、院の印象台無し。昇進もなし。
鷹を飼ってるとか思わなかったけど、犬の話はまったくのデタラメだって。
気の毒な話だけど、院の気持ちとしてはやっぱりさすがと思うよね。
生き物を殺すとか傷つけるとか、戦わせて楽しむとか、そういうのは良くないから。
動物の世界を良く見てみたら分かるんだけど、親子、夫婦の絆がある、喜怒哀楽があって
純粋に生きてる。人間なんかよりよっぽどたくましい。
それを苦しめたり殺したりするとか、マジ俺が許さないって感じ。
そういう慈悲の心くらいはちゃんと持っとけよ。


原文
雅房大納言は、才賢く、善き人にて、大將にもなさばやと思しける頃、院の近習なる人、
「只今、淺ましき事を見侍りつ」と申されければ、「何事ぞ」と問はせ給ひけるに、
「雅房卿、鷹に飼はんとて、生きたる犬の足を切り侍りつるを、中垣の穴より見侍りつ」
と申されけるに、うとましく、にくくおぼしめして、日ごろの御氣色も違ひ、
昇進もしたまはざりけり。さばかりの人、鷹を持たれたりけるは思はずなれど、犬の足は跡なき事なり。
虚言は不便(ふびん)なれども、かゝる事を聞かせ給ひて、にくませ給ひける君の御心は、
いと尊きことなり。
大かた生けるものを殺し、痛め、闘はしめて遊び樂しまん人は、畜生殘害の類なり。
萬の鳥獸、小さき蟲までも、心をとめてありさまを見るに、子を思ひ、親をなつかしくし、
夫婦を伴ひ、妬み、怒り、慾おほく、身を愛し、命を惜しめる事、偏に愚癡なる故に、
人よりも勝りて甚だし。彼に苦しみを與へ、命を奪はん事、いかでか痛ましからざらん。
すべて一切の有情を見て慈悲の心なからむは、人倫にあらず。


36 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/07/06(日) 01:12:01.67 ID:KD8bbLYd0
【第129段】
顔回は、人に苦労をかけないことを身上としていたそうだ。
いじめはダメ、ぜったい。庶民のささやかな夢も奪ったらダメ。
ロリショタをからかってるくそロリコンどもは死ね。お前らと違って子供は純粋なんだよ。
それをよってたかって涙目にしやがって。ぶっ殺すぞ、カスが。
喜怒哀楽の感情とかそりゃ虚構だけどさ、大人でもしんどいじゃん。
体しばくより精神的に叩くほうがしんどいんだよ。病気だってほとんど気からだろ。
薬飲んで汗を出そうっていっても効かないときがあるじゃん。
でも恥ずかしいときとか怖いときとか絶対汗でるじゃん。
ね、精神ってのは深いんだよ。
凌雲観の額を書いて白髪になったやつもいるだろ、つまりはそういうことだ。


原文
顔囘は、志、人に勞を施さじとなり。すべて、人を苦しめ、物を虐(しいた)ぐる事、
賎しき民の志をも奪ふべからず。また、幼き子を賺(すか)し、嚇(おど)し、
言ひ辱(はづか)しめて興ずることあり。大人しき人は、まことならねば、
事にもあらず思へど、幼き心には、身にしみて恐ろしく、恥づかしく、浅ましき思ひ、
誠に切なるべし。これを惱して興ずる事、慈悲の心にあらず。
大人しき人の、喜び、怒り、哀れび、樂しぶも、皆虚妄なれども、誰か實有の相に著せざる。
身を破るよりも、心を痛ましむるは、人を害(そこな)ふ事なほ甚だし。病を受くる事も、
多くは心より受く。外より來る病は少なし。藥を飮みて汗を求むるには、驗(しるし)なき事あれども、
一旦恥ぢ恐るゝことあれば、必ず汗を流すは、心のしわざなりといふことを知るべし。
凌雲の額を書きて、白頭の人となりし例(ためし)なきにあらず。


53 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/07/06(日) 20:40:34.80 ID:KD8bbLYd0
【第130段】
争いもしない、主張も曲げて人に従う、自分のことは後回し、これが最強。
遊びでも勝負事とか勝ったら嬉しいじゃん。負けたらムカつくじゃん。
八百長で負けてあげても嬉しくないじゃん。人を貶めて嬉しいとかダメじゃん。
みんなでワイワイやってようが結局人をたばかって自分が勝つのが嬉しいんだろ。
これもダメ。遊びがマジになって遺恨が残るとか良くある話なんだから。
人に勝とうと思ったら、勉強して勝つのがいい。勉強するってことはいいことを自慢しないで
争いもしないってことを学ぶことだからそれはあり。
利益とか名誉とかを捨てるきっかけも学問の力なんだからさ。


原文
物に爭はず、己を枉(ま)げて人に從ひ、我が身を後にして、人を先にするには如かず。
萬の遊びにも、勝負を好む人は、勝ちて興あらむ爲なり。己が藝の勝りたる事を喜ぶ。
されば、負けて興なく覺ゆべきこと、また知られたり。我負けて人を歡ばしめむと思はば、
さらに遊びの興なかるべし。人に本意なく思はせて、わが心を慰めむこと、徳に背けり。
むつましき中に戲(たはぶ)るゝも、人をはかり欺きて、おのれが智の勝りたることを興とす。
これまた、禮にあらず。されば、はじめ興宴より起りて、長き恨みを結ぶ類多し。
これ皆、争ひを好む失なり。
人に勝らむことを思はば、たゞ學問して、その智を人に勝らむと思ふべし。
道を學ぶとならば、善に誇らず、ともがらに爭ふべからずといふ事を知るべき故なり。
大きなる職をも辭し、利をも捨つるは、たゞ學問の力なり。


54 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/07/06(日) 20:44:06.15 ID:KD8bbLYd0
【第131段】
貧乏人には金、老人には力を提供しようね。それが礼儀だから。
あ、でも無理はしなくていいよ。無理やり要求するやつはただのアホだから。
無理して恩返ししようとかしたって無理なもんは無理だから。
貧乏人が無理したら盗みに走るし、体が弱いクセに無理したら病気になるだろ。


原文
貧しきものは財をもて禮とし、老いたるものは力をもて禮とす。
おのが分を知りて、及ばざる時は速かに止むを智といふべし。
許さざらんは、人の誤りなり。分を知らずして強ひて勵むは、おのれが誤りなり。
貧しくして分を知らざれば盜み、力衰へて分を知らざれば病をうく。


55 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/07/06(日) 20:47:33.57 ID:KD8bbLYd0
【第132段】
鳥羽の新道は鳥羽殿作るまえから会ったんだよね。
元良親王の元旦の祝いの声がめっちゃでかくて、大極殿から鳥羽の新道まで聞こえてきた。
って李部王の手記に書いてたってさ。


原文
鳥羽の作り道は、鳥羽殿 建てられて後の號(な)にはあらず。昔よりの名なり。
元良親王、元日の奏賀の聲、はなはだ殊勝にして、大極殿より鳥羽の作り道まで聞こえけるよし、
李部王(りほうおう)の記に侍るとかや。


56 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/07/06(日) 20:51:41.25 ID:KD8bbLYd0
【第133段】
天皇の枕は東枕。日が昇るじゃん。だから孔子も東枕だったって。寝殿のつくりは南向きもあり。
白河院は北枕で寝てたって。
「北は縁起が悪いですよ。お伊勢さまは南にありますし、そっちに足をむけるのもどうかと……」
と誰かが助言したらしいんだけど、お伊勢さんは東南だっつーのwwwwwwwwwwwwww


原文
夜(よ)の御殿(おとゞ)は東御枕なり。大かた東を枕として陽氣を受くべき故に、孔子も東首し給へり。
寢殿のしつらひ、或は南枕、常のことなり。白河院は北首に御寢なりけり。
「北は忌むことなり。また、伊勢は南なり。太神宮の御方を御跡にせさせ給ふ事いかゞ」
と、人申しけり。たゞし、太神宮の遥拜は辰巳に向はせ給ふ。南にはあらず。


57 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/07/06(日) 21:09:02.79 ID:KD8bbLYd0
【第134段】
高倉院の法華堂の三昧僧で、何とか律師ってのがいたんだけど、ある日鏡で自分の顔を見たら、
あまりのキモさに鬱入って、その後は鏡も見なくなって引きこもり。今は御堂の仕事だけ
ひっそりやってあとはヒキコやってるって。ちょっとワラタwww
頭いい人でも他人のことばっかり言うやつって自分のこと分かってないよね。
お前はどうなんだって感じ。キモいのも、バカなのも、へたくそなのも、底辺なのも、
おっさんなのも、ビョーキなのも、もうすぐ死ぬのも、そもそもカス人生なのもわかってない。
だから人から何言われてるかも分かってない。
まあ、キモいのは鏡見たらわかるよね。あと年は数えたら分かるでしょ。
ま、何も知らんってのはいいすぎかもしれんけど、どうしようもなけりゃ知らんのと一緒でしょwww
別にイケメンになれとか若返れとかいってるんじゃないんだよ。
へたくそなら引けと、年食ったらさっさと引退しろと、バカなら勉強しろと。
ウザがられてるのに人の和に入ってくるのは恥だから。キモいくせに社会に出たりね、
バカのクセにセレブに紛れたりね。
あとへたくそがプロになったりおっさんがゆとりに混じったり。
できんことを望んでできんことを悔しがってこないものを待って人にビビッて媚売ってる姿とか
マジで恥通り越して醜悪だから^^
そういうやつって死ぬことなんてまったく考えてないんだろうねwww


58 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/07/06(日) 21:10:11.46 ID:KD8bbLYd0
原文
高倉院の法華堂の三昧僧、何某(なにがし)の律師とかやいふ者、ある時、鏡を取りて顔をつくづくと見て、
我が貌(かたち)の醜く、あさましき事を餘りに心憂く覺えて、鏡さへうとましき心地しければ、
その後長く鏡を恐れて、手にだに取らず、更に人に交はる事なし。御堂の勤め許りにあひて、
籠り居たりと聞き傳へしこそ、あり難く覺えしか。
賢げなる人も人の上をのみ計りて、己をば知らざるなり。我を知らずして、外を知るといふ理あるべからず。
されば、己を知るを、物知れる人といふべし。貌(かたち)醜けれども知らず、心の愚かなるをも知らず、
藝の拙きをも知らず、身の數ならぬをも知らず、年の老いぬるをも知らず、病の冒すをも知らず、
死の近き事をも知らず、行ふ道の至らざるをも知らず、身の上の非をも知らねば、
まして外の譏りを知らず。たゞし、貌は鏡に見ゆ、年は數へて知る。我が身の事知らぬにはあらねど、
すべき方のなければ、知らぬに似たりとぞいはまし。貌(かたち)を改め、齡を若くせよとにはあらず。
拙きを知らば、何ぞやがて退かざる。老いぬと知らば、何ぞ閑にゐて身をやすくせざる。
行ひ愚かなりと知らば、何ぞこれを思ふ事これにあらざる。
すべて人に愛樂(あいぎょう)せられずして衆に交はるは恥なり。
貌みにくく心おくれにして出で仕へ、無智にして大才(たいさい)に交はり、不堪の藝をもちて堪能の座に連なり、
雪の頭(かうべ)を戴きて壯(さか)りなる人にならび、況んや、及ばざることを望み、
叶はぬことを憂へ、來らざる事を待ち、人に恐れ、人に媚ぶるは、人の與ふる恥にあらず、
貪る心に引かれて、自ら身を恥しむるなり。貪ることのやまざるは、命を終ふる大事、
今こゝに來れりと、たしかに知らざればなり。


59 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/07/06(日) 21:20:35.68 ID:KD8bbLYd0
【第135段】
資季大納言入道というのが、具氏宰相中将に会った時の話
「お前の質問くらいならすべて答えてやるぜ」
「へぇ、そうなんだ」
「ふん、だったら試してみるか?」
「さあね、俺はバカだから大したことは聞けないんだよね。それじゃ、他愛ないことでも聞こうか」
「ハッ! そんなことなら何でも聞いてみろ。何でも答えてやるぜ」
それを聞いた野次馬たちが
「おもしろそうじゃん。それなら御前で勝負しろよ。負けた奴はおごりなwww」
というものだから、御前での勝負になってしまった。
具氏の質問
「小さいときから聞いてて意味の分からない言葉があります。
『馬のきつりやう、きつにのをか、なかくぼれいりぐれんどう』というんですが、これはどういう意味でしょう」
大納言入道は言葉に詰まって、
「は……はは、こ、こんなつまらん質問、こ、答える、価値もないわ」
と言う。具氏のとどめの一言、
「最初から大したことないって言ったじゃないですか」
ということで大納言入道の負け。さんざんおごらされてしまいましたとさ。ちゃんちゃん^^


60 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/07/06(日) 21:21:16.36 ID:KD8bbLYd0
原文
資季大納言入道とかや聞えける人、具氏(ともうぢ)宰相中將に逢ひて、
「わぬしの問はれむ程の事、何事なりとも答へ申さざらむや」とい言はれければ、
具氏、「いかゞ侍らむ」と申されけるを、「さらば、あらがひ給へ」といはれて、
「はかばかしき事は、片端もまねび知り侍らねば、尋ね申すまでもなし。
何となきそゞろごとの中に、覺束なき事をこそ問ひ奉らめ」と申されけり。
「まして、こゝもとの淺きことは、何事なりともあきらめ申さん」といはれければ、
近習の人々、女房なども、「興あるあらがひなり。同じくは、御前にて爭はるべし。
負けたらん人は、供御(ぐご)をまうけらるべし」と定めて、御前にて召し合せられたりけるに、
具氏、「幼くより聞きならひ侍れど、その心知らぬこと侍り。『馬のきつりやう、きつにのをか、
なかくぼれいりぐれんどう』と申すことは、いかなる心にかはべらむ。承らむ」
と申されけるに、大納言入道、はたとつまりて、「これは、そゞろごとなれば、
云ふにも足らず」といはれけるを、「もとより、深き道は知り侍らず。
そゞろ言を尋ね奉らむと、定め申しつ」と申されければ、大納言入道負けになりて、
所課いかめしくせられたりけるとぞ。


61 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/07/06(日) 21:31:55.76 ID:KD8bbLYd0
【第136段】
医者の篤成が後宇多法皇についていたときの話。食事が運ばれてきたので
「今やってきた食事について、文字でも効能でも何でも聞いてください。すべて答えてみせます。
草子で確認してもらっても結構です。間違いはありません。」と言った。
すると六條故内府がやってきて「あ、僕も一緒に勉強しますね」と言う。
「まず、『しお』という字は何偏でしょうか」と聞いたので、
篤成は「土偏でしょう」と答えた。
「ちょwwバカすぎwwwwwもういいから自重しとけよwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
と六條故内府に笑われ、篤成は涙目になって出て行った。


原文
醫師篤成(あつしげ)、故法皇の御前に候ひて、供御の參りけるに、
「今參り侍る供御のいろいろを、文字も功能(くのう)も尋ね下されて、そらに申しはべらば、
本草に御覽じあはせられ侍れかし。一つも申し誤り侍らじ」と申しける時しも、
六條故内府(だいふ)まゐり給ひて、「有房ついでに物習ひ侍らん」とて、
「まづ、『しほ』といふ文字は、いづれの偏にか侍らむ」と問はれたりけるに、
「土偏(どへん)に候」と申したりければ、「才のほど既に現はれにたり。今はさばかりにて候へ。
ゆかしきところなし」と申されけるに、とよみになりて、罷り出でにけり。


118 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/29(日) 02:06:35.35 ID:/tVHDo680
【第137段】
満開とか満月とかがいいとか言ってるやつはド素人。雨の日に見えない月を思うとかね、
家の中で過ぎた春を偲ぶとかね、こういうのがいいんだよ。
あとはつぼみがついた木とか花が散ったあとの庭とかね。こういうのが通ってやつだな。
歌の詞書きを見てみ。「花見に行ったけど散ってました」とか「用事があって花見にいけませんでした」
とか結構あるだろ。「花を見て」なんてフレーズより多いんじゃないの?
花は散り際、月は沈みかけ。こういうの分かって当たり前だと思うんだけどさ。
バカは分かってないの。「全部散ってるじゃんwwwダメじゃんwww」なんて言ってんの。
ダメなのはお前だっつーのwwwwwwwwwwwwwwwww
何でも始めと終わりがいいんだよ。イロコイでもそう。ハッピーエンドです、ちゃんちゃん、じゃねーんだよ。
こう、会えない寂しさだとか、果たせなかった約束だとか、そういうノスタルジーに浸りながら
眠れない夜をすごす、雲の向こうに面影を探す、あばら家で昔を偲ぶ。これが大人の恋ってやつなんだよな。
月も満月がピッカーって光ってるんじゃなくて、こう、明け方まで待っててやっと出てくる月な。
こう、青っぽくてさ、山の杉の間からチラ見とか、むら雲からうっすら見えるとかさ。これ、これなんだよ。
椎とか樫の濡れた葉っぱに映って光ってるシーンとかマジ感動もんですよ。
わかってるダチに見せたいなぁ。もうほんと都会が恋しいわ。
っていうか月だの花だのは目でみるんじゃないんだよ。心。わかる? 春は家から出なくてもいいし、
月夜も部屋にこもってていいんだよ。むしろそっちのほうがいい。
分かってるやつは控えめに楽しむものなんだよ。仰々しいのは田舎モン。
桜が咲いたらみんなでお花見、飲んで歌ってギャースカ騒ぐ。しまいには枝なんか折りやがってんの。
泉があったら手足を浸す、雪が積もれば足跡をつける。もう見てらんない。
こういうのが祭りを見るときもバカ丸出し。見るものがないからって奥のほうで飲み食い、
碁だの双六だので遊んでる。で、桟敷に誰か立たせて合図させてんの。
行列が来たら来たで我先に桟敷に走ってきて、押し合いへし合い一瞬も見逃すなくらいの勢いでギャーギャー騒ぐ。
で、行列が去ったら次が来るまでまた飲み食い。
都会の分かってるやつってのはまず寝てるね。これ。若いのは仕事で忙しいし、
誰かに付き添ってるやつはわざわざ見ようともしない。


119 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/29(日) 02:06:46.32 ID:/tVHDo680
葵祭りを見るときは、夜明け前に車が静かにやってくるところ。誰が乗ってるのかちょっとわくわくするじゃん。
で、見たことのある牛飼いだの下男だのがいるわけですよ。そんなこんなでいろいろ飾った車が通る。これがいい。
で、終わったら終わったでみんなさっさと帰っちゃう。車とかいつの間にかいなくなっちゃう。
簾とか畳とかも全部片付けられちゃう。その後の閑散とした通りね。もう最高に胸キュン。
これを見て初めて葵祭りを見たっていえるんだよ。
そういえば桟敷見てたら結構知ってる人がいるのな。世間って狭いよな。
こいつらが死んでから俺が死ぬってなっても、どうせ大した差はないんだろうな。
大きい器に水を入れてさ、ちっちゃい穴あけるじゃん。ほったらかしてたらいつの間にか水なくなるじゃん。
都の人口考えたら毎日誰かが死んでるわけじゃん。葬式なんて毎日やってるじゃん。
棺おけとか毎日作ってるじゃん。
若いとか健康とか関係なしに死って突然くるじゃん。それ考えたら今生きてるのも不思議じゃん。
人生長いとか考えるのはバカじゃん。
継子立ちってゲームがあるんだけど、たとえたらそれと一緒だね。
双六の石を並べて取っていくんだけど、どの石から取っていくとかはわかんないんだけど、結局全部取っちゃう。
兵士が戦場に行くとき、死を覚悟するから家族とか自分の身とかも気にしなくなる。
世の中を捨てたやつはのんびり庭弄りなんかしちゃってさ、他人事じゃねーっつーの。
お前らにも死は間近に迫ってんの。さっきの兵士と一緒。肝に銘じとけよカスどもwww


120 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/29(日) 02:08:58.25 ID:/tVHDo680
原文
花は盛りに、月は隈なきをのみ見るものかは。雨にむかひて月を戀ひ、たれこめて春のゆくへ知らぬも、
なほあはれに情ふかし。咲きぬべきほどの梢、散りしをれたる庭などこそ見どころおほけれ。
歌の詞書(ことばがき)にも、「花見に罷りけるに、はやく散り過ぎにければ」とも、「さはることありて罷らで」
なども書けるは、「花を見て」といへるに劣れる事かは。花の散り、月の傾くを慕ふ習ひはさる事なれど、
殊に頑なる人ぞ、「この枝かの枝散りにけり。今は見所なし」などはいふめる。
萬の事も、始め終りこそをかしけれ。男女の情(なさけ)も、偏に逢ひ見るをばいふものかは。
逢はでやみにし憂さを思ひ、あだなる契りをかこち、長き夜をひとり明し、遠き雲居を思ひやり、
淺茅が宿に昔を忍ぶこそ、色好むとはいはめ。
望月の隈なきを、千里(ちさと)の外まで眺めたるよりも、曉近くなりて待ちいでたるが、
いと心ぶかう、青みたる樣にて、深き山の杉の梢に見えたる木の間の影、うちしぐれたるむら雲がくれのほど、
またなくあはれなり。椎柴・白樫などの濡れたるやうなる葉の上にきらめきたるこそ、身にしみて、
心あらむ友もがなと、都こひしう覺ゆれ。
すべて、月・花をば、さのみ目にて見るものかは。春は家を立ち去らでも、月の夜は閨のうちながらも思へるこそ、
いと頼もしう、をかしけれ。よき人は、偏にすける樣にも見えず、興ずる樣もなほざりなり。
片田舎の人こそ、色濃くよろづはもて興ずれ。花のもとには、ねぢより立ちより、あからめもせずまもりて、
酒飮み、連歌して、はては大きなる枝、心なく折り取りぬ。泉には手・足さしひたして、
雪にはおりたちて跡つけなど、萬の物、よそながら見る事なし。
さやうの人の祭見しさま、いとめづらかなりき。「見ごといとおそし。そのほどは棧敷不用なり」とて、
奧なる屋にて酒飮み、物食ひ、圍棊・雙六など遊びて、棧敷には人を置きたれば、「わたり候ふ」といふときに、
おのおの肝つぶるやうに爭ひ走り上がりて、落ちぬべきまで簾張り出でて、押しあひつゝ、
一事(こと)も見洩らさじとまぼりて、「とあり、かゝり」と物事に言ひて、渡り過ぎぬれば、
「又渡らむまで」と言ひて降りぬ。唯物をのみ見むとするなるべし。都の人のゆゝしげなるは、眠りて、いとも見ず。
若く末々なるは、宮仕へに立ち居、人の後(うしろ)にさぶらふは、さまあしくも及びかゝらず、
わりなく見むとする人もなし。


121 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/29(日) 02:10:03.25 ID:/tVHDo680
何となく葵(あふひ)かけ渡してなまめかしきに、明けはなれぬほど、忍びて寄する車どものゆかしきを、
其か、彼かなどおもひよすれば、牛飼下部などの見知れるもあり。をかしくも、きらきらしくも、
さまざまに行きかふ、見るもつれづれならず。暮るゝ程には、立て竝べつる車ども、所なく竝みゐつる人も、
いづかたへか行きつらん、程なく稀になりて、車どものらうがはしさも濟みぬれば、簾・疊も取り拂ひ、
目の前に寂しげになり行くこそ、世のためしも思ひ知られて、哀れなれ。大路見たるこそ、祭見たるにてはあれ。
かの棧敷の前をこゝら行きかふ人の、見知れるが數多あるにて知りぬ、世の人數もさのみは多からぬにこそ。
この人皆失せなむ後、我が身死ぬべきに定まりたりとも、程なく待ちつけぬべし。
大きなる器(うつはもの)に水を入れて、細き孔をあけたらんに、滴る事少しと云ふとも、
怠る間なく漏りゆかば、やがて盡きぬべし。都の中に多き人、死なざる日はあるべからず。
一日(ひ)に一人二人のみならむや。鳥部野・舟岡、さらぬ野山にも、送る數おほかる日はあれど、
送らぬ日はなし。されば、柩を鬻(ひさ)ぐもの、作りてうち置くほどなし。
若きにもよらず、強きにもよらず、思ひかけぬは死期なり。今日まで遁れ來にけるは、ありがたき不思議なり。
暫しも世をのどかに思ひなんや。まゝ子立といふものを、雙六の石にてつくりて、立て竝べたる程は、
取られむ事いづれの石とも知らねども、數へ當ててひとつを取りぬれば、その外は遁れぬと見れど、
またまた数ふれば、かれこれ間(ま)拔き行くほどに、いづれも、遁れざるに似たり。
兵の軍(いくさ)に出づるは、死に近きことを知りて、家をも忘れ、身をも忘る。
世をそむける草の庵には、しづかに水石(すいせき)をもてあそびて、これを他所(よそ)に聞くと思へるは、
いとはかなし。しづかなる山の奧、無常の敵きほひ來らざらんや。その死に臨めること、
軍の陣に進めるに同じ。


76 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/07/06(日) 23:03:48.99 ID:KD8bbLYd0
【第138段】
賀茂の祭りのあとの葵の花がいらないってことで、御簾の花を全部撤去されてるのを見て
ちょっとやだなと思った。まあ、えらい日地がやることだから文句は言えないんだけどさ。
と思ったら、周防の内侍が
 会った時に一緒に見ようと思って掛けてた葵も枯れちゃった。
ってそういえば詠んでたよね。あれって母屋の簾にかかってた葵のことだよね。
古い歌集にも「枯れた葵にさして遣わせた歌」とかあったよね。
枕草子にも「ノスタルジックなもの。枯れた葵」って書いてたよね。思い出したわ。
鴨長明の四季物語にも「玉の簾に祭りの後の葵がかかってる」って詠んでたよね。
自然と枯れるのすら悲しいんだからさ、そんながっつり取り払わなくてもいいじゃん。
御帳にかかってる薬玉も9月9日に菊に取り替えられるっていうなら、5月5日の菖蒲だって
菊の時期までかけてていいじゃん。
枇杷の皇太后が亡くなったときに、古い御帳に菖蒲と薬玉が枯れたままかかってるのを見て
「季節はずれの枯れた根を見たら声をあげて泣きたくなった」と乳母が詠んで、その返事に
「菖蒲の草はそのままなのに」と江の侍従が詠んだそうだ。


原文
「祭過ぎぬれば、後の葵不用なり」とて、ある人の、御簾なるを皆取らせられ侍りしが、
色もなく覚え侍りしを、よき人のし給ふことなれば、さるべきにやと思ひしかど、周防の内侍が、
 かくれどもかひなき物はもろともに みすの葵の枯葉なりけり
と詠めるも、母屋(もや)の御簾に葵のかゝりたる枯葉を詠めるよし、家の集に書けり。
古き歌の詞書に、「枯れたる葵にさしてつかはしける」ともはべり。枕草紙にも、
「來しかた戀しきもの。かれたる葵」と書けるこそ、いみじくなつかしう思ひよりたれ。
鴨長明が四季物語にも、「玉だれに後の葵はとまりけり」とぞ書ける。
己と枯るゝだにこそあるを、名殘なくいかゞ取り捨つべき。
御帳にかゝれる藥玉も、九月九日、菊にとりかへらるゝといへば、菖蒲は菊の折までもあるべきにこそ。
枇杷の皇太后宮かくれ給ひて後、ふるき御帳の内に、菖蒲・藥玉などの枯れたるが侍りけるを見て、
「折ならぬ音(ね)をなほぞかけつる」と、辨の乳母のいへる返り事に、
「あやめの草はありながら」とも、江侍從が詠みしぞかし。


78 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/07/06(日) 23:21:38.29 ID:KD8bbLYd0
【第139段】
家に植えたい木は待つか桜だよな。あ、松は五葉の松でもいいや。桜は一重ね。
八重桜なんかはもともと奈良にしかなかったのに、最近そこらへんにあるよね。
まあ、でも吉野とか左近はみんな一重。八重桜とかキモいじゃん。なんか変にねじれてるしさ。
あんなの植えてるやつ気違いだろwwwwwww
あと遅咲きの桜もカス。虫とかついちゃうじゃん、もうね、最悪wwwwww
梅はやっぱり白か薄紅。これ。それがちょっと早めに咲いてるとか、重なって咲いていいにおいがするとか
そういうのがいいんだよな。遅咲きとかはダメ。ほら、もう桜の季節じゃん。
桜に混じってちゃっかり咲いてんなっつーの^^そういうのマジでダサいから。
「一重の梅がさっと咲いてさっと散る。これが俺スタイル」とか言っちゃって京極入道中納言は
軒先に一重の梅を植えたって。今でも南側に2本残ってるよね。
柳もいい。4月の若葉とか最高。他の花とか見てらんないもん。
あとは橘とか桂とかかな。年季の入った木がいいね。
草は山吹と藤と杜若と撫子か。あと池なら蓮な。
秋なら荻、薄、桔梗、萩、女郎花、藤袴、紫苑、吾木香、刈萱、龍膽、菊、黄菊、蔦、葛、朝顔くらい。
こういうのが小ぢんまりした垣根に適当についてる。こういうのがいいんだよな。
もうなんかよくわからん外国種とかマジでどうでもいい。見たって何のノスタルジーも感じないもん。
そういう珍しい系のやつとかはボケナスどもが愛でてりゃいーんだよww


79 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/07/06(日) 23:22:41.94 ID:KD8bbLYd0
原文
家にありたき木は、松・櫻。松は五葉もよし。花は一重なるよし。八重櫻は奈良の都にのみありけるを、
この頃ぞ世に多くなり侍るなる。吉野の花、左近の櫻、皆一重にてこそあれ。
八重櫻は異樣のものなり。いとこちたくねぢけたり。植ゑずともありなん。
遲櫻、またすさまじ。蟲のつきたるもむつかし。梅は白き、うす紅梅。一重なるが疾く咲きたるも、
重なりたる紅梅の匂ひめでたきも、みなをかし。おそき梅は、櫻に咲き合ひて、
おぼえ劣り、けおされて、枝に萎みつきたる、心憂し。「一重なるがまづ咲きて散りたるは、
心疾く、をかし」とて、京極入道中納言は、なほ一重梅をなむ軒近く植ゑられたりける。
京極の屋の南むきに、今も二本(もと)はべるめり。柳、またをかし。卯月ばかりの若楓、
すべて萬の花・紅葉にも優(まさ)りてめでたきものなり。橘・桂、何れも木は物古り、大きなる、よし。
草は山吹・藤・杜若・撫子。池には蓮(はちす)。秋の草は荻・薄・桔梗(きちこう)・
萩・女郎花・藤袴・しをに・吾木香(われもこう)・刈萱(かるかや)・龍膽(りんどう)・
菊・黄菊も・蔦(つた)・葛(くず)・朝顔、いづれもいと高からず、さゝやかなる、垣に繁からぬ、よし。
この外の、世にまれなるおの、唐めきたる名の聞きにくく、花も見なれぬなど、いとなつかしからず。
大かた、何も珍しくありがたきものは、よからぬ人のもて興ずるものなり。さやうの物、なくてありなん。


80 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/07/06(日) 23:28:42.25 ID:KD8bbLYd0
【第140段】
死んだ後財産を残すのはカスがやること。いらんものを持ってたら恥ずかしいだろ。
いいものっていっても、そんなのに惹かれてたこと自体むなしいから。
で、そんなのが大量にあったらそれこそ終わってるから。
どうせ「これは俺がもらうわ」とかいうやつが出てきて醜い相続争いを繰りひろげてくれるんだから。
相続するなら生きてるうちにしとけっての。
生活用品とかなら分かるけど、余計なもんは持っとくなっつーこった。


原文
身死して財殘ることは、智者のせざるところなり。よからぬもの蓄へおきたるも拙く、
よき物は、心をとめけむとはかなし。こちたく多かる、まして口惜し。
「我こそ得め」などいふものどもありて、あとに爭ひたる、樣惡(あ)し。
後には誰にと志すものあらば、生けらむ中にぞ讓るべき。朝夕なくて協(かな)はざらむ物こそあらめ、
その外は何も持たでぞあらまほしき。


1 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/07/13(日) 15:51:00.11 ID:lftkBHv80
【第141段】
悲田院の尭蓮上人は、出家する前は三浦何とかっていう最強クラスの武士だった。
ある日地元の東国の人と話す機会があって、その人が「東国がやっぱいいよ。言ったこと守るし。
都会の奴はどうも口だけみたいな気がするんだよな」とこぼした。
上人は「そう思うだろ? 俺は都会暮らしが長いからわかるんだけどさ、そんなにひどくはないよ。
この辺の人みんな優しいからさ、頼みとかはっきり断れないわけよ。で、なんとなく受けちゃうの。
ただやっぱ貧乏人が多いからさ、やってあげたくてもできないってのが多いんだよな。
東国は俺の生まれだけどさ、ある意味冷たいよ。できんと思ったらあっさり断るもん。
金持ちは多いからその分信用はあるけどね」と、その人に言ったそうだ。
この上人は方言丸出しでちょっといけすかないクソ坊主と思ってたんだけど、これは見直した。
さすがそこらへんのカスと違って寺一つ持ってるだけのことはあるよね。


原文
悲田院の尭蓮上人は、俗姓は三浦のなにがしとかや、雙なき武者なり。
故郷の人の來りて物がたりすとて、「吾妻人こそ、言ひつることは頼まるれ。
都の人は、言受けのみよくて、實なし」といひしを、聖、
「それはさこそ思すらめども、おのれは都に久しく住みて、馴れて見侍るに、人の心劣れりとは思ひ侍らず。
なべて心やはらかに情あるゆゑに、人のいふほどの事、けやけく否(いな)びがたく、
よろづえ言ひはなたず、心弱くことうけしつ。僞(いつはり)せんとは思はねど、
乏しくかなはぬ人のみあれば、おのづから本意通らぬこと多かるべし。
吾妻人は、我がかたなれど、げには心の色なく、情おくれ、偏にすくよかなるものなれば、
初めより否といひて止みぬ。賑ひ豐かなれば、人には頼まるゝぞかし」と、ことわられ侍りしこそ、
この聖、聲うちゆがみあらあらしくて、聖教(しゃうぎょう)のこまやかなる理、いと辨へずもやと思ひしに、
この一言の後、心憎くなりて、多かる中に、寺をも住持せらるゝは、かく和ぎたるところありて、
その益もあるにこそと覺え侍りし。


4 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/07/13(日) 16:11:40.30 ID:lftkBHv80
【第142段】
バカでもたまにはいいことを言う。
とある田舎もんの強そうな武士が近くの人に子供がいるかどうか聞いたんだって。
その人がいないと答えたら「じゃあお前はダメだ。ダメっていうか人として終わってる。
子供くらい作れよなカス」だって。
確かにそりゃそうだ。こんくらいのバカは子供でも持たないと慈悲ってのが理解できないだろうしねww
親の心子知らずって言うけどさ、やっぱり子供持たないと親の気持ちも分かんないよな。
俗世を捨てた独男がさ、結婚してあれこれ家族計画立ててるのを白い目で見るのもただの嫉妬。
そいつの立場に立ったら、やっぱり親とか嫁とかこどものためなら、極端な話盗みだってやっちゃうでしょ。
あ、だから国はそんな悲しい犯罪が起こらないようにちゃんとしてほしいよね。
人間貧乏すぎたら犯罪に染まるんだから。世の中が不安定で飢えとか凍死とかあったらそりゃ犯罪も増えるよ。
でもそれを罪とか言って罰したらかわいそうっていうか何か違うじゃん。
だからどんな方法でもいいから、ちゃんとリターンは返そうね。贅沢なくしたらそんくらいできるだろ。
で、農業を推奨してたらみんな幸せ。それで盗みまでするやつはとっとと逮捕してやってよ。


5 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/07/13(日) 16:12:17.09 ID:lftkBHv80
原文
心なしと見ゆる者も、よき一言はいふ者なり。ある荒夷の恐ろしげなるが、傍(かたへ)にあひて、
「御子はおはすや」と問ひしに、「一人も持ち侍らず」と答へしかば、「さては、物のあはれは知り給はじ。
情なき御心にぞものし給ふらむと、いと恐ろし。子故にこそ、萬の哀れは思ひ知らるれ」と言ひたりし、
さもありぬべき事なり。恩愛(おんあい)の道ならでは、かゝるものの心に慈悲ありなむや。孝養の心なき者も、
子持ちてこそ親の志は思ひ知るなれ。
世をすてたる人のよろづにするすみなるが、なべてほだし多かる人の、よろづに諂ひ、望み深きを見て、
無下に思ひくたすは、僻事なり。その人の心になりて思へば、まことに、悲しからん親のため、妻子のためには、
恥をも忘れ、盜みをもしつべき事なり。されば、盜人を縛(いまし)め、僻事をのみ罪せんよりは、世の人の飢ゑず、
寒からぬやうに、世をば行はまほしきなり。人、恆の産なき時は、恆の心なし。人窮りて盜みす。世治らずして、
凍餒(とうだい)の苦しみあらば、科(とが)のもの絶ゆべからず。人を苦しめ、法を犯さしめて、それを罪なはんこと、
不便のわざなり。
さて、いかゞして人を惠むべきとならば、上の奢り費すところを止め、民を撫で、農を勸めば、
下に利あらむこと疑ひあるべからず。衣食世の常なる上に、ひがごとせむ人をぞ、まことの盜人とはいふべき。


1 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/08/03(日) 19:36:48.26 ID:tPXe0fuY0
【第143段】
人の死に際の話なんかをさ、「へー」って聞いてりゃいいのに、尾ひれつけて好き勝手に改変しちゃう奴いるじゃん。
お前は本人かっつーの。嘘ばっかついてんじゃねーよ。
死んだらしまい、お釈迦様でもわからない。死に際だって学者にも予測できない。
間違ったことはしてないって自分で思ってたらそれでいいんだよ。外野は黙ってろっての。


原文
人の終焉の有樣のいみじかりし事など、人の語るを聞くに、たゞ、「靜かにして亂れず」といはば心にくかるべきを、
愚かなる人は、怪しく異なる相を語りつけ、いひし言葉も、擧止(ふるまい)も、おのれが好む方に譽めなすこそ、
その人の日ごろの本意にもあらずやと覺ゆれ。
この大事は、權化の人も定むべからず。博學の士も計るべからず。おのれ違ふ所なくば、
人の見聞くにはよるべからず。


2 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/08/03(日) 19:48:41.64 ID:tPXe0fuY0
【第144段】
栂尾の上人が道を歩いてたら、河で馬を洗ってる男が「あし、あし」と言ってたので、上人は立ち止まって
「何てこった、こんなところに生き神様がいるとは。阿字阿字唱えるなんて……これはいったい誰の馬なんだ?」
と聞いたところ、「ああ、府生殿の馬ですよ」と答えた。
それを聞いた上人、「間違いない、阿字本不生の具現化だ……何という縁!」(ビクンビクン!)
と、涙目で喜んだんだってさ。


原文
栂尾の上人道を過ぎたまひけるに、河にて馬洗ふ男、「あしあし」といひければ、上人たちとまりて、
「あなたふとや。宿執(しゅくしゅう)開發(かいほつ)の人かな。『阿字々々』と唱ふるぞや。いかなる人の御馬ぞ。
あまりにたふとく覺ゆるは」と尋ね給ひければ、「府生殿の御馬に候」と答へけり。
「こはめでたきことかな。阿字本不生(あじほんふしゃう)にこそあなれ。うれしき結縁(けちえん)をもしつるかな」
とて、感涙を拭はれけるとぞ。


3 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/08/03(日) 19:56:08.30 ID:tPXe0fuY0
【第145段】
御随身の秦重躬が、北面の下野入道信願に「落馬の相があるから気をつけなよ」と言った。
そんなこと誰も信用してなかったんだけど、ある日信願が馬から落ちて死んでしまった。
そういうことで秦重躬は神認定されたんだけど、すごいよね。
ちなみにどんな相だったかというと、
「極端な桃尻で座りが悪いクセに荒馬に乗るのが好きなんだから落ちるのは当たり前だろ」
だってさ。


原文
 御隨身 秦重躬(はだのしげみ)、北面の下野入道信願を、「落馬の相ある人なり。よくよく愼み給へ」といひけるを、
いとまことしからず思ひけるに、信願馬より長じぬる一言、神の如し」と人おもへり。
 さて、「いかなる相ぞ」と人の問ひければ、「極めて桃尻にて、沛艾(はいがい)の馬を好みしかば、
この相をおほせ侍りき。いつかは申し誤りたる」とぞいひける。


4 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/08/03(日) 20:02:37.31 ID:tPXe0fuY0
【第146段】
明雲座主が人相見に会った時の会話、
「俺ってもしかして兵仗の難とかあったりする?」
「ありますよ」
「どんな相が出てる?」
「武器なんて関係ない立場なのに、そんな心配してる時点でアウトでしょ」
だって。
結局明雲座主は矢に当たって死んだんだってさ。


原文
明雲座主、相者に逢ひ給ひて、「己(おのれ)若し兵仗の難やある」と尋ねたまひければ、
相人、「實(まこと)にその相おはします」と申す。「いかなる相ぞ」と尋ね給ひければ、
「傷害の恐れおはしますまじき御身にて、假にもかく思しよりて尋ね給ふ。これ既にそのあやぶみの兆なり」と申しけり。
はたして矢にあたりて失せ給ひにけり。


5 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/08/03(日) 20:04:27.44 ID:tPXe0fuY0
【第147段】お灸の痕がたくさんついたら神事の時の穢れになるってのはただの都市伝説。そんなんどこにも書いてねーよ。


原文
灸治、あまた所になりぬれば、神事に穢れありといふこと、近く人のいひ出せるなり。格式等にも見えずとぞ。


7 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/08/03(日) 20:08:05.06 ID:tPXe0fuY0
【第148段】
40越えた中年はお灸を据えて三里くらい焼かないとのぼせるんだって。お灸くらいしとけよ。


原文
四十以後の人、身に灸を加へて、三里を焼かざれば、上気の事あり。必ず灸すべし。


8 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/08/03(日) 20:09:19.94 ID:tPXe0fuY0
【第149段】
鹿茸を鼻に当ててかぐなよ。小さい虫が鼻からはいって脳みそ食っちゃうんだぜ。


原文
鹿茸を鼻に当てて嗅ぐべからず。小さき虫ありて、鼻より入りて、脳を食むと言へり。


10 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/08/03(日) 20:20:07.93 ID:tPXe0fuY0
【第150段】
一芸を身につけようとしてる奴で「下手なうちは人に見せられないから上手くなってから見せよう」なんていう奴いるじゃん。
こいつダメ。こんなん言ってるやつはまず上手くならない。
下手くそなうちから上手い人に混じる。叩かれても気にしないで練習する。こういうのは別に向いてなくても伸びる。
年が経ったら適当にしか練習してない天才なんかよりよっぽど上手くなる。最終的には最高の評価をもらえるようになる。
天才だって最初は下手だのクソだの言われてるんだよ。それに耐えて王道を進む。寄り道はしないで一途に励む。
こういう奴がその道の第一人者になるなんてどの世界でも一緒に決まってんだろ。


原文
能をつかんとする人、「よくせざらんほどは、なまじひに人に知られじ。うちうちよく習ひ得て、さし出でたらんこそ、
いと心にくからめ」と常に言ふめれど、かく言ふ人、一芸も習ひ得ることなし。
未だ堅固かたほなるより、上手の中に交りて、毀り笑はるゝにも恥ぢず、つれなく過ぎて嗜む人、天性、
その骨なけれども、道になづまず、濫りにせずして、年を送れば、堪能の嗜まざるよりは、終に上手の位に至り、
徳たけ、人に許されて、双なき名を得る事なり。
天下のものの上手といへども、始めは、不堪の聞えもあり、無下の瑕瑾もありき。されども、その人、道の掟正しく、
これを重くして、放埒せざれば、世の博士にて、万人の師となる事、諸道変るべからず。


11 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/08/03(日) 20:28:17.73 ID:tPXe0fuY0
【第151段】
ある人の言葉。「50超えてダメならあきらめろよ」まあ、そうだよね。
やったって伸びしろはもうないし、老人がやることだから下手に笑えないし、しゃしゃりでてこられてもうっとおしいだけだし。
年食ったら何もかもやめてぼけっと過ごしてくれってな。老人らしくていいじゃん。
変に世間に絡んでこられてもさ、迷惑なだけだから。
知りたいことがあったらエッセンスだけ把握しとけばいいじゃん。っていうか別に知らなくていいだろ。ぼけっとしとけよ。


原文
或人の云はく、年五十になるまで上手に至らざらん芸をば捨つべきなり。励み習ふべき行末もなし。
老人の事をば、人もえ笑はず。衆に交りたるも、あいなく、見ぐるし。大方、万のしわざは止めて、暇あるこそ、
めやすく、あらまほしけれ。世俗の事に携はりて生涯を暮すは、下愚の人なり。ゆかしく覚えん事は、学び訊くとも、
その趣を知りなば、おぼつかなからずして止むべし。もとより、望むことなくして止まんは、第一の事なり。


12 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/08/03(日) 20:36:57.40 ID:tPXe0fuY0
【第152段】
西大寺静然上人が腰も曲がって眉まで白くなって聖人そのものみたいな格好で内裏にきたんだけど、
西園寺内大臣は「しゅごい! かっこいい!」とキュンキュンしてるのに対して、資朝卿は
「ただの爺さんだろ……」とこぼしてたんだって。
後日談。資朝卿は年食ってヨレヨレになった犬を引っ張って「ほら、尊い犬ですよ」とか言って内大臣によこしたってさ。


原文
西大寺静然上人、腰屈まり、眉白く、まことに徳たけたる有様にて、内裏へ参られたりけるを、
西園寺内大臣殿、「あな尊の気色や」とて、信仰の気色ありければ、資朝卿、これを見て、
「年の寄りたるに候ふ」と申されけり。
後日に、尨犬のあさましく老いさらぼひて、毛剥げたるを曳かせて、「この気色尊く見えて候ふ」とて、
内府へ参らせられたりけるとぞ。


13 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/08/03(日) 20:39:54.41 ID:tPXe0fuY0
【第153段】
為兼大納言入道が逮捕されて、武士の集団に囲まれて六波羅に連行されたんだけど、
資朝卿が一条あたりでそれを見て「いいなぁ、男として生まれたらああなりたいもんだよなぁ」とつぶやいてたんだって。


原文
為兼大納言入道、召し捕られて、武士どもうち囲みて、六波羅へ率て行きければ、
資朝卿、一条わたりにてこれを見て、「あな羨まし。世にあらん思い出、かくこそあらまほしけれ」とぞ言はれける。


14 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/08/03(日) 20:48:47.32 ID:tPXe0fuY0
【第154段】
この資朝卿が東寺の門で雨宿りしてたときの話。一緒に障害者の集団がいたんだけど、手足とかゆがんで
体も反り返ってなんかキモイっつーか、ちょっと異様な光景だったから物珍しさで見てたんだよね。
で、しばらく見てたら飽きちゃって、やっぱり五体満足がいいよねって結論になったんだって。
そんなことで資朝卿は自宅に帰ってきたんだけど、実は前にぐにぐに曲がった植木を買ってきてたんだよ。
で、それを見てさっきの光景がよみがえってらしくて、何かキモイから全部掘り返して捨てたんだってさ。
バカだよね、こいつ。


原文
この人、東寺の門に雨宿りせられたりけるに、かたは者どもの集りゐたるが、手も足も捩ぢ歪み、
うち反りて、いづくも不具に異様なるを見て、とりどりに類なき曲物なり、尤も愛するに足れりと思ひて、
目守り給ひけるほどに、やがてその興尽きて、見にくゝ、いぶせく覚えければ、
たゞ素直に珍らしからぬ物には如かずと思ひて、帰りて後、この間、植木を好みて、異様に曲折あるを求めて、
目を喜ばしめつるは、かのかたはを愛するなりけりと、興なく覚えければ、鉢に植ゑられける木ども、
皆掘り捨てられにけり。
さもありぬべき事なり。


15 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/08/03(日) 21:08:32.15 ID:tPXe0fuY0
【第155段】
人並みに生きたいならTPOに気をつけなくちゃダメ。タイミング逃したら聞いてくれる人もいなくなるし全部パー。
そういうTPOのことね。ただ、病気と出産と死はTPOとかそんなん全然関係ないから。
生・住・異・滅の移り変りってやつなんだけど、大切なことはだいたい激流並みに流れが速い。タンマとかないから。
だからどんなことでもいいんだけど、本当にやりたいことってのはタイミングとか考えちゃダメだぜ。
そんなこと考えてるひまがあったらやれって話だよな。
春が終わって夏になる。夏が終わって秋が来るとか違うじゃん。春のうちにもう夏来てるじゃん。
夏の間にもう秋が来ちゃうじゃん。秋だって寒くなって10月なんかはもう小春日和、草も青くなって梅も蕾をつける。
葉っぱが落ちるのだって、あれは落ちてから芽吹くんじゃなくて、下から芽吹いてくるからそれに耐え切れなくなって落ちるんだよ。
変化を迎える気が下にあるから、その変化もめっちゃはやい。生・老・病・死の移り変わりなんてもっと早い。
四季って一応順番があるじゃん。でも死とか順番関係ないじゃん。
死ってのは前からこんにちは、じゃないんだよな。後ろから追いかけてくるもんなんだよ。
で、みんないつかは死ぬって理解はしてるんだけどさ、のほほんと構えてるじゃん。そしたら急にきちゃってポックリ逝く。
干潟見てたらいつのまにか満ち潮になってるじゃん。あれと一緒だよね。


原文
世に従はん人は、先づ、機嫌を知るべし。序悪しき事は、人の耳にも逆ひ、心にも違ひて、その事成らず。
さやうの折節を心得べきなり。但し、病を受け、子生み、死ぬる事のみ、機嫌をはからず、序悪しとて止む事なし。
生・住・異・滅の移り変る、実の大事は、猛き河の漲り流るゝが如し。暫しも滞らず、直ちに行ひゆくものなり。
されば、真俗につけて、必ず果し遂げんと思はん事は、機嫌を言ふべからず。とかくのもよひなく、
足を踏み止むまじきなり。
春暮れて後、夏になり、夏果てて、秋の来るにはあらず。春はやがて夏の気を催し、夏より既に秋は通ひ、
秋は即ち寒くなり、十月は小春の天気、草も青くなり、梅も蕾みぬ。木の葉の落つるも、
先づ落ちて芽ぐむにはあらず、下より萌しつはるに堪へずして落つるなり。迎ふる気、下に設けたる故に、
待ちとる序甚だ速し。生・老・病・死の移り来る事、また、これに過ぎたり。四季は、なほ、定まれる序あり。
死期は序を待たず。死は、前よりしも来らず。かねて後に迫れり。人皆死ある事を知りて、
待つことしかも急ならざるに、覚えずして来る。沖の干潟遥かなれども、磯より潮の満つるが如し。


16 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/08/03(日) 21:13:45.46 ID:tPXe0fuY0
【第156段】
大臣昇格のお祝いってのはしかるべき場所でやるのが普通なんだよな。ちなみに宇治左大臣は東三条殿でやってる。
東三条殿っていったら近衛天皇の家なんだけど、お願いされちゃったから自分は他所に行って貸してんの。
べつにそんなに親しくなくても女院の御所くらいは借りるもんなんだってさ。


原文
大臣の大饗は、さるべき所を申し請けて行ふ、常の事なり。宇治左大臣殿は、東三条殿にて行はる。
内裏にてありけるを、申されけるによりて、他所へ行幸ありけり。させる事の寄せなけれども、
女院の御所など借り申す、故実なりとぞ。


20 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/08/03(日) 21:47:00.59 ID:tPXe0fuY0
【第157段】
筆を持ったら何か書きたくなる。楽器を持ったら音を出したくなる。盃を持ったら飲みたくなるし、サイコロを持ったら打ちたくなる。
まあ、好奇心なんてそんなもんだからさ、よくないことはできるだけしないようにしようぜ。
経文の一つでも見てたらなんとなく前後の文章も見えるじゃん。そしたらちょっとくらい改めるところもでてくるかもしれないじゃん。
その経文を開かなかったらそんな可能性もなくなるわけで、つまりこれって何かの縁じゃね?
別に何の気もなくてもさ、仏さんの前で数珠でも持ってお経唱えてたら、さぼりさぼりやっててもなんか善行が身につくし、
煩悩全開でも縄床で座禅組んでりゃそれなりに悟れるだろ。
事象と真理ってのは最初から二つってわけじゃなくて、外見がそれなりに見えりゃ内側もそれなりになるんだよな。
外面ばっかりだからってそんなにコケにするもんじゃないよな。うん。


原文
筆を取れば物書かれ、楽器を取れば音を立てんと思ふ。盃を取れば酒を思ひ、賽を取れば攤打たん事を思ふ。
心は、必ず、事に触れて来る。仮にも、不善の戯れをなすべからず。
あからさまに聖教の一句を見れば、何となく、前後の文も見ゆ。卒爾にして多年の非を改むる事もあり。
仮に、今、この文を披げざらましかば、この事を知らんや。これ則ち、触るゝ所の益なり。
心更に起らずとも、仏前にありて、数珠を取り、経を取らば、怠るうちにも善業自ら修せられ、
散乱の心ながらも縄床に座せば、覚えずして禅定成るべし。
事・理もとより二つならず。外相もし背かざれば、内証必ず熟す。強ひて不信を言ふべからず。仰ぎてこれを尊むべし。


21 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/08/03(日) 21:51:41.16 ID:tPXe0fuY0
【第158段】
「盃の底に残った酒を捨てることを何と言うか知ってるか?」とある人が聞いてきたので
「凝当じゃないんスか。底に凝り固まったのを捨てるってことですよね」と言ったんだけど、
「あー、違う違う。魚道っていうんだよ。酒をちょっと残して口をつけたところを清めるんだよ」だって。へー。


原文
「盃の底を捨つる事は、いかゞ心得たる」と、或人の尋ねさせ給ひしに、
「凝当と申し侍れば、底に凝りたるを捨つるにや候ふらん」と申し侍りしかば、
「さにはあらず。魚道なり。流れを残して、口の附きたる所を滌ぐなり」とぞ仰せられし。


25 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 17:14:33.13 ID:4zCkW4W+0
【第159段】
「みな結びというのは、糸の結び目がになという貝に似ているからそういうんだ」とある偉い人が言っていました。

     *      *
  *     +  になとかうそです
     n ∧_∧ n
 + (ヨ(* ´∀`)E)
      Y     Y    *


原文
「みな結びと言ふは、糸を結び重ねたるが、蜷といふ貝に似たれば言ふ」と、
或やんごとなき人仰せられき。「にな」といふは誤なり。


22 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/08/03(日) 22:00:55.95 ID:tPXe0fuY0
【第160段】
門に額を掛けるのを「打つ」っていうのはダメなんかね。勘解由小路二品禅門は「額を掛ける」と言ってるんだよね。
「見物用の桟敷を打つ」ってのもダメかもしれんね。「平張を打つ」とか普通に使うけど、
「桟敷を構える」って言ったほがいいかもしれんね。
「護摩を焚く」はアウトだろうね。「修する」とか「護摩する」って言わないとダメだろうね。
そういえば清閑寺僧正が「行法の法はホウじゃなくてボウって言わないとダメなんだぜ」って言ってたな。
普段使ってる言葉でもうこういうの結構あるかもしれんね。


原文
門に額懸くるを「打つ」と言ふは、よからぬにや。勘解由小路二品禅門は、「額懸くる」とのたまひき。
「見物の桟敷打つ」も、よからぬにや。「平張打つ」などは、常の事なり。「桟敷構ふる」など言ふべし。
「護摩焚く」と言ふも、わろし。「修する」「護摩する」など言ふなり。「行法も、法の字を清みて言ふ、わろし。濁りて言ふ」
と、清閑寺僧正仰せられき。常に言ふ事に、かゝる事のみ多し。


23 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/08/03(日) 22:03:03.96 ID:tPXe0fuY0
【第161段】
桜の時期は冬至から150日後とか春の彼岸から7日後とかいうけど、立春から75日後が一番あってるんだぜ。


原文
花の盛りは、冬至より百五十日とも、時正の後、七日とも言へど、立春より七十五日、大様違はず。


24 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/08/03(日) 22:10:23.56 ID:tPXe0fuY0
【第162段】
遍照寺の承仕法師は池の鳥を日ごろから飼いならしてたんだけど、ある日御堂の中まで餌を撒いて扉を1ヶ所開けてた。
そしたら御堂の中に鳥が次から次から入っていったので、自分も入ってお堂を締め切った。
そして1匹1匹捕まえて殺しはじめたんだけど、ギャーギャーうるさいのを草刈りの子供が聞いて通報したんだって。
で、村の人がやってきてみると、大雁の群れの中に法師が1人混じってクビをひねって殺してんの。
結局その法師は逮捕。殺した雁を首にぶら下げて牢屋に入れたんだってさ。
基俊大納言が別当のときの話でした。


原文
遍照寺の承仕法師、池の鳥を日来飼ひつけて、堂の内まで餌を撒きて、戸一つ開けたれば、
数も知らず入り籠りける後、己れも入りて、たて籠めて、捕へつゝ殺しけるよそほひ、おどろおどろしく聞えけるを、
草刈る童聞きて、人に告げければ、村の男どもおこりて、入りて見るに、大雁どもふためき合へる中に、法師交りて、
打ち伏せ、捩ぢ殺しければ、この法師を捕へて、所より使庁へ出したりけり。殺す所の鳥を頸に懸けさせて、
禁獄せられにけり。
基俊大納言、別当の時になん侍りける。


25 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/08/03(日) 22:14:46.39 ID:tPXe0fuY0
【第163段】
太衝の太に点を打つか打たないかで、陰陽師の間で議論になったことがある。盛親入道は
「安部吉平の占いの本の裏に書いてる記録が近衛関白殿に残ってるけど、それには点が打ってるよ」って言ってた。


原文
太衝の「太」の字、点打つ・打たずといふ事、陰陽の輩、相論の事ありけり。盛親入道申し侍りしは、
「吉平が自筆の占文の裏に書かれたる御記、近衛関白殿にあり。点打ちたるを書きたり」と申しき。


26 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/08/03(日) 22:19:12.20 ID:tPXe0fuY0
【第164段】
普通誰かに会ったら何かしゃべるじゃん。でもこれ、聞いてみたらマジで無駄話ばっかりなのな。
噂話だの他人の批評だの誰の役にも立たんような話ばっかり。
で、しゃべってる本人たちは無駄とか思ってないの。ホントバカだよね。バカ。


原文
世の人相逢ふ時、暫くも黙止する事なし。必ず言葉あり。その事を聞くに、多くは無益の談なり。
世間の浮説、人の是非、自他のために、失多く、得少し。
これを語る時、互ひの心に、無益の事なりといふ事を知らず。


27 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/08/03(日) 22:24:08.14 ID:tPXe0fuY0
【第165段】
田舎もんが都会にまみれたりとかさ、逆に都会から田舎に行って身を立てるとかさ、
あと本寺なり本山から離れて宗派変えちゃうとかさ、そこはお前の住む世界じゃねーってのカスが。


原文
吾妻の人の、都の人に交り、都の人の、吾妻に行きて身を立て、また、本寺・本山を離れぬる、
顕密の僧、すべて、我が俗にあらずして人に交れる、見ぐるし。


28 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/08/03(日) 22:29:09.76 ID:tPXe0fuY0
【第166段】
人がやってることってさ、たとえば雪の仏さんを作って、そのための装飾品を作ったりお堂を建てたりするようなもんだよね。
建ててる間に溶けるっつーの。人の命も雪みたいにさっさと溶けてなくなるのにさ、なんかいろいろやろうとしてるじゃん。
何かバカっぽいよね。


原文
人間の、営み合へるわざを見るに、春の日に雪仏を作りて、そのために金銀・珠玉の飾りを営み、
堂を建てんとするに似たり。その構へを待ちて、よく安置してんや。人の命ありと見るほども、
下より消ゆること雪の如くなるうちに、営み待つこと甚だ多し。


29 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/08/03(日) 22:43:49.43 ID:tPXe0fuY0
【第167段】
専門家でさ、専門外のことにたいして「これが自分の専門だったら傍観なんかしてないんだけどね」
とかうそぶく奴ってよくいるじゃん。もう何かこういう奴ってクズだよね、クズ。
専門外だったら「専門の人がうらやましいね。自分もやってればよかった」とか言っとけばいいじゃん。
それをなけなしの知識振りかざしてわざわざ対抗しようとすんの。くだらねー角立てんなっつーの。
いいことしても自慢しないでできるだけ平和にいくってのが人としてあるべき姿じゃん。
他人より優れてるってのは欠点なんだよ、わかってる? 身分が高いだの一芸に秀でてるだの実家が名家だの
こういうのって言わなくても内心でほくそ笑んでしまうもんなんだよ。自重しろっての。マジで。
電波扱いされたり叩かれたり余計なカオス呼んだりするのって、全部こういうことから来てんだから。
本物の専門家ってのは自分の欠点もちゃんと見えてるんだよ。だから自慢もしない。わかったか素人ども^^


原文
一道に携はる人、あらぬ道の筵に臨みて、「あはれ、我が道ならましかば、かくよそに見侍らじものを」と言ひ、
心にも思へる事、常のことなれど、よに悪く覚ゆるなり。知らぬ道の羨ましく覚えば、「あな羨まし。
などか習はざりけん」と言ひてありなん。我が智を取り出でて人に争ふは、角ある物の、角を傾け、
牙ある物の、牙を咬み出だす類なり。
人としては、善に伐らず、物と争はざるを徳とす。他に勝ることのあるは、大きなる失なり。品の高さにても、
才芸のすぐれたるにても、先祖の誉にても、人に勝れりと思へる人は、たとひ言葉に出でてこそ言はねども、
内心にそこばくの咎あり。慎みて、これを忘るべし。痴にも見え、人にも言ひ消たれ、禍をも招くは、たゞ、この慢心なり。
一道にもまことに長じぬる人は、自ら、明らかにその非を知る故に、志常に満たずして、終に、物に伐る事なし。


31 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/08/03(日) 22:56:26.58 ID:tPXe0fuY0
【第168段】
年食った人が一芸に秀でててさ、「この人の後継者とかいないよね」なんて言われるのはやっぱり嬉しいだろうし、
長生きしようって気にもなるんだろうけど、そうはいってもずっと何の落ち度もないとかいったら、
一生それにかかりっきりなの? ってちょっとかわいそうな人生にみえちゃうんだよね。
「もう忘れちゃった、テヘ」くらい言ってほしいとは思うよ。
だいたい知ってるって言ってもさ、べらべら話してたら実は大したことないんじゃないの? なんて思われてさ、
しかもしゃべってるうちに何かボロがでちゃうの。
「あんまり覚えてないんですけどね」って一言加えるだけで、なんか本当に知ってそうな感じがするじゃん。
ましてや知らないことを知ったかでしゃべるやつね。立場があるから反論なんかしないけどさ、
「違うよなぁ」って思いながら聞いてるのとかホント苦痛でしかないんだよね。


原文
年老いたる人の、一事すぐれたる才のありて、「この人の後には、誰にか問はん」など言はるゝは、
老の方人にて、生けるも徒らならず。さはあれど、それも廃れたる所のなきは、一生、この事にて暮れにけりと、
拙く見ゆ。「今は忘れにけり」と言ひてありなん。
大方は、知りたりとも、すゞろに言ひ散らすは、さばかりの才にはあらぬにやと聞え、おのづから誤りもありぬべし。
「さだかにも辨へ知らず」など言ひたるは、なほ、まことに、道の主とも覚えぬべし。
まして、知らぬ事、したり顔に、おとなしく、もどきぬべくもあらぬ人の言ひ聞かするを、
「さもあらず」と思ひながら聞きゐたる、いとわびし。


32 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/08/03(日) 23:02:07.75 ID:tPXe0fuY0
【第169段】
「しきたりっていう意味で使う式っていう言葉は、後嵯峨天皇の時代までなかったんだよね。出てきたのって最近だろ」
って誰かが言ってたんだけど、建礼門院の右京大夫が後鳥羽院の即位後に内裏に住むことになったときに
「世の中の式も全然変わらんよね云々」って書いてるんだよね。実は。


原文
「何事の式といふ事は、後嵯峨の御代までは言はざりけるを、近きほどより言ふ詞なり」と人の申し侍りしに、
建礼門院の右京大夫、後鳥羽院の御位の後、また内裏住みしたる事を言ふに、
「世の式も変りたる事はなきにも」と書きたり。


26 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 17:24:34.77 ID:4zCkW4W+0
【第170段】
用事もないのに人ん家には行かないほうがいい。あっても用事がすんだらさっさと帰ったほうがいい。
居座ってもうっとおしいだけ。
面と向かったら何かしゃべらないといけないし、疲れるし、のんびりもできないし、だいたい他にやることあるだろ。
邪魔だったらそういうの言ったほうがいいよ、マジで。
でも暇で暇でしょうがなくて「ゆっくりしていってね!」とか言いたいときは別だよ。いつも白い目ばかりじゃないだろうしね。
暇なときに誰かが遊びに来るのはうれしいもんね。(リア充)
帰ったあと「楽しかった」ってメールが来るのもうれしいもんね。(リア充)


原文
さしたる事なくて人のがり行くは、よからぬ事なり。用ありて行きたりとも、その事果てなば、疾く帰るべし。
久しく居たる、いとむつかし。
人と向ひたれば、詞多く、身もくたびれ、心も閑かならず、万の事障りて時を移す、互ひのため益なし。
厭はしげに言はんもわろし。心づきなき事あらん折は、なかなか、その由をも言ひてん。
同じ心に向はまほしく思はん人の、つれづれにて、「今暫し。今日は心閑かに」など言はんは、この限りにはあらざるべし。
阮籍が青き眼、誰にもあるべきことなり。
そのこととなきに、人の来りて、のどかに物語して帰りぬる、いとよし。
また、文も、「久しく聞えさせねば」などばかり言ひおこせたる、いとうれし。


33 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/08/03(日) 23:21:31.28 ID:tPXe0fuY0
【第171段】
貝合わせで遊んでる人がさ、自分のとこの貝に目を向けないで余所ばっかり見てて人の袖の下から膝の下まで
注意してるくせに自分の近くの貝をあっさり合わせられたりするシーンってよくあるじゃん。よくあわせてる人って
あんまり遠くまで見ないで自分の近くばっかり合わせてんのね。で、結局たくさん合わせてんの。
碁盤の隅っこに石を置いてはじくときも、タゲ見てたってあたらないんだよね。手元をよくみて盤の筋に合わせたら
ちゃんとあたるもんなんだよな。
どんなことでも一緒なんだけどさ、外ばっか見てないで身近なとこからちゃんとしとかないとダメなんだよな。
清献公の言葉で「いいことやってりゃ将来なんて見なくていい」ってのがあるんだけど、政治の話も似たようなもんだろ。
内側をないがしろにして適当かましたら遠国から叛かれる。そこで初めてオロオロする。
「風に当たって湿ったところに寝て病気になったからって神頼みとかバカじゃねーの」って医者が言うことと似てるよね。
目の前にいる人を幸せにしてさ、正しいことしてりゃいつの間にかそれが広まるって知らないんだろうね。
昔、禹が三苗を制圧したときも、別に軍隊を置いて政治やってたわけじゃないんだよね。


原文
貝を覆ふ人の、我が前なるをば措きて、余所を見渡して、人の袖のかげ、膝の下まで目を配る間に、
前なるをば人に覆はれぬ。よく覆ふ人は、余所までわりなく取るとは見えずして、近きばかり覆ふやうなれど、
多く覆ふなり。碁盤の隅に石を立てて弾くに、向ひなる石を目守りて弾くは、当らず、我が手許をよく見て、
こゝなる聖目を直に弾けば、立てたる石、必ず当る。
万の事、外に向きて求むべからず。たゞ、こゝもとを正しくすべし。清献公が言葉に、
「好事を行じて、前程を問ふことなかれ」と言へり。世を保たん道も、かくや侍らん。内を慎まず、軽く、
ほしきまゝにして、濫りなれば、遠き国必ず叛く時、初めて謀を求む。「風に当り、湿に臥して、病を神霊に訴ふるは、
愚かなる人なり」と医書に言へるが如し。目の前なる人の愁を止め、恵みを施し、道を正しくせば、
その化遠く流れん事を知らざるなり。禹の行きて三苗を征せしも、師を班して徳を敷くには及かざりき。


1 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/08/15(金) 10:36:16.81 ID:hbOuYvyc0
【第172段】
若い時ってさ、何かこう、アツいじゃん? 中二病だったりオナニストだったりしてさ。
やっかいごとにクビ自分から首突っ込んで傷ついちゃうの。もうガラス王子って感じ?
お洒落に金使うかと思えば、そういうのをあっさりすてて小汚い姿で引きこもってみたり、
このオレを止めてみろとか言ってケンカしたり、そのくせ他人に劣ってるような気がして羨んでみたり、
好みも毎日のようにコロコロ変わっちゃうの。
で、性欲とかも全開で、そんな青春で、かっこいい生き方して長生きできなかった奴をリスペクトして
オレだって早死にするくらいかっこいいんだぜって何か中二病丸出しで結局黒歴史作っちゃうの。
ま、こういう粗相ってのも若さゆえの過ちってやつだよね。
年食ったらね、やる気なくなるしさ、何かどうでもよくなるしさ、もう感動とかもいい加減ないのな。
気持ちっつーかパッションがそんな感じだから余計なことはしなくなるし、健康に気を使っちゃうし、
人付き合いも波風たてないように気をつけるのな。
年食って賢くなるのってさ、若い時のほうがイケてるのと意味合いは一緒だよね。


原文
若き時は、血気内に余り、心物に動きて、情欲多し。身を危めて、砕け易き事、珠を走らしむるに似たり。
美麗を好みて宝を費し、これを捨てて苔の袂に窶れ、勇める心盛りにして、物と争ひ、心に恥ぢ羨み、
好む所日々に定まらず、色に耽り、情にめで、行ひを潔くして、百年の身を誤り、命を失へる例願はしくして、
身の全く、久しからん事をば思はず、好ける方に心ひきて、永き世語りともなる。身を誤つ事は、
若き時のしわざなり。
老いぬる人は、精神衰へ、淡く疎かにして、感じ動く所なし。心自ら静かなれば、無益のわざを為さず、
身を助けて愁なく、人の煩ひなからん事を思ふ。老いて、智の、若きにまされる事、若くして、かたちの、
老いたるにまされるが如し。


2 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/08/15(金) 10:41:43.96 ID:hbOuYvyc0
【第173段】
小野小町が全然見えない。劣化したときの話は玉造ってのに書いてるんだけどさ。
これ書いたのが清行だっけ? でも弘法大師の目録に載ってるでしょ。
でも大師って承和の初めに死んでんじゃん。小野小町ってその後の人じゃん。何なの? バカなの?


原文
小野小町が事、極めて定かならず。衰へたる様は、「玉造」と言ふ文に見えたり。
この文、清行が書けりといふ説あれど、高野大師の御作の目録に入れり。大師は承和の初めにかくれ給へり。
小町が盛りなる事、その後の事にや。なほおぼつかなし。


4 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/08/15(金) 10:47:10.33 ID:hbOuYvyc0
【第174段】
小鷹狩りに使ってる犬を大鷹狩りに使ったら、もう小鷹狩りには使えなくなるんだってさ。
おっきいことやったらちっちゃいことができなくなるって本当だったんだね。
世の中うっとおしいことが多いんだからさ、仏道選んだ方がいいじゃん。絶対。
だから一回仏道目指したら他のことがどうでもよくなるの。これ豆知識な。
いくらバカでも犬よりは賢いんだから、これくらい分かるだろ?


原文
小鷹によき犬、大鷹に使ひぬれば、小鷹にわろくなるといふ。大に附き小を捨つる理、まことにしかなり。
人事多かる中に、道を楽しぶより気味深きはなし。これ、実の大事なり。一度、道を聞きて、これに志さん人、
いづれのわざか廃れざらん、何事をか営まん。愚かなる人といふとも、賢き犬の心に劣らんや。


7 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/08/15(金) 11:24:50.48 ID:hbOuYvyc0
 【第175段】:前半
世の中ムカつくことが多いよな。
事あるごとに酒飲ませてイェーイとかいってる奴、あれはいったい何なの?
飲んでるほうは全力で嫌がっててこっそり酒こぼしたり逃げようとしたりしてんのに
それを捕まえてアホみたいに飲ませやがんの。
そんなんしたら誰だって悪酔いしてさんざん暴れたあげく倒れるに決まってんだろうが。
これがお祝いの席とかだったら目も当てられん。
で、起きたら二日酔いでしょ。頭痛いから食欲も出ないし、昨日の記憶も途中から飛んじゃってる。
仕事にも行けないし一日中寝っぱなし。
マジで俺をこんな目に合わせやがったら殺すよ、マジで。っていうかムカつかないやついないでしょ?
余所の国の人がこんなん聞いたら引くよ? いやホントに。
こういうのって傍から見てもイヤなんだよね。普段いい奴でも酔ったらバカ笑いしだしてろれつもまわらなくなってさ、
烏帽子とか緩めちゃって裾もまくりあげてんの。え、お前そういう奴だったの?って言いたくなるもん。
女は女で前髪かきあげてブス面全開でゲラゲラ笑ってんの。で、盃を持ってる手にまとわりついたり、
エスカレートしたらおつまみを取って「はい、あーん」とか言うのな。で、それを自分でも食ってんの、もうバカ丸出し。
声帯ちぎれるくらいギャーギャー歌って踊ってさ、ジジイの法師なんかも呼ばれてんだけど、こいつがまた脱ぐのな。
小汚ねー肌晒しやがってもう目も当てられないんだけど、それをみんな面白がってんの。もう狂人の集いですよ。
それに加えて自分語りしだすやついるでしょ、泣き出すやついるでしょ、口げんかしだすカスもいるでしょ、
もういい加減にしてくれっての。
こんなろくでもないことばっかりなのに、最後はやらねーって言うのに無理やり人のもん取り上げたり、
縁側から落ちるとか馬から落ちるとかで怪我してんの。
で、歩きの連中は千鳥足でフラフラ、塀とか門の下で粗相をやらかしたり、ジジイはジジイで子供にからんで、
何かよくわからんことをのたまいながらフラフラしてんの。もう言葉もないよね。


9 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/08/15(金) 12:25:26.51 ID:hbOuYvyc0
 【第175段】:後半
こんなんでもさ、現世なり後世の役に立つっつーなら我慢するよ? ま、でも事実は逆だよね。
酒のせいでの失敗だの散財だの病気だのとか多いじゃん。百薬の長とかいうけどさ、実際万病の元じゃん。
憂さ晴らしになるとか言っても酔っ払ったら何か昔の事思い出して泣き出すやついるじゃん。
後世はアレだぜ、知恵とかなくなるんだよ、それで積んだ善根も焼き尽くされてさ、戒律破ったとかで地獄に堕ちるんだよ。
「酒を手にとって人に飲ませたら500回生まれ変わるまで手を使えなくするから」って仏様も言ってんだよな。
まあ、そうは言っても捨てがたいときってのはやっぱりあるわけで。
たとえば月の夜、たとえば雪の降った朝、あとは花の咲いた木の下とかさ、のんびりしゃべりながらクイッっと一杯やったら
話にも花が咲くってもんじゃない。暇なときに友達が来たらこう、ちょっと飲みたくなるじゃない。
あと偉い人が御簾の中からくだものとかお酒とかを仰々しくスッと差し出すの、こういうのいいじゃない。
冬に狭い座敷で煮物とかしてさ、何人かでつっつきながら飲むとかいいじゃない。
旅先の仮屋とか野宿とかで「つまみが欲しいねぇ」なんてこぼしながら飲むのも一興じゃない。
そうそう、飲めない子が無理にすすめられてちょこっとだけ飲むのって、何か萌えるよね。
あと偉い人が無礼講で「ヨォ、飲んでる?」なんて言ってくれるのもうれしいよね。
仲良くしてみたい人が飲める口でさ、飲んでるうちに打ち解けるとかいいじゃない。
ま、何ていうかさ、飲める奴に悪い奴はいないんだよな。酔っ払って人ん家の前で寝ててさ、家の人に見つかるとかね。
びっくりするけど二日酔いなもんだから髪も乱れたまんま、服も乱れたまんまでそそくさと逃げんの。
その後姿見てたらスネ毛とか見えちゃってさ、まさにヨッパ☆ライって感じだよね。


10 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/08/15(金) 12:26:40.34 ID:hbOuYvyc0
原文
世には、心得ぬ事の多きなり。ともある毎には、まづ、酒を勧めて、強ひ飲ませたるを興とする事、
如何なる故とも心得ず。飲む人の、顔いと堪へ難げに眉を顰め、人目を測りて捨てんとし、逃げんとするを、
捉へて引き止めて、すゞろに飲ませつれば、うるはしき人も、忽ちに狂人となりてをこがましく、息災なる人も、
目の前に大事の病者となりて、前後も知らず倒れ伏す。祝ふべき日などは、あさましかりぬべし。明くる日まで頭痛く、
物食はず、によひ臥し、生を隔てたるやうにして、昨日の事覚えず、公・私の大事を欠きて、煩ひとなる。
人をしてかゝる目を見する事、慈悲もなく、礼儀にも背けり。かく辛き目に逢ひたらん人、ねたく、口惜しと思はざらんや。
人の国にかゝる習ひあンなりと、これらになき人事にて伝へ聞きたらんは、あやしく、不思議に覚えぬべし。
人の上にて見たるだに、心憂し。思ひ入りたるさまに、心にくしと見し人も、思ふ所なく笑ひのゝしり、詞多く、
烏帽子歪み、紐外し、脛高く掲げて、用意なき気色、日来の人とも覚えず。女は、額髪晴れらかに掻きやり、
まばゆからず、顔うちさゝげてうち笑ひ、盃持てる手に取り付き、よからぬ人は、肴取りて、口にさし当て、
自らも食ひたる、様あし。声の限り出して、おのおの歌ひ舞ひ、年老いたる法師召し出されて、黒く穢き身を肩抜ぎて、
目も当てられずすぢりたるを、興じ見る人さへうとましく、憎し。或はまた、我が身いみじき事ども、
かたはらいたく言ひ聞かせ、或は酔ひ泣きし、下ざまの人は、罵り合ひ、争ひて、あさましく、恐ろし。
恥ぢがましく、心憂き事のみありて、果は、許さぬ物ども押し取りて、縁より落ち、馬・車より落ちて、過しつ。
物にも乗らぬ際は、大路をよろぼひ行きて、築泥・門の下などに向きて、えも言はぬ事どもし散らし、
年老い、袈裟掛けたる法師の、小童の肩を押へて、聞えぬ事ども言ひつゝよろめきたる、いとかはゆし。
かゝる事をしても、この世も後の世も益あるべきわざならば、いかゞはせん、この世には過ち多く、財を失ひ、病をまうく。
百薬の長とはいへど、万の病は酒よりこそ起れ。憂忘るといへど、酔ひたる人ぞ、過ぎにし憂さをも思ひ出でて泣くめる。
後の世は、人の智恵を失ひ、善根を焼くこと火の如くして、悪を増し、万の戒を破りて、地獄に堕つべし。
「酒をとりて人に飲ませたる人、五百生が間、手なき者に生る」とこそ、仏は説き給ふなれ。


11 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/08/15(金) 12:27:13.54 ID:hbOuYvyc0
かくうとましと思ふものなれど、おのづから、捨て難き折もあるべし。月の夜、雪の朝、花の本にても、
心長閑に物語して、盃出したる、万の興を添ふるわざなり。つれづれなる日、思ひの外に友の入り来て、
とり行ひたるも、心慰む。馴れ馴れしからぬあたりの御簾の中より、御果物・御酒など、
よきやうなる気はひしてさし出されたる、いとよし。冬、狭き所にて、火にて物煎りなどして、隔てなきどちさし向ひて、
多く飲みたる、いとをかし。旅の仮屋、野山などにて、「御肴何がな」など言ひて、芝の上にて飲みたるも、をかし。
いたう痛む人の、強ひられて少し飲みたるも、いとよし。よき人の、とり分きて、「今ひとつ。上少し」
などのたまはせたるも、うれし。近づかまほしき人の、上戸にて、ひしひしと馴れぬる、またうれし。
さは言へど、上戸は、をかしく、罪許さるゝ者なり。酔ひくたびれて朝寝したる所を、主の引き開けたるに、
惑ひて、惚れたる顔ながら、細き髻差し出し、物も着あへず抱き持ち、ひきしろひて逃ぐる、掻取姿の後手、
毛生ひたる細脛のほど、をかしく、つきづきし。


12 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/08/15(金) 12:30:36.52 ID:hbOuYvyc0
【第176段】
黒戸の御所ってのは、光孝帝が即位したときに、昔自炊してた時のことを忘れないようにって作った調理場なんだって。
薪焼いてすすけてるから黒戸なんだってさ。


原文
黒戸は、小松御門、位に即かせ給ひて、昔、たゞ人にておはしましし時、まさな事せさせ給ひしを忘れ給はで、
常に営ませ給ひける間なり。御薪に煤けたれば、黒戸と言ふとぞ。


13 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/08/15(金) 12:39:02.39 ID:hbOuYvyc0
【第177段】
鎌倉の中書王が蹴鞠大会を開いたときに、雨が降ってたもんだから庭が濡れてたんだって。
で、どうしようか考えてるときに、佐々木隠岐入道ってのがのこぎりの屑を車に積んで大量に持ってきたんだよ。
それを庭に敷いて一件落着。こんなこともあろうかとって、それなんて新ジャンル? とかみんな感心したってお話。
それをちょっと話してみたんだけど、吉田中納言から「は? 乾いた砂用意してなかったの?」って言われてしまった。
俺何かもう涙目。言われてみればさ、そりゃのこぎり屑より乾いた砂のほうがいいよね。クズはクズだよね。
運営は乾いた砂くらい用意しとけって話だよね。グスン。


原文
鎌倉中書王にて御鞠ありけるに、雨降りて後、未だ庭の乾かざりければ、いかゞせんと沙汰ありけるに、
佐々木隠岐入道、鋸の屑を車に積みて、多く奉りたりければ、一庭に敷かれて、泥土の煩ひなかりけり。
「取り溜めけん用意、有難し」と、人感じ合へりけり。
この事を或者の語り出でたりしに、吉田中納言の、「乾き砂子の用意やはなかりける」とのたまひたりしかば、
恥かしかりき。いみじと思ひける鋸の屑、賤しく、異様の事なり。庭の儀を奉行する人、乾き砂子を設くるは、
故実なりとぞ。


14 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/08/15(金) 12:46:50.15 ID:hbOuYvyc0
【第178段】
とある家来、内侍所の神楽を見て「あれ、持ってたの宝剣だよな、な」とか話してたんだけど、
話を聞いてた女官が「それ宝剣違う、昼御座に飾ってる剣や」ってこっそり教えてあげたんだって。やるじゃん。
その人、むかし天皇に仕えてた人なんだってさ。


原文
或所の侍ども、内侍所の御神楽を見て、人に語るとて、「宝剣をばその人ぞ持ち給ひつる」など言ふを聞きて、
内なる女房の中に、「別殿の行幸には、昼御座の御剣にてこそあれ」と忍びやかに言ひたりし、心にくかりき。
その人、古き典侍なりけるとかや。


15 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/08/15(金) 12:55:13.21 ID:hbOuYvyc0
【第179段】
宋に留学してた道眼上人ってのが、一切経を持って帰ってきて六波羅の近くのやけ野ってとこに保管した。
特に禅の講義をして、その寺を那蘭陀寺と名づけた。
その道眼の話。
「那蘭陀寺は大門が北向きと大江匡房が言ってたけど、西域伝にも法顕伝にも書いてなかった。
その他の本にも書いてなかった。つまり、これは釣り決定ってやつだな。あ、唐の西明寺は北向きだったよ」
だとさ。


原文
入宋の沙門、道眼上人、一切経を持来して、六波羅のあたり、やけ野といふ所に安置して、
殊に首楞厳経を講じて、那蘭陀寺と号す。
その聖の申されしは、那蘭陀寺は、大門北向きなりと、江帥の説として言ひ伝えたれど、
西域伝・法顕伝などにも見えず、更に所見なし。江帥は如何なる才学にてか申されけん、おぼつかなし。
唐土の西明寺は、北向き勿論なり」と申しき。


16 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/08/15(金) 12:58:50.26 ID:hbOuYvyc0
【第180段】
さぎちょうっていうのは、正月につかって鞠杖を真言院で集めて、そこから神泉苑に持って言って焼くやつな。
「法成就の池にこそ」って歌ってんのはもちろん神泉苑の池のこと。これ豆知識な。


原文
さぎちやうは、正月に打ちたる毬杖を、真言院より神泉苑へ出して、焼き上ぐるなり。
「法成就の池にこそ」と囃すは、神泉苑の池をいふなり。


17 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/08/15(金) 13:06:12.87 ID:hbOuYvyc0
【第181段】
「降れ降れ粉雪、丹波の粉雪」っていう歌詞な、あれ脱穀した米をふるいにかけたらぬかの粉が落ちるじゃん。
アレに似てるから粉雪っていうんだよ。で、本当は「たまれ粉雪」なんだけど、間違って「丹波の粉雪」になってんだよ。
だからこれの続きは「垣や木の又に」になるんだよな。と、ある薀蓄さんが言ってた。
昔からこんな話なんかね。鳥羽院がガキンチョのときに雪が降ったら歌ってたって讃岐典侍の日記に書いてたな。


原文
「『降れ降れ粉雪、たんばの粉雪』といふ事、米搗き篩ひたるに似たれば、粉雪といふ。
『たンまれ粉雪』と言ふべきを、誤りて『たんばの』とは言ふなり。『垣や木の股に』と謡ふべし」と、或物知り申しき。
昔より言ひける事にや。鳥羽院幼くおはしまして、雪の降るにかく仰せられける由、讃岐典侍が日記に書きたり。


28 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 17:30:26.30 ID:4zCkW4W+0
【第182段】
四条大納言隆親卿が陛下の食事に鮭の干物を持っていったら
「こんな怪しい魚持ってくんなよカスww」なんて言われたもんだから
「別にいいだろ、鮎の干物とかよくでてるじゃん」と言ったそうだ。


原文
四条大納言隆親卿、乾鮭と言ふものを供御に参らせられたりけるを、
「かくあやしき物、参る様あらじ」と人の申しけるを聞きて、大納言、
「鮭といふ魚、参らぬ事にてあらんにこそあれ、鮭の白乾し、何条事かあらん。鮎の白乾しは参らぬかは」と申されけり。


19 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/08/15(金) 13:09:59.93 ID:hbOuYvyc0
【第183段】
人を突く牛は角を切る。人を噛む馬は耳を切る。これしるしな。
無印で人を傷つけたら飼い主の罪な。あと人を噛む犬も飼育禁止。
これちゃんと罪になるから。法律で禁じられてるから。わかったな。


原文
人觝く牛をば角を截り、人喰ふ馬をば耳を截りて、その標とす。標を附けずして人を傷らせぬるは、主の咎なり。
人喰ふ犬をば養ひ飼ふべからず。これ皆、咎あり。律の禁なり。


26 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/08/15(金) 14:11:46.06 ID:hbOuYvyc0
【第184段】
相模守北条時頼の母ちゃんは松下禅尼って言われてる。ある日、時頼を呼び出したことがあったんだけど、
煤けた障子の破れたとこを自分で小刀もってつぎはぎしたんだって。この時兄貴の城介義景が世話役をしてたんだけど、
「母ちゃん、そういうのは言ってよ。うちのやつにやらせるから。ちゃんと上手いやついるからさ」と言うと、
「いいよ、どうせ私のほうが上手いから」と言ってまたペタペタ貼り出した。
「それなら全部貼り換えようよ。つぎはぎとか見苦しいだろ」と言うと、
「それは後から。今日はわざとこうしてるんだよ。物は壊れたとこだけ修理して使いなさいってあの子に教えないといけないから」
と言ったそうだ。偉いね。さすがだよね。
政治ってのは倹約が大事なんだよな。女のクセによくわかってる。ま、天下を治める人の親ってのはこんなんばっかりなんだろうな。


原文
相模守時頼の母は、松下禅尼とぞ申しける。守を入れ申さるゝ事ありけるに、煤けたる明り障子の破ればかりを、
禅尼、手づから、小刀して切り廻しつゝ張られければ、兄の城介義景、その日のけいめいして候ひけるが、
「給はりて、某男に張らせ候はん。さやうの事に心得たる者に候ふ」と申されければ、
「その男、尼が細工によも勝り侍らじ」とて、なほ、一間づゝ張られけるを、
義景、「皆を張り替へ候はんは、遥かにたやすく候ふべし。斑らに候ふも見苦しくや」と重ねて申されければ、
「尼も、後は、さはさはと張り替へんと思へども、今日ばかりは、わざとかくてあるべきなり。
物は破れたる所ばかりを修理して用ゐる事ぞと、若き人に見習はせて、心づけんためなり」と申されける、
いと有難かりけり。
世を治むる道、倹約を本とす。女性なれども、聖人の心に通へり。天下を保つほどの人を子にて持たれける、
まことに、たゞ人にはあらざりけるとぞ。


27 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/08/15(金) 14:18:26.94 ID:hbOuYvyc0
【第185段】
秋田城介の陸奥守泰盛は乗馬の天才だったらしい。
馬を引っ張ってきたときに、足を揃えて敷居をヒラリと越えたら「これは荒いからダメ」とか言って、
他の馬に代えさせたんだって。足を伸ばしたままで敷居にぶつかるような馬は
「こんな鈍くさい駄馬に乗れるか」と言って乗らなかったんだって。
素人にはこういう注意とかないもんね。


原文
城陸奥守泰盛は、双なき馬乗りなりけり。馬を引き出させけるに、足を揃へて閾をゆらりと越ゆるを見ては、
「これは勇める馬なり」とて、鞍を置き換へさせけり。また、足を伸べて閾に蹴当てぬれば、
「これは鈍くして、過ちあるべし」とて、乗らざりけり。
道を知らざらん人、かばかり恐れなんや。


28 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/08/15(金) 14:22:23.53 ID:hbOuYvyc0
【第186段】
吉田という馬乗りの言葉な。
「馬ってのは基本的に気性が荒いんだよな。まず人間じゃ勝てないことは知っとくように。
まず馬をよく見て、強いところと弱いところを知っとくべきだな。
それからくつわと鞍をよくチェックして、危ないと思ったら乗らない。この辺のチェックを忘れないのが本物の馬乗りって奴だ。
これが真髄なんだぜ」
だってさ。


原文
吉田と申す馬乗りの申し侍りしは、「馬毎にこはきものなり。人の力争ふべからずと知るべし。
乗るべき馬をば、先づよく見て、強き所、弱き所を知るべし。次に、轡・鞍の具に危き事やあると見て、
心に懸る事あらば、その馬を馳すべからず。この用意を忘れざるを馬乗りとは申すなり。
これ、秘蔵の事なり」と申しき。


30 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/08/15(金) 14:26:50.08 ID:hbOuYvyc0
【第187段】どんな道でも、プロってのはどんなに下手くそでも素人じゃ勝てない。
普段からやってるやつと適当にやってるやつの差なんだろうな。
この辺は芸能とか技術とかじゃなくて、振る舞いとか心遣いも控えめにしとくのが無難だよね。
はったりで適当やったって失敗するのがオチだろうしね。


原文
万の道の人、たとひ不堪なりといへども、堪能の非家の人に並ぶ時、必ず勝る事は、
弛みなく慎みて軽々しくせぬと、偏へに自由なるとの等しからぬなり。
芸能・所作のみにあらず、大方の振舞・心遣ひも、愚かにして慎めるは、得の本なり。
巧みにして欲しきまゝなるは、失の本なり。


34 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/08/15(金) 14:52:02.08 ID:hbOuYvyc0
 【愛188段】:前半
とある人が子供を法師にしようとして、「勉強して知識をつけて、説経とかで身を立てるんだぞ」と言ったんだけど、
その子は言われたまんまに法師になろうとして、まず乗馬を練習した。
輿とか車とかないから、呼ばれたときに馬とか用意されても困らないようにと思ったらしい。
それと、仏事の後でお酒とか勧められた時に、何の芸もなかったら興ざめだろうなと思って早歌を練習したそうだ。
で、そればっかりやってたら何かプロの領域に入っちゃって、さらに上を目指してたら説経とか習う暇がなくなって、
そのうち年食ったんだって。
こいつだけじゃなくてさ、ありがちって言えばありがちだよね。若い時ってさ、
偉くなって得意分野も持って芸達者にもなって頭も良くなってって、将来夢いっぱいだけどさ、
まだ人生長いからって余裕こいて、目先のことばっかりに追われて時間だけが過ぎて
何もできずに年だけ食っちゃうのな。
結局得意分野もなく、出世もせず、後悔したって時間が戻るわけもなく、あとは坂を転がるように年老いていく。
そういうことで、一生でやりたいことはいろいろあるだろうけどさ、優先順位をちゃんと決めて、
一番やりたいことを決めたら他のことは思い切って一つに打ち込んだほうがいいよ。
一日、一時の中でもやることはいっぱいあるけどさ、ちょっとでもプラスになることをやって、
他のことは捨ててしまって大切なことだけ急いでやったほうがいいよ。
あれもこれもやってたらとてもじゃないけど何も身につかなくなるだろ。


36 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/08/15(金) 15:28:50.13 ID:hbOuYvyc0
【第188段】
たとえば囲碁だったら、一手も無駄にできないから先手先手で打って、小を捨てて大を取るようなもんだな。
そういうときに、3子捨てて10子取るのは簡単なんだよ。10子捨てて11子取るのが難しいんだよな。
1子でも勝つほうに打たないといけないのに10子だろ、普通は惜しいし、大して勝ってもない石には換えにくいよね。
で、これは捨てれん、あれは欲しいってやってたら結局どれもこれも取られちゃうんだよな。
京都に住んでる人が急用で東山に行くことになったとき、もう着いてても
西山に行ったほうがいいと思ったらさっさと行った方がいい。
「ここまできたんだから用事を済ませてでいいじゃん。時間の約束もしてないんだしさ。西山は明日ね、明日」
とか言ったってどうせ行かなくなるんだよ。お前らは。
一本道を絞ったら、他のことが上手くいかなくても気にすんなよ。笑われても別にいいから。
あれこれやってたら一本で大成するなんて無理だから。
とある集会で「ますほの薄、まそほの薄とかいうものがあってだな、渡辺上人という人が知ってるそうだぜ」という話を、
その場にいた登蓮法師が聞いて、外は雨が降ってたんだけど「誰か蓑と傘を貸してくれ。ちょっと聞いてくる」なんて言い出した。
「せっかちすぎだろ、雨止んでから行けよ」と言われたんだけど、「お前バカだろ。人の命が雨が上がるのを待ってくれるか?
俺が死んでその渡辺ってのが死んだら誰が誰に聞いたらいいんだよ」とか言って、さっさと走っていって聞いてきたってさ。
よくやるっつーか、何かすごいよね。「早けりゃ得する」って論語にも書いてるしな。
ま、こういうふうにさ、薄のことを知ろうと思ったのと同じように、一番大切なことを知ろうとしなくちゃなんないんだよな。


37 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/08/15(金) 15:30:18.75 ID:hbOuYvyc0
原文
或者、子を法師になして、「学問して因果の理をも知り、説経などして世渡るたづきともせよ」と言ひければ、
教のまゝに、説経師にならんために、先づ、馬に乗り習ひけり。輿・車は持たぬ身の、導師に請ぜられん時、
馬など迎へにおこせたらんに、桃尻にて落ちなんは、心憂かるべしと思ひけり。
次に、仏事の後、酒など勧むる事あらんに、法師の無下に能なきは、檀那すさまじく思ふべしとて、
早歌といふことを習ひけり。二つのわざ、やうやう境に入りければ、いよいよよくしたく覚えて嗜みけるほどに、
説経習うべき隙なくて、年寄りにけり。
この法師のみにもあらず、世間の人、なべて、この事あり。若きほどは、諸事につけて、身を立て、大きなる道をも成じ、
能をも附き、学問をもせんと、行末久しくあらます事ども心には懸けながら、世を長閑に思ひて打ち怠りつゝ、
先づ、差し当りたる、目の前の事のみに紛れて、月日を送れば、事々成す事なくして、身は老いぬ。終に、
物の上手にもならず、思ひしやうに身をも持たず、悔ゆれども取り返さるゝ齢ならねば、走りて坂を下る輪の如くに衰へ行く。
されば、一生の中、むねとあらまほしからん事の中に、いづれか勝るとよく思ひ比べて、第一の事を案じ定めて、
その外は思ひ捨てて、一事を励むべし。一日の中、一時の中にも、数多の事の来らん中に、少しも益の勝らん事を営みて、
その外をば打ち捨てて、大事を急ぐべきなり。何方をも捨てじと心に取り持ちては、一事も成るべからず。
例へば、碁を打つ人、一手も徒らにせず、人に先立ちて、小を捨て大に就くが如し。それにとりて、三つの石を捨てて、
十の石に就くことは易し。十を捨てて、十一に就くことは難し。一つなりとも勝らん方へこそ就くべきを、
十まで成りぬれば、惜しく覚えて、多く勝らぬ石には換へ難し。これをも捨てず、かれをも取らんと思ふ心に、
かれをも得ず、これをも失ふべき道なり。
京に住む人、急ぎて東山に用ありて、既に行き着きたりとも、西山に行きてその益勝るべき事を思ひ得たらば、
門より帰りて西山へ行くべきなり。「此所まで来着きぬれば、この事をば先づ言ひてん。日を指さぬ事なれば、
西山の事は帰りてまたこそ思ひ立ため」と思ふ故に、一時の懈怠、即ち一生の懈怠となる。これを恐るべし。
一事を必ず成さんと思はば、他の事の破るゝをも傷むべからず、人の嘲りをも恥づべからず。万事に換へずしては、
一の大事成るべからず。人の数多ありける中にて、或者、「ますほの薄、まそほの薄など言ふ事あり。
渡辺の聖、この事を伝へ知りたり」と語りけるを、登蓮法師、その座に侍りけるが、聞きて、雨の降りけるに、
「蓑・笠やある。貸し給へ。かの薄の事習ひに、渡辺の聖のがり尋ね罷らん」と言ひけるを、
「余りに物騒がし。雨止みてこそ」と人の言ひければ、「無下の事をも仰せらるゝものかな。人の命は雨の晴れ間をも待つものかは。
我も死に、聖も失せなば、尋ね聞きてんや」とて、走り出でて行きつゝ、習ひ侍りにけりと申し伝へたるこそ、
ゆゝしく、有難う覚ゆれ。「敏き時は、則ち功あり」とぞ、論語と云ふ文にも侍るなる。この薄をいぶかしく思ひけるやうに、
一大事の因縁をぞ思ふべかりける。


38 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/08/15(金) 15:50:29.99 ID:hbOuYvyc0
【第189段】
今日やらないかんなーって思ってたら、急用ができていつの間にか時間が経ってたり、
待ってる奴が用事で来れなくなったり、来なくていい奴が来たりする。期待はだいたい外れて、
思ってもないことが上手くいく。めんどくせーって思ってたら簡単にできて、簡単だと思ってたら案外うっとおしかったりする。
毎日毎日こんな調子で一年でも一生でもやっぱりこんな調子なんだな。
どんなことでも予想通りに上手くいったりいかなかったり、もう全然わかんない。要するに俺に未来は見えないっつーことだな。


原文
今日はその事をなさんと思へど、あらぬ急ぎ先づ出で来て紛れ暮し、待つ人は障りありて、頼めぬ人は来たり。
頼みたる方の事は違ひて、思ひ寄らぬ道ばかりは叶ひぬ。煩はしかりつる事はことなくて、易かるべき事はいと心苦し。
日々に過ぎ行くさま、予て思ひつるには似ず。一年の中もかくの如し。一生の間もしかなり。
予てのあらまし、皆違ひ行くかと思ふに、おのづから、違はぬ事もあれば、いよいよ、物は定め難し。
不定と心得ぬるのみ、実にて違はず。


41 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/08/15(金) 16:37:42.08 ID:hbOuYvyc0
【第190段】
お前ら嫁さんとかもらうなよ。「独身です!」って奴は俺は好きだぜ。
逆に「誰かれが結婚したんだぜ」だの「こんな女と同棲してるんだぜ」なんてのを聞くと手放しでバカにしたくなる。
どうでもいいビッチを誇らしげに連れてるのを見ると男までカスに見えてくるし、
いい女だったらかわいがって崇めちゃったりするんだろとか思ってしまう。っていうかそうとしか思えない。
家の切り盛りをしてる女とかもう見てらんない。子供とか作っちゃってかわいがるんだろ、バカじゃねーの?
男が死んだら尼とかになってのうのうと年取るんだろ。もう男が死んだあとまで恥さらすなっつーの。
どんな女でもずっと一緒にいたらイヤになる。女の言う愛ってやつも冷めるだろ。
こう、別居でもしてさ、たまに会うくらいだったら長続きするんだよな。ちょっと来て泊まるとかさ、たまにだからいいんだよな。


原文
妻といふものこそ、男の持つまじきものなれ。「いつも独り住みにて」など聞くこそ、心にくけれ、
「誰がしが婿に成りぬ」とも、また、「如何なる女を取り据ゑて、相住む」など聞きつれば、
無下に心劣りせらるゝわざなり。殊なる事なき女をよしと思ひ定めてこそ添ひゐたらめと、苟しくも推し測られ、
よき女ならば、らうたくしてぞ、あが仏と守りゐたらむ。たとへば、さばかりにこそと覚えぬべし。
まして、家の内を行ひ治めたる女、いと口惜し。子など出で来て、かしづき愛したる、心憂し。男なくなりて後、
尼になりて年寄りたるありさま、亡き跡まであさまし。
いかなる女なりとも、明暮添ひ見んには、いと心づきなく、憎かりなん。女のためも、半空にこそならめ。
よそながら時々通ひ住まんこそ、年月経ても絶えぬ仲らひともならめ。あからさまに来て、泊り居などせんは、
珍らしかりぬべし。


1 :愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/08/15(金) 17:23:38.38 ID:hbOuYvyc0
【第191段】
「夜になったら何も見えなくなるよね」って果てしなくバカだよね。
きらめき、装飾、色合い、全部夜だろ。
昼間は地味でいいんだよ。夜はド派手に決めるんだよ。常識だろ。
人もさ、夜の明かりの下で綺麗な人見るじゃん、萌えるじゃん。
話し声も暗かったら気を使うじゃん、萌えるじゃん。
匂いも音も夜だから萌えるんだよな。
何もない日に夜が更けてから来る人が身だしなみを整えてるのはいいね。
若くて、人のことも良く見てるような人は
時間なんかあってないようなもんだから、
気が緩みそうなときは朝夕の関係なしに身だしなみくらいちゃんとしときたいよね。
イケメンが日暮れに髪をとかす、女の子が夜更けにちょっと席をはずして化粧を直してくる、
こういうのっていいよね。


原文
「夜に入りて、物の映えなし」といふ人、いと口をし。万のものの綺羅・飾り・色ふしも、夜のみこそめでたけれ。
昼は、ことそぎ、およすけたる姿にてもありなん。夜は、きらゝかに、花やかなる装束、いとよし。
人の気色も、夜の火影ぞ、よきはよく、物言ひたる声も、暗くて聞きたる、用意ある、心にくし。
匂ひも、ものの音も、たゞ、夜ぞひときはめでたき。
さして殊なる事なき夜、うち更けて参れる人の、清げなるさましたる、いとよし。
若きどち、心止めて見る人は、時をも分かぬものならば、殊に、うち解けぬべき折節ぞ、褻・晴なくひきつくろはまほしき。
よき男の、日暮れてゆするし、女も、夜更くる程に、すべりつゝ、鏡取りて、顔などつくろひて出づるこそ、をかしけれ。


2 :愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/08/15(金) 17:25:05.33 ID:hbOuYvyc0
【第192段】
お参りは人が行かない日の夜に行こうぜ。


原文
神・仏にも、人の詣でぬ日、夜参りたる、よし。


29 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 17:37:17.23 ID:4zCkW4W+0
【193段】
バカは人と比べてもバカさ加減がわかるだけ。
ゲームしかできないバカがゲームの下手な人を見て「うはwwwこいつダメじゃんwwww俺すげぇwww」とか
マジでバカさ加減全開でさらしてるだけだから。文科系体育系が互いに叩き合ってんのもバカだからwww
ま、違う土俵の奴と自分を比べるなっつーこった。


原文
くらき人の、人を測りて、その智を知れりと思はん、さらに当るべからず。
拙き人の、碁打つ事ばかりにさとく、巧みなるは、賢き人の、この芸におろかなるを見て、
己れが智に及ばずと定めて、万の道の匠、我が道を人の知らざるを見て、己れすぐれたりと思はん事、大きなる誤りなるべし。
文字の法師、暗証の禅師、互ひに測りて、己れに如かずと思へる、共に当らず。
己れが境界にあらざるものをば、争ふべからず、是非すべからず。


5 :愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/08/15(金) 17:46:32.96 ID:hbOuYvyc0
【第194段】
達人の人を見る目は何だかんだ言って正しい。
たとえば餌用意して釣ろうとするやつがいてさ、全力で釣られるやついるじゃん。
釣られた上に尾ひれつけるやつまでいるじゃん。
あとはシカトするやつとか、どっちか分からんでなあなあにしちゃうやつとか、
釣りっぽいけどみんな信じてるから
なんとなく同意しちゃうやつとかいるじゃん。
ああ、あと何か考えながら知ってるような感じでうんうんうなずいてニコニコしてるけど実は何も知らんやつね。
後は知ってるけどよく分からんから知らないことにしてるやつとか、
釣りってわかってるけど一緒になって祭りあげるやつね。
こういうバカバカしい釣り話でもさ、知ってる人にはそれぞれの人となりが言葉とか顔とかから分かるんだろうね。
そういう人たちにとっては、俺らがあれこれ迷ってんのも手のひらで転がしてるようなもんなんだろうな。
ただ、
こういうのを単なる推測で仏法に当て込むのはよくないよな、よくない。


原文
達人の、人を見る眼は、少しも誤る所あるべからず。
例へば、或人の、世に虚言を構へ出して、人を謀る事あらんに、素直に、実と思ひて、言ふまゝに謀らるゝ人あり。
余りに深く信を起して、なほ煩はしく、虚言を心得添ふる人あり。また、何としも思はで、心をつけぬ人あり。
また、いさゝかおぼつかなく覚えて、頼むにもあらず、頼まずもあらで、案じゐたる人あり。また、実しくは覚えねども、
人の言ふ事なれば、さもあらんとて止みぬる人もあり。また、さまざまに推し、心得たるよしして、賢げにうちうなづき、
ほゝ笑みてゐたれど、つやつや知らぬ人あり。また、推し出して、「あはれ、さるめり」と思ひながら、なほ、
誤りもこそあれと怪しむ人あり。また、「異なるやうもなかりけり」と、手を拍ちて笑ふ人あり。また、心得たれども、
知れりとも言はず、おぼつかなからぬは、とかくの事なく、知らぬ人と同じやうにて過ぐる人あり。また、この虚言の本意を、
初めより心得て、少しもあざむかず、構へ出したる人と同じ心になりて、力を合はする人あり。
愚者の中の戯れだに、知りたる人の前にては、このさまざまの得たる所、詞にても、顔にても、隠れなく知られぬべし。
まして、明らかならん人の、惑へる我等を見んこと、掌の上の物を見んが如し。
但し、かやうの推し測りにて、仏法までをなずらへ言ふべきにはあらず。


7 :愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/08/15(金) 17:52:03.35 ID:hbOuYvyc0
【第195段】
久我畷を通ってるときに、
小袖に大口の袴を着た人が木造の仏像を田んぼの水で洗ってたんだよ。
アホかな、と思って見てたら、
狩衣の男が2、3人出てきて「こんなとこにいたぞー!」ってどこかに連れてっちゃった。
久我内大臣だったんだって。
気違いになる前はいい人だったんだけどね。 


原文
或人、久我縄手を通りけるに、小袖に大口着たる人、木造りの地蔵を田の中の水におし浸して、
ねんごろに洗ひけり。
心得難く見るほどに、狩衣の男二三人出で来て、「こゝにおはしましけり」とて、この人を具して去にけり。
久我内大臣殿にてぞおはしける。
尋常におはしましける時は、神妙に、やんごとなき人にておはしけり。


30 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 17:44:28.41 ID:4zCkW4W+0
【第209段】
田んぼの所有権争いに負けたカスが「その田んぼを全部刈り取ってこい」と、派遣を出したそうだ。
その派遣、通りすがりの田んぼを片っ端から刈り取っていった。
「おい、そこの田んぼは関係ないだろ」と言われたので
「人の田んぼを刈り取ってこいって言われたんだ、どこ刈ったって一緒だろ」と答えたって。
何という正論wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww


原文
人の田を論ずる者、訴へに負けて、ねたさに、「その田を刈りて取れ」とて、人を遣しけるに、
先づ、道すがらの田をさへ刈りもて行くを、「これは論じ給ふ所にあらず。
いかにかくは」と言ひければ、刈る者ども、
「その所とても刈るべき理なけれども、僻事せんとて罷る者なれば、いづくをか刈らざらん」とぞ言ひける。
理、いとをかしかりけり。


31 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 17:46:18.34 ID:4zCkW4W+0
【第212段】
秋月はいい。マジでいい。違いがわからない奴は死んだほうがいい。


原文
秋の月は、限りなくめでたきものなり。いつとても月はかくこそあれとて、思ひ分かざらん人は、無下に心うかるべき事なり。


32 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 17:53:11.92 ID:78VIhl+j0
相変わらず極端だな兼好


33 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 17:58:13.57 ID:4zCkW4W+0
【第234段】
釣りっぽい質問に対して、知ってるクセにマジレスしないのはよくない。
もっと深く知りたいと思ってるかもしれない。もしかして釣りじゃないかもしれない。全力で釣られてこそVIPだろ。
あんまり世間に広がってないものを、自分が知ってるからって「あいつがあんなことをするなんて……」
なんてメールを送ったりしたら「は? 何それ?」とか聞き返されるだろ。
広まってることだって情報逃してるかもしれないじゃん。だからそういうのはちゃんとわかるように書いてやるのが真のVIPPER。
文章が足りないのは頭が足りないからなんだよwwwww


原文
人の、物を問ひたるに、知らずしもあらじ、ありのまゝに言はんはをこがましとにや、心惑はすやうに返事したる、よからぬ事なり。
知りたる事も、なほさだかにと思ひてや問ふらん。また、まことに知らぬ人も、などかなからん。
うらゝかに言ひ聞かせたらんは、おとなしく聞えなまし。
人は未だ聞き及ばぬ事を、我が知りたるまゝに、「さても、その人の事のあさましさ」などばかり言ひ遣りたれば、
「如何なる事のあるにか」と、押し返し問ひに遣るこそ、心づきなけれ。
世に古りぬる事をも、おのづから聞き洩すあたりもあれば、おぼつかなからぬやうに告げ遣りたらん、悪しかるべきことかは。
かやうの事は、物馴れぬ人のある事なり。


35 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 18:06:16.84 ID:4zCkW4W+0
あれ、この辺で終わりか……


30 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/08/03(日) 22:55:06.52 ID:oq1sbM6GO
あんたすげぇよ…
古典の勉強してみようかな


34 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/07/06(日) 01:06:30.12 ID:2EHq36Op0
しかし兼好は考え方がまんま2ちゃんねらだな


35 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/07/06(日) 01:10:06.52 ID:vLA5Ho230
たまにすっごい良いこと言ってるけど
愚痴みたいなのになるとそうだな




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♯35651
大体合ってるのにたまに結論が原文と逆になってるのはなんなんだ
あと季節がずれるから日付は1ヶ月くらいずらせばよかったのにな
♯35653
辛ぇ辛ぇ臭っ!
♯35655
グッジョブ
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