【生活】ヒロシ君が日記を始めました その2
前回の ヒロシ君が日記を始めました その1 は↓
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148 :1 ◆A2rpxnFQ.g :2007/05/07(月) 20:57:18 ID:dZqBW0ep
4月29日(日)
ゴールデンウィークが始まった。
いい機会なので誰かの家に泊まりに行くことにした。
誰の家に泊まろうか迷ったのであみだくじで決めることにした。
くじにノミネートされたのはダビデ君とティンコ君だ。
モンローちゃんは男子じゃないので除外した。
メガネ君は人間じゃないので除外した。
くじの結果、ティンコ君の家に泊まることにした。
せっかくなのでダビデ君も誘った。
モンローちゃんも一応誘ってみたら『ふざけないで!!誘うのは本来私の役目でしょ!!!!』と怒って断られた。
意味がわからない。
メガネ君は人間じゃないので誘わなかった。
ティンコ君は快く承諾してくれた。
僕がティンコ君の部屋に入るのは実は初めてだ。
意外に綺麗だった。
部屋の窓辺には望遠鏡が置いてあったりして結構感じがいい。
まあその望遠鏡が空ではなく隣の家の二階の窓に向いていることがやたら気になったが。
ティンコ君のお母さん(以下:ティンコママ)が夕飯をご馳走してくれた。
僕がティンコママを見るのは初めてだ。
意外に綺麗だった。
夕飯はスッポン鍋だった。
食べているとティンコママが、
『どう?体が熱くなってきたでしょ?特に下半身なんかやばくない?そこんとこどうなの?
え、なんともない?そんなはずはないわ!!爆発寸前にまで高まって抑えきれない欲望が下半身で暴れまわってるはずよ!!
もっと食べてみなさい!!』
と、少々興奮気味にすすめてきた。
他人の下半身にどれだけ興味を持ってるんだ、このおばさんは。
しつこかったので『確かにあついですよ。おばさんの化粧ほどじゃないけど…』とやんわりあしらっておいた。
ティンコママはモンローちゃんと似た民族のようだ。
お風呂は三人で一緒に入った。
ダビデ君が入浴剤と間違えて片栗粉を入れてしまったのを除けば平和だった。
あとはティンコ君が『背が一番高いのはダビデ君だけど、アソコが一番でかいのは俺だぜ!!』と一人でほざいていた。
アソコってどこだ。
そんな代名詞でしか表せないような部門でトップになったくらいでいい気になるな。
カチンときた僕は、急所の代名詞であるティンコ君の金玉を平手打ちで粉砕した。
夜は三人でトランプをした。
まずは【ババぬき】だ。
『…ババよりも下半身に溜ってるモノを抜きたいんだが…。今日はみんないるから我慢しとくか…。』と、ティンコ君がブツブツ呟いていた。
何を抜くかは知らんが我慢せずに思う存分抜けばいいじゃないか。
次は【7ならべ】だ。
ダビデ君は絵札と1~3までしか持ってなかったので一枚も並べることなく終わった。
負けたときの彼の切なげな表情が忘れられない。
最後は【神経衰弱】だ。
ティンコ家の神経衰弱は一般の家庭で行われているものとは違った。
トランプを裏にして並べるのではなく、数字が書かれている面を上にして並べるのだ!!!!
つまり、数字のペアを作るのではなく、裏のトランプの模様が一緒のカードを探すという逆転の発想が生んだ画期的ルールなのだ!!!!!!!!
百発百中で当たるこの神経衰弱にツッコミを入れる者はいなかった。
真剣な顔でカードをめくっているティンコ君、それを見つめていたダビデ君の切なげな表情が忘れられない。
163 :1 ◆A2rpxnFQ.g :2007/05/08(火) 20:32:55 ID:xIBZVxDr
5月1日(火)
ダビデ君が犬を三つ蹴った!!!!
間違えた。
ダビデ君が犬を見つけた。
道端に捨てられていたのを見つけたそうだ。
可哀想な犬だ。
二人でこっそり世話することにした。
メガネ君には秘密だ。
あんな変態に知られたら犬の情操教育に悪い影響を及ぼすからだ。
ティンコ君にも秘密だ。
この犬がメスだからだ。
名前をつけてあげることにした。
ダビデ君は【ポチ】とか【シロ】を候補に挙げた。
別に悪くはないが、この犬が全く白くないという事実を一切無視している名前はどうかと思った。
僕は【毒粒手郁恵門(どくつぶていくえもん)】とか【殺気有世(さつきゆうせい)】をすすめたが、『そんな名前駄目だよ。この子女の子なんだから』とやんわり否定された。
駄目だと指摘する箇所が間違っている気がするがまあいい。
二人で話し合った結果、犬の名前は【パパイヤ】にすることにした。
なんとなく年頃になると父親をないがしろにしそうな雰囲気をかもちだしていたからだ。
パパイヤにえさをあげなければならない。
しかし手元には食べ物は何もない。
仕方がないので近くを歩いていたモンローちゃんに『母乳をくれ』と頼んだら、
『私そんなプレイは好きじゃないわ!!!!』と言われてビンタされた。
さすがに母乳が出るとは最初から思ってなかったが、断る理由に疑問が尽きないのは確かだ。
ビンタまでしやがって…。
次会ったら気付かれないように、うなじにガムテープを貼ってやる事に決めた。
僕が決めた。
しょうがないので自腹を切ってパンを買って食わせた。
パパイヤを僕とダビデ君のどちらの家で飼うかを決めることにした。
ダビデ君の家はすでにネコを飼っているので無理のようだ。
僕のウチも毎日不特定多数のゴキブリが出入りするから無理だ。
メガネ君に頼もうとも考えたが、『あんな変態に飼われるくらいなら死を選ぶわ!!!!』
パパイヤの目がそう言っている気がしたのでやめた。
ティンコ君に頼むのも駄目だ。
パパイヤがメスだからだ。
しょうがないので、学校のうさぎ小屋で飼うことにした。
ここなら毎日自動的にえさも放り込まれるだろう。
ちょっと体格がうさぎとは異なるが、そこらへんは遠近法を使えばいくらでもごまかしが効くだろう。
僕らにペットが出来た。
人と人が互いに傷付け合う悲しい現代社会だからこそ、未来を生きる僕たちが優しさを持たねばならないのだ。
パパイヤに精一杯の愛情をこめて育てていこうと思う。
代わりにメガネ君にはいつも以上に冷たく接しなければならない。
そうしないと気分的にバランスが悪いのだ。
173 :1 ◆A2rpxnFQ.g :2007/05/09(水) 20:31:09 ID:HmUy0git
5月4日(金)
潮干狩りへ行った。
僕の家族とダビデ君の家族とメガネ君の家族とモンローちゃんの家族でだ。
ティンコファミリーは来られないらしい。
『両親が子作りで忙しい』とだけ言われた。
それを聞いた時、うなじにガムテープを付けたモンローちゃんがニヤリと笑ってたが、まあどうでもいい。
早速潮干狩をすることにした。
ダビデ一家はくまでを忘れたようなのでフォークで頑張るようだ。
健気な一家だ。
メガネ一族もくまでを忘れたようなのでフォークで………と言いたいところだが、こいつらちゃんと持ってきてやがった。
もう少し空気を読んでほしかった。
こんなんだからいつまでもメガネなのだ。
メガネな一族だ。
とりあえずそこらへんの砂を掘ってみることにした。
メガネ君が地面に手をかざして
『感じる…。この下に眠るたくさんの貝達の悲痛な叫びが…。…もう心配はいらない。僕が君達を暗い世界から救いだしてあげるよ。』
と、そんなことをブツブツと呟いていた。
それを聞いた僕の体にはブツブツと鳥肌が立った。
気持ちが悪かったので立った鳥肌の粒の数だけメガネ君にビンタをした。
いつもだったら3割引で行っているところだが、パパイヤに愛情を注いでいる手前そういうわけにもいかない
意外と貝は見つからない。
ダビデ君がフォークを三本折ってまで堀り続けたのに…。
これによりダビデ君一家は今日昼飯が食べられない。
だが大丈夫だ。
まだメガネ君のフォークが残っている。
モンローちゃんはモンローちゃんで『潮を吹くのは貝だけじゃなくってよ♪』
と、なんか楽しそうに意味の分からない事をほざいていた。
いい加減一般庶民にわかる言葉で話してほしいものだ。
ふと見るとモンローちゃんが泣いていた。
割れた貝の破片で足をケガしたようだ。
それを見たメガネ君が『こりゃ大変だ!!だが心配は無用だ!!僕が舐めてばい菌を退治してあげるよ!!!!』
と、ハァハァ言いながらモンローちゃんに近付いていった。
何を言っているんだこいつは。
お前のよだれにどれだけの殺菌効果があるというのだ。
心配よりもお前のよだれの方がよっぽど無用だ。
犯罪の匂いがしたので持っていたバケツをメガネ君の頭にかぶせて、その上でくまででおもいっきりバケツをぶっ叩いた。
一日やってみたが貝はそんなに採れなかった。
『貝なんてお店で買いなさい!!(笑)』と、くだらないダジャレをメガネ君が言ったので、僕はメガネ君の髪を噛み千切った。
182 :1 ◆A2rpxnFQ.g :2007/05/10(木) 20:17:48 ID:7e+o8tua
5月7日(月)
今日はパパイヤを教室に連れていく事にした。
こんな可愛い犬をセキュリティの整っていないうさぎ小屋に一日中放置しておくのは危険だからだ。
ましてやこの学校にはメガネ君とティンコ君という限りなく変質者に近い変態がいる。
あの変態共が無抵抗なか弱いパパイヤに何をするかわかったもんじゃない。
僕らでパパイヤの貞操を守るのだ。
教室に連れていくに当たっての一番のネックは、いかにして先生にバレずにパパイヤを持ち込むかだ。
カバンに入れたり、妊婦を装いお腹にかくまったり、いっそのこと動く携帯ストラップとして堂々と持ち込むなど、
色々案が出たがどれもピンとこない。
しかたがないので、パパイヤにランドセルを背負わせて生徒として教室に迎え入れるという一番無難な方法をとることにした。
一番後ろの窓際の席を確保したので多分大丈夫だ。
チャイムが鳴り、サムゲタン先生が教室に入ってきた。
すると先生は『おい、そこの一番後ろのお前!!!!』と、パパイヤを見るなり怒鳴り声をあげた。
くそ、バレたか!?
『顔中ひげだらけじゃないか。成長期にも程があるぞ!!明日までに剃ってこいよ!!!!』
…やった、バレなかった。
パパイヤはこの瞬間、人間として生きることを認められたのだ。
おめでとうパパイヤ。
ようこそパパイヤ。
ここまで来たのでパパイヤに普通に授業を受けさせることにした。
教科書類はメガネ君のを使えばいい。
過去に『天才に教科書なんぞ必要ないのだ。いや、僕の存在そのものが人々にとっての教科書なんだろうね。』と、
わけのわからない事をほざいていたので大丈夫だ。
その時にメガネ君を殴った感触は今もこの手にメモリーされている。
パパイヤはそのままおとなしく授業を聞いていた。
たまに先生からの『東京、茶、台、この三つの単語の後に続く共通の言葉はなんだ?』という問題に『ワン!!!!』と即答する秀才ぶりを発揮したりした。
まるでパパイヤの為に作られたような問題だ。
給食も一緒に食べた。
さすがにハシは持てないので周りには『触る物みな傷付ける年頃だから』と、ごまかしておいた。
とりあえずパパイヤを警護する一日は終わった。
変態共がのさばる世の中だからこそ、僕らは戦わなくちゃいけない。
悪に屈しず己の正義を掲げ行動するのだ。
とりあえず、犬が授業を受けているという状況に誰も疑問に思わないこの学校は本気でやばいと思う。
メガネ君は前々からやばいが。
198 :1 ◆A2rpxnFQ.g :2007/05/11(金) 19:59:16 ID:Wrv4k5kq
5月10日(木)
今日は社会の授業で町のゴミ拾いをすることになった。
なので、さっそくメガネ君をサムゲタン先生の所へ持っていったが『残念だけどこれは捨てるものじゃないよ』と断られた。
………なぜだ………。
これ以上に不必要な物質は世界中探しても無いのに…。
僕はショックで気が狂いそうになった。
『さあ、ゴミを拾いに行こうじゃないか!!!!』とメガネ君がやたら張り切っている。
ゴミがゴミを拾うなんておかしな話だ。
とりあえずグループに別れて町のゴミ拾いをすることになった。
僕のグループのメンバーはいつものアレなメンバーだ。
ゴミ拾いは意外に順調に進んでいった。
ダビデ君がゴミと間違えて大量のグミを購入してきた以外は。
全財産を失った彼にかける言葉が見付からない。
『ゴミだゴミだって言うけれど、ゴミってどんなものを言うのかな~。
自分にとってはゴミに見えても他の人には宝物のように大事な物だってこともあるかもしれない。』と、不意にメガネ君が言った。
メガネ君にしては生涯で一度あるかないかくらいの真面目な発言だ。
するとモンローちゃんが『私にとってのゴミはヒロシ君ね』と、いきなり言い出した。
この時点でモンゴリアンチョップをお見舞いしようと思ったが、理由を言ってくれるそうなので聞いてやることにした。
その理由次第で気持ちが変わるかもしれない。
『私になびかない男なんてゴミ同然よ』と、モンローちゃんは言う。
この瞬間をもって、モンローちゃんは僕にとってのゴミになった。
僕を見下す人間は僕にとってゴミ同然だからだ。
そう言ってモンローちゃんをサムゲタン先生に差し出したが『これも捨てられないよ…』と断られた。
………なぜなんだ………。
大人はわかってくれない。
ブルーになっている僕に、
『ヒロシ君はゴミはゴミでも生ゴミだよ。だってこうして生きているじゃないか!!
生きているゴミと書いて生ゴミと読むんだよ!!
ヒロシ君は生きているんだよ!!ゴミでもゴミなりに生きているんだよ~!!!!!!!!』と、メガネ君が追い討ちをかけてきた。
本人は励ましているつもりらしい。
このメガネいい度胸してるじゃないか。
僕は体内に残されたわずかな情熱の炎を拳に集め、できうる限りの勢いを乗せメガネ君の顔面にぶちかました。
ゴミ拾いが終わった。
ティンコ君が道端で拾った女体学の本を熱心に読んでいた。
メガネ君は拾ったゴミが入っているゴミ袋に鼻を突っ込み臭いをクンクンかいでいた。
人間と呼ぶのもおこがましいメガネ君が『拾ったゴミの臭いを余すことなくかぐのが、ゴミ拾いの醍醐味だよね♪』と、
また笑えもしないダジャレを言った。
腹が立ったのでメガネ君の腕を棒でぶっ叩いた。
216 :1 ◆A2rpxnFQ.g :2007/05/12(土) 16:51:58 ID:TTxYlRlG
5月12日(土)
いい天気なので近くを散歩していたら、メガネ君が息を切らしてこちらに走ってきて、
『助けてくれ!!!!僕は敵に追われているんだ!!!!』と言ってきた。
興味の欠片もなかったが、一応『誰に?』と聞いてみた。
すると『各国のボス達に決まってるだろ!!!!』と怒られた。
なにお前で勝手に決めてんだ。
落ち着きのないメガネ君は続けてほざく。
『さっきようやく気付いたよ!!僕ほどの天才を国が放っとくはずがないんだ!!きっと各国が僕を拉致する極秘プロジェクトを進めているに違いない。
今こうしている間にも、組織が送り込んだ秘密工作員が僕の経歴を調べあげ僕という存在の脅威を再確認していることだろう。
そして僕の人知を越えた経歴を知り、各国の首脳は確信するんだ。
「この少年は人類の歴史始まって以来の天才だ!!是非とも我が国の戦力として動いていただきたい!!」とね。
そこから僕の非日常的な日常が始まるんだよ。天才を必要とする大人共が僕の身柄を拘束しようと四六時中僕を狙ってくるんだ。
昼間学校にいる時なんか危険すぎてオナラが出るよ。
教師をのど飴で買収して、真面目に授業を受ける僕の消しゴムを触ると高圧電流が流れる仕掛けの物とすり替えておくのも方法の一つさ。
それによって僕を気絶させ連れ去るつもりなんだろうね。でも組織は僕をみくびっていたよ。
天才である僕が間違いを修正する消しゴムなんぞ使うはずがないのさ!!間違うはずのない天才に消しゴムを使わせるとは片腹痛いぜ!!
でも学校での襲撃をかわしたってまだ安心はできない。
夜、家で寝ているときだって組織が育成した超能力者が僕のベッドをサイコキネシスで浮かせ、
寝ている僕ごと自分達のアジトに運ぶ可能性も否定できない。
まあ神経の研ぎ澄まされている僕だったら例え寝ていても、
防衛本能が働いてカウンターのサイコキネシスで相手を倒せるから心配はいらないけどね。
そして組織は痛感するのさ。「この少年、我々の手に負える者ではない…。…やむをえん…。組織に牙を剥く前に抹殺するのだ!!!!」ってね。
今度は命そのものを奪いに来るんだよ。
家のウォシュレットの水を硫酸にすり替えておいたり、階段を13段になるよう作り替えたり、
射程距離内で僕の存在を感知した瞬間僕に向けてレンズからレーザービームが自動発射されるメガネを開発しその着用を国民に義務付けたりするんだ。
国中のみんなが敵になるのさ。…でもモンローちゃんだけは違うんだ。清い心を持つ彼女だけは僕を認め供に組織に立ち向かおうと誓ってくれるんだ。
喜びのあまり涙を流す僕にモンローちゃんはそっと口付けをしようと顔を近付ける。そして二人の愛は永遠のものになるはずだった。
でも僕らの唇が触れ合う直前、僕の左胸をレーザービームが貫くんだ。………そこに立っていたのは特殊メガネをかけたヒロシ君、君がいるんだ。
目に涙を浮かべ「ごめん」と消え入りそうな声で僕に言い、僕は小さく微笑んで「君に殺されるなら本望さ…」と小さな声で言うんだ。
それが僕とヒロシ君の最後のやりとりだよ。ヒロシ君とモンローちゃん、二人に見守られながら僕は天にのぼっていくのさ………。
その後、組織は僕の遺体を回収し、研究者達は僕という天才の脳のメカニズムを解析しようと試みるんだ。でも所詮無理な話だよ。
凡人が天才を理解できるはずがない。
結局、研究はなんの成果も得られないまま、僕の遺体は半永久的に保存されたまま、月日はいつものように流れていくのさ…。
え?モンローちゃんとヒロシ君はその後どうしたかって?
モンローちゃんは左胸を貫かれた僕との愛を貫き生涯独身のまま一生を終えることになるよ。
ヒロシ君はもう二度と僕のような悲劇が起こらぬよう総理大臣になって【天才保護条約】を世界と結んでいくんだ。
僕の死は世界中を動かす事になるんだ。
…そんなわけで、僕は今は組織に追われている段階なんだよ~!!!!助けてくれ~!!!!』
あぁ…今日も平和だ。
僕に腹を殴られて足元で苦しそうにもがいているメガネ君を見ているとつくづくそう思う。
232 :1 ◆A2rpxnFQ.g :2007/05/14(月) 20:39:57 ID:3EbtGN6S
5月14日(月)
僕はメガネ君を殴った。
メガネ君が『ケータイ買ってもらったよ♪これでいつ取引先との商談があっても大丈夫だぜぃ!!』と、
嬉しそうに自慢してきたからだ。
彼の幸せは僕にとっての不幸なのだ。
だから殴った。
僕らの中でケータイを持っているのはこれで、ダビデ君とティンコ君とメガネ君になった。
モンローちゃんは持っていない。
『ケータイのバイブ機能じゃ満足できない』と言っていたのを覚えている。
僕もケータイは持っていない。
いや、持っていたけど捨てた。
今この場で捨てた。
メガネ君と機種がかぶったからだ。
流石の僕もこの屈辱には耐えられない。
ダビデ君はしょっちゅうケータイをいじっている。
いつも誰かにメールを打っているようだが、どう見ても自宅の電話の子機にしか見えない。
本当の意味で携帯しかできない電話だ。
そんなガラクタ同然の電話を、ダビデ君はなんの目的でいじっているのかいつも謎だ。
ティンコ君はむやみやたらとケータイを使わない。
階段の下、電車の中、女子更衣室付近など、限られた場所でのみ使用する。
ティンコ君曰く『そういう場所はアンテナが四本立つのさ!!!!』らしい。
ケータイのアンテナは三本だけだ。
残りの一本はどこから出してきたんだ。
彼も彼で謎だ。
風が強い日は女子高に遠征に行ってまでもアンテナを立たせてくるらしい。
やはり謎だ。
今日、ダビデ君と下校していると買ったばかりのケータイを片手にメガネ君が走ってきた。
やたらニヤニヤしてやがる。
気持ちが悪い。
『僕ってモテモテじゃん!!さっき知らない女の人から
「最近、旦那が冷たくて寂しいの…。私のこの寂しさを体で慰めてくれる優しいあなた。今晩会いませんか?」
ってメールが来たよ!!』と、気持ちが悪い話もオプションで付けてきた。
気持ちが悪いを通り越して子どもの教育に悪い。
この気持悪さに我慢できなくなった僕はメガネ君に悪いと思いつつも、
メガネ君の電話帳に登録されている人の名前を全て【三丁目の田中さん】に変更しておいた。
さすがにお母さんまで田中さんだと可哀想なので、お母さんは【カプチーノ山本】にしておいた。
この優しさに意味はない。
僕が捨てたケータイはいつの間にかパパイヤが持ってた。
身に覚えのない送信メールが数多くあったが多分気のせいだ。
240 :1 ◆A2rpxnFQ.g :2007/05/15(火) 18:55:16 ID:ii35Btz9
5月15日(火)
今日は遠足だ。
昨日の夜はワクワクして眠れず、メガネ君のケータイに数百件に及ぶ不在着信を残したほどだ。
ワン切りの名手をなめるな。
お前ごときに通話される僕ではない。
胸のドキドキと共に登校する僕だがその途中、どこからか現れたメガネ君に声をかけられた。
もう台無しだ。
もう今すぐ帰りたい。
こんな変態に声をかけられる自分は不幸だ。
こんな哀れな人間は世界中広しと言えどもこのヒロシしかいないだろう。
『やあ、今日は遠足だね。それで僕思ったんだ。遠足はあるのになんで遠手はないのか、てね。
足だけピックアップして手はシカトなんて外道のすることさ。まったく…ウチの学校も考えが浅いぜ!!』と、
意味不明な事を朝っぱらからべらべら喋る。
なんなんだこいつは。
足で歩くから遠足だろうが。
もうとにかくこのメガネを相手にしたくなかったので『足で歩くのが遠足なんだから手で歩くのが遠手だよね。
人間の出来たメガネ君なら、遠足なんて人道に反した事はしないよね。一日中手で逆立ちして歩くんだよね?
ごめんごめん、疑ってしまったよ。まさかメガネ君程の男が足で歩くなんて普通な事をするはずが無いもんね♪』と言っておいた。
メガネ君は少し迷った挙句、『…当然じゃないか!!天才は手で歩いてなんぼさ!!
わかってるね~ヒロシ君。さすが親友だぜ!!』と、ウザい言葉を最後に、逆立ちして歩き出した。
さすが期待を裏切らない男だ。
まあ元々期待されてないから裏切りようがないが。
行き先は山だ。
山道を上っていき、頂上に着いたら弁当を食べて下山というプランだ。
クラスのみんなも張り切っている。
おやつはみんな自腹を切っている。
おやつを忘れたサムゲタン先生は手首を切っている。
代わりにティンコ君がクラスを仕切っている。
どうでもいい。
サムゲタン先生の手当てが済んだところで出発だ。
僕らは元気よく校門を出た。
『私たちが出てもしょうがないのよ!!肛門からはウンチが出なきゃ!!!!』とモンローちゃんが不機嫌そうに言った。
ウンチがつまってる分際でつまらんことをほざくな。
僕らが登る山はそれなりに大きい。
するとすかさず『私のお胸の山はまだまだ発育中よ♪』とモンローちゃんがほざく。
こいつの話は一体誰に向けて話しているのかさっぱりわからん。
そして
なんだかんだあって
僕らは遭難した。
続きはまた明日書こうと思う。
続き ヒロシ君が日記を始めました その3は↓(更新後反映)
http://tenkomo.blog46.fc2.com/blog-entry-527.html
http://tenkomo.blog46.fc2.com/blog-entry-525.html
148 :1 ◆A2rpxnFQ.g :2007/05/07(月) 20:57:18 ID:dZqBW0ep
4月29日(日)
ゴールデンウィークが始まった。
いい機会なので誰かの家に泊まりに行くことにした。
誰の家に泊まろうか迷ったのであみだくじで決めることにした。
くじにノミネートされたのはダビデ君とティンコ君だ。
モンローちゃんは男子じゃないので除外した。
メガネ君は人間じゃないので除外した。
くじの結果、ティンコ君の家に泊まることにした。
せっかくなのでダビデ君も誘った。
モンローちゃんも一応誘ってみたら『ふざけないで!!誘うのは本来私の役目でしょ!!!!』と怒って断られた。
意味がわからない。
メガネ君は人間じゃないので誘わなかった。
ティンコ君は快く承諾してくれた。
僕がティンコ君の部屋に入るのは実は初めてだ。
意外に綺麗だった。
部屋の窓辺には望遠鏡が置いてあったりして結構感じがいい。
まあその望遠鏡が空ではなく隣の家の二階の窓に向いていることがやたら気になったが。
ティンコ君のお母さん(以下:ティンコママ)が夕飯をご馳走してくれた。
僕がティンコママを見るのは初めてだ。
意外に綺麗だった。
夕飯はスッポン鍋だった。
食べているとティンコママが、
『どう?体が熱くなってきたでしょ?特に下半身なんかやばくない?そこんとこどうなの?
え、なんともない?そんなはずはないわ!!爆発寸前にまで高まって抑えきれない欲望が下半身で暴れまわってるはずよ!!
もっと食べてみなさい!!』
と、少々興奮気味にすすめてきた。
他人の下半身にどれだけ興味を持ってるんだ、このおばさんは。
しつこかったので『確かにあついですよ。おばさんの化粧ほどじゃないけど…』とやんわりあしらっておいた。
ティンコママはモンローちゃんと似た民族のようだ。
お風呂は三人で一緒に入った。
ダビデ君が入浴剤と間違えて片栗粉を入れてしまったのを除けば平和だった。
あとはティンコ君が『背が一番高いのはダビデ君だけど、アソコが一番でかいのは俺だぜ!!』と一人でほざいていた。
アソコってどこだ。
そんな代名詞でしか表せないような部門でトップになったくらいでいい気になるな。
カチンときた僕は、急所の代名詞であるティンコ君の金玉を平手打ちで粉砕した。
夜は三人でトランプをした。
まずは【ババぬき】だ。
『…ババよりも下半身に溜ってるモノを抜きたいんだが…。今日はみんないるから我慢しとくか…。』と、ティンコ君がブツブツ呟いていた。
何を抜くかは知らんが我慢せずに思う存分抜けばいいじゃないか。
次は【7ならべ】だ。
ダビデ君は絵札と1~3までしか持ってなかったので一枚も並べることなく終わった。
負けたときの彼の切なげな表情が忘れられない。
最後は【神経衰弱】だ。
ティンコ家の神経衰弱は一般の家庭で行われているものとは違った。
トランプを裏にして並べるのではなく、数字が書かれている面を上にして並べるのだ!!!!
つまり、数字のペアを作るのではなく、裏のトランプの模様が一緒のカードを探すという逆転の発想が生んだ画期的ルールなのだ!!!!!!!!
百発百中で当たるこの神経衰弱にツッコミを入れる者はいなかった。
真剣な顔でカードをめくっているティンコ君、それを見つめていたダビデ君の切なげな表情が忘れられない。
163 :1 ◆A2rpxnFQ.g :2007/05/08(火) 20:32:55 ID:xIBZVxDr
5月1日(火)
ダビデ君が犬を三つ蹴った!!!!
間違えた。
ダビデ君が犬を見つけた。
道端に捨てられていたのを見つけたそうだ。
可哀想な犬だ。
二人でこっそり世話することにした。
メガネ君には秘密だ。
あんな変態に知られたら犬の情操教育に悪い影響を及ぼすからだ。
ティンコ君にも秘密だ。
この犬がメスだからだ。
名前をつけてあげることにした。
ダビデ君は【ポチ】とか【シロ】を候補に挙げた。
別に悪くはないが、この犬が全く白くないという事実を一切無視している名前はどうかと思った。
僕は【毒粒手郁恵門(どくつぶていくえもん)】とか【殺気有世(さつきゆうせい)】をすすめたが、『そんな名前駄目だよ。この子女の子なんだから』とやんわり否定された。
駄目だと指摘する箇所が間違っている気がするがまあいい。
二人で話し合った結果、犬の名前は【パパイヤ】にすることにした。
なんとなく年頃になると父親をないがしろにしそうな雰囲気をかもちだしていたからだ。
パパイヤにえさをあげなければならない。
しかし手元には食べ物は何もない。
仕方がないので近くを歩いていたモンローちゃんに『母乳をくれ』と頼んだら、
『私そんなプレイは好きじゃないわ!!!!』と言われてビンタされた。
さすがに母乳が出るとは最初から思ってなかったが、断る理由に疑問が尽きないのは確かだ。
ビンタまでしやがって…。
次会ったら気付かれないように、うなじにガムテープを貼ってやる事に決めた。
僕が決めた。
しょうがないので自腹を切ってパンを買って食わせた。
パパイヤを僕とダビデ君のどちらの家で飼うかを決めることにした。
ダビデ君の家はすでにネコを飼っているので無理のようだ。
僕のウチも毎日不特定多数のゴキブリが出入りするから無理だ。
メガネ君に頼もうとも考えたが、『あんな変態に飼われるくらいなら死を選ぶわ!!!!』
パパイヤの目がそう言っている気がしたのでやめた。
ティンコ君に頼むのも駄目だ。
パパイヤがメスだからだ。
しょうがないので、学校のうさぎ小屋で飼うことにした。
ここなら毎日自動的にえさも放り込まれるだろう。
ちょっと体格がうさぎとは異なるが、そこらへんは遠近法を使えばいくらでもごまかしが効くだろう。
僕らにペットが出来た。
人と人が互いに傷付け合う悲しい現代社会だからこそ、未来を生きる僕たちが優しさを持たねばならないのだ。
パパイヤに精一杯の愛情をこめて育てていこうと思う。
代わりにメガネ君にはいつも以上に冷たく接しなければならない。
そうしないと気分的にバランスが悪いのだ。
173 :1 ◆A2rpxnFQ.g :2007/05/09(水) 20:31:09 ID:HmUy0git
5月4日(金)
潮干狩りへ行った。
僕の家族とダビデ君の家族とメガネ君の家族とモンローちゃんの家族でだ。
ティンコファミリーは来られないらしい。
『両親が子作りで忙しい』とだけ言われた。
それを聞いた時、うなじにガムテープを付けたモンローちゃんがニヤリと笑ってたが、まあどうでもいい。
早速潮干狩をすることにした。
ダビデ一家はくまでを忘れたようなのでフォークで頑張るようだ。
健気な一家だ。
メガネ一族もくまでを忘れたようなのでフォークで………と言いたいところだが、こいつらちゃんと持ってきてやがった。
もう少し空気を読んでほしかった。
こんなんだからいつまでもメガネなのだ。
メガネな一族だ。
とりあえずそこらへんの砂を掘ってみることにした。
メガネ君が地面に手をかざして
『感じる…。この下に眠るたくさんの貝達の悲痛な叫びが…。…もう心配はいらない。僕が君達を暗い世界から救いだしてあげるよ。』
と、そんなことをブツブツと呟いていた。
それを聞いた僕の体にはブツブツと鳥肌が立った。
気持ちが悪かったので立った鳥肌の粒の数だけメガネ君にビンタをした。
いつもだったら3割引で行っているところだが、パパイヤに愛情を注いでいる手前そういうわけにもいかない
意外と貝は見つからない。
ダビデ君がフォークを三本折ってまで堀り続けたのに…。
これによりダビデ君一家は今日昼飯が食べられない。
だが大丈夫だ。
まだメガネ君のフォークが残っている。
モンローちゃんはモンローちゃんで『潮を吹くのは貝だけじゃなくってよ♪』
と、なんか楽しそうに意味の分からない事をほざいていた。
いい加減一般庶民にわかる言葉で話してほしいものだ。
ふと見るとモンローちゃんが泣いていた。
割れた貝の破片で足をケガしたようだ。
それを見たメガネ君が『こりゃ大変だ!!だが心配は無用だ!!僕が舐めてばい菌を退治してあげるよ!!!!』
と、ハァハァ言いながらモンローちゃんに近付いていった。
何を言っているんだこいつは。
お前のよだれにどれだけの殺菌効果があるというのだ。
心配よりもお前のよだれの方がよっぽど無用だ。
犯罪の匂いがしたので持っていたバケツをメガネ君の頭にかぶせて、その上でくまででおもいっきりバケツをぶっ叩いた。
一日やってみたが貝はそんなに採れなかった。
『貝なんてお店で買いなさい!!(笑)』と、くだらないダジャレをメガネ君が言ったので、僕はメガネ君の髪を噛み千切った。
182 :1 ◆A2rpxnFQ.g :2007/05/10(木) 20:17:48 ID:7e+o8tua
5月7日(月)
今日はパパイヤを教室に連れていく事にした。
こんな可愛い犬をセキュリティの整っていないうさぎ小屋に一日中放置しておくのは危険だからだ。
ましてやこの学校にはメガネ君とティンコ君という限りなく変質者に近い変態がいる。
あの変態共が無抵抗なか弱いパパイヤに何をするかわかったもんじゃない。
僕らでパパイヤの貞操を守るのだ。
教室に連れていくに当たっての一番のネックは、いかにして先生にバレずにパパイヤを持ち込むかだ。
カバンに入れたり、妊婦を装いお腹にかくまったり、いっそのこと動く携帯ストラップとして堂々と持ち込むなど、
色々案が出たがどれもピンとこない。
しかたがないので、パパイヤにランドセルを背負わせて生徒として教室に迎え入れるという一番無難な方法をとることにした。
一番後ろの窓際の席を確保したので多分大丈夫だ。
チャイムが鳴り、サムゲタン先生が教室に入ってきた。
すると先生は『おい、そこの一番後ろのお前!!!!』と、パパイヤを見るなり怒鳴り声をあげた。
くそ、バレたか!?
『顔中ひげだらけじゃないか。成長期にも程があるぞ!!明日までに剃ってこいよ!!!!』
…やった、バレなかった。
パパイヤはこの瞬間、人間として生きることを認められたのだ。
おめでとうパパイヤ。
ようこそパパイヤ。
ここまで来たのでパパイヤに普通に授業を受けさせることにした。
教科書類はメガネ君のを使えばいい。
過去に『天才に教科書なんぞ必要ないのだ。いや、僕の存在そのものが人々にとっての教科書なんだろうね。』と、
わけのわからない事をほざいていたので大丈夫だ。
その時にメガネ君を殴った感触は今もこの手にメモリーされている。
パパイヤはそのままおとなしく授業を聞いていた。
たまに先生からの『東京、茶、台、この三つの単語の後に続く共通の言葉はなんだ?』という問題に『ワン!!!!』と即答する秀才ぶりを発揮したりした。
まるでパパイヤの為に作られたような問題だ。
給食も一緒に食べた。
さすがにハシは持てないので周りには『触る物みな傷付ける年頃だから』と、ごまかしておいた。
とりあえずパパイヤを警護する一日は終わった。
変態共がのさばる世の中だからこそ、僕らは戦わなくちゃいけない。
悪に屈しず己の正義を掲げ行動するのだ。
とりあえず、犬が授業を受けているという状況に誰も疑問に思わないこの学校は本気でやばいと思う。
メガネ君は前々からやばいが。
198 :1 ◆A2rpxnFQ.g :2007/05/11(金) 19:59:16 ID:Wrv4k5kq
5月10日(木)
今日は社会の授業で町のゴミ拾いをすることになった。
なので、さっそくメガネ君をサムゲタン先生の所へ持っていったが『残念だけどこれは捨てるものじゃないよ』と断られた。
………なぜだ………。
これ以上に不必要な物質は世界中探しても無いのに…。
僕はショックで気が狂いそうになった。
『さあ、ゴミを拾いに行こうじゃないか!!!!』とメガネ君がやたら張り切っている。
ゴミがゴミを拾うなんておかしな話だ。
とりあえずグループに別れて町のゴミ拾いをすることになった。
僕のグループのメンバーはいつものアレなメンバーだ。
ゴミ拾いは意外に順調に進んでいった。
ダビデ君がゴミと間違えて大量のグミを購入してきた以外は。
全財産を失った彼にかける言葉が見付からない。
『ゴミだゴミだって言うけれど、ゴミってどんなものを言うのかな~。
自分にとってはゴミに見えても他の人には宝物のように大事な物だってこともあるかもしれない。』と、不意にメガネ君が言った。
メガネ君にしては生涯で一度あるかないかくらいの真面目な発言だ。
するとモンローちゃんが『私にとってのゴミはヒロシ君ね』と、いきなり言い出した。
この時点でモンゴリアンチョップをお見舞いしようと思ったが、理由を言ってくれるそうなので聞いてやることにした。
その理由次第で気持ちが変わるかもしれない。
『私になびかない男なんてゴミ同然よ』と、モンローちゃんは言う。
この瞬間をもって、モンローちゃんは僕にとってのゴミになった。
僕を見下す人間は僕にとってゴミ同然だからだ。
そう言ってモンローちゃんをサムゲタン先生に差し出したが『これも捨てられないよ…』と断られた。
………なぜなんだ………。
大人はわかってくれない。
ブルーになっている僕に、
『ヒロシ君はゴミはゴミでも生ゴミだよ。だってこうして生きているじゃないか!!
生きているゴミと書いて生ゴミと読むんだよ!!
ヒロシ君は生きているんだよ!!ゴミでもゴミなりに生きているんだよ~!!!!!!!!』と、メガネ君が追い討ちをかけてきた。
本人は励ましているつもりらしい。
このメガネいい度胸してるじゃないか。
僕は体内に残されたわずかな情熱の炎を拳に集め、できうる限りの勢いを乗せメガネ君の顔面にぶちかました。
ゴミ拾いが終わった。
ティンコ君が道端で拾った女体学の本を熱心に読んでいた。
メガネ君は拾ったゴミが入っているゴミ袋に鼻を突っ込み臭いをクンクンかいでいた。
人間と呼ぶのもおこがましいメガネ君が『拾ったゴミの臭いを余すことなくかぐのが、ゴミ拾いの醍醐味だよね♪』と、
また笑えもしないダジャレを言った。
腹が立ったのでメガネ君の腕を棒でぶっ叩いた。
216 :1 ◆A2rpxnFQ.g :2007/05/12(土) 16:51:58 ID:TTxYlRlG
5月12日(土)
いい天気なので近くを散歩していたら、メガネ君が息を切らしてこちらに走ってきて、
『助けてくれ!!!!僕は敵に追われているんだ!!!!』と言ってきた。
興味の欠片もなかったが、一応『誰に?』と聞いてみた。
すると『各国のボス達に決まってるだろ!!!!』と怒られた。
なにお前で勝手に決めてんだ。
落ち着きのないメガネ君は続けてほざく。
『さっきようやく気付いたよ!!僕ほどの天才を国が放っとくはずがないんだ!!きっと各国が僕を拉致する極秘プロジェクトを進めているに違いない。
今こうしている間にも、組織が送り込んだ秘密工作員が僕の経歴を調べあげ僕という存在の脅威を再確認していることだろう。
そして僕の人知を越えた経歴を知り、各国の首脳は確信するんだ。
「この少年は人類の歴史始まって以来の天才だ!!是非とも我が国の戦力として動いていただきたい!!」とね。
そこから僕の非日常的な日常が始まるんだよ。天才を必要とする大人共が僕の身柄を拘束しようと四六時中僕を狙ってくるんだ。
昼間学校にいる時なんか危険すぎてオナラが出るよ。
教師をのど飴で買収して、真面目に授業を受ける僕の消しゴムを触ると高圧電流が流れる仕掛けの物とすり替えておくのも方法の一つさ。
それによって僕を気絶させ連れ去るつもりなんだろうね。でも組織は僕をみくびっていたよ。
天才である僕が間違いを修正する消しゴムなんぞ使うはずがないのさ!!間違うはずのない天才に消しゴムを使わせるとは片腹痛いぜ!!
でも学校での襲撃をかわしたってまだ安心はできない。
夜、家で寝ているときだって組織が育成した超能力者が僕のベッドをサイコキネシスで浮かせ、
寝ている僕ごと自分達のアジトに運ぶ可能性も否定できない。
まあ神経の研ぎ澄まされている僕だったら例え寝ていても、
防衛本能が働いてカウンターのサイコキネシスで相手を倒せるから心配はいらないけどね。
そして組織は痛感するのさ。「この少年、我々の手に負える者ではない…。…やむをえん…。組織に牙を剥く前に抹殺するのだ!!!!」ってね。
今度は命そのものを奪いに来るんだよ。
家のウォシュレットの水を硫酸にすり替えておいたり、階段を13段になるよう作り替えたり、
射程距離内で僕の存在を感知した瞬間僕に向けてレンズからレーザービームが自動発射されるメガネを開発しその着用を国民に義務付けたりするんだ。
国中のみんなが敵になるのさ。…でもモンローちゃんだけは違うんだ。清い心を持つ彼女だけは僕を認め供に組織に立ち向かおうと誓ってくれるんだ。
喜びのあまり涙を流す僕にモンローちゃんはそっと口付けをしようと顔を近付ける。そして二人の愛は永遠のものになるはずだった。
でも僕らの唇が触れ合う直前、僕の左胸をレーザービームが貫くんだ。………そこに立っていたのは特殊メガネをかけたヒロシ君、君がいるんだ。
目に涙を浮かべ「ごめん」と消え入りそうな声で僕に言い、僕は小さく微笑んで「君に殺されるなら本望さ…」と小さな声で言うんだ。
それが僕とヒロシ君の最後のやりとりだよ。ヒロシ君とモンローちゃん、二人に見守られながら僕は天にのぼっていくのさ………。
その後、組織は僕の遺体を回収し、研究者達は僕という天才の脳のメカニズムを解析しようと試みるんだ。でも所詮無理な話だよ。
凡人が天才を理解できるはずがない。
結局、研究はなんの成果も得られないまま、僕の遺体は半永久的に保存されたまま、月日はいつものように流れていくのさ…。
え?モンローちゃんとヒロシ君はその後どうしたかって?
モンローちゃんは左胸を貫かれた僕との愛を貫き生涯独身のまま一生を終えることになるよ。
ヒロシ君はもう二度と僕のような悲劇が起こらぬよう総理大臣になって【天才保護条約】を世界と結んでいくんだ。
僕の死は世界中を動かす事になるんだ。
…そんなわけで、僕は今は組織に追われている段階なんだよ~!!!!助けてくれ~!!!!』
あぁ…今日も平和だ。
僕に腹を殴られて足元で苦しそうにもがいているメガネ君を見ているとつくづくそう思う。
232 :1 ◆A2rpxnFQ.g :2007/05/14(月) 20:39:57 ID:3EbtGN6S
5月14日(月)
僕はメガネ君を殴った。
メガネ君が『ケータイ買ってもらったよ♪これでいつ取引先との商談があっても大丈夫だぜぃ!!』と、
嬉しそうに自慢してきたからだ。
彼の幸せは僕にとっての不幸なのだ。
だから殴った。
僕らの中でケータイを持っているのはこれで、ダビデ君とティンコ君とメガネ君になった。
モンローちゃんは持っていない。
『ケータイのバイブ機能じゃ満足できない』と言っていたのを覚えている。
僕もケータイは持っていない。
いや、持っていたけど捨てた。
今この場で捨てた。
メガネ君と機種がかぶったからだ。
流石の僕もこの屈辱には耐えられない。
ダビデ君はしょっちゅうケータイをいじっている。
いつも誰かにメールを打っているようだが、どう見ても自宅の電話の子機にしか見えない。
本当の意味で携帯しかできない電話だ。
そんなガラクタ同然の電話を、ダビデ君はなんの目的でいじっているのかいつも謎だ。
ティンコ君はむやみやたらとケータイを使わない。
階段の下、電車の中、女子更衣室付近など、限られた場所でのみ使用する。
ティンコ君曰く『そういう場所はアンテナが四本立つのさ!!!!』らしい。
ケータイのアンテナは三本だけだ。
残りの一本はどこから出してきたんだ。
彼も彼で謎だ。
風が強い日は女子高に遠征に行ってまでもアンテナを立たせてくるらしい。
やはり謎だ。
今日、ダビデ君と下校していると買ったばかりのケータイを片手にメガネ君が走ってきた。
やたらニヤニヤしてやがる。
気持ちが悪い。
『僕ってモテモテじゃん!!さっき知らない女の人から
「最近、旦那が冷たくて寂しいの…。私のこの寂しさを体で慰めてくれる優しいあなた。今晩会いませんか?」
ってメールが来たよ!!』と、気持ちが悪い話もオプションで付けてきた。
気持ちが悪いを通り越して子どもの教育に悪い。
この気持悪さに我慢できなくなった僕はメガネ君に悪いと思いつつも、
メガネ君の電話帳に登録されている人の名前を全て【三丁目の田中さん】に変更しておいた。
さすがにお母さんまで田中さんだと可哀想なので、お母さんは【カプチーノ山本】にしておいた。
この優しさに意味はない。
僕が捨てたケータイはいつの間にかパパイヤが持ってた。
身に覚えのない送信メールが数多くあったが多分気のせいだ。
240 :1 ◆A2rpxnFQ.g :2007/05/15(火) 18:55:16 ID:ii35Btz9
5月15日(火)
今日は遠足だ。
昨日の夜はワクワクして眠れず、メガネ君のケータイに数百件に及ぶ不在着信を残したほどだ。
ワン切りの名手をなめるな。
お前ごときに通話される僕ではない。
胸のドキドキと共に登校する僕だがその途中、どこからか現れたメガネ君に声をかけられた。
もう台無しだ。
もう今すぐ帰りたい。
こんな変態に声をかけられる自分は不幸だ。
こんな哀れな人間は世界中広しと言えどもこのヒロシしかいないだろう。
『やあ、今日は遠足だね。それで僕思ったんだ。遠足はあるのになんで遠手はないのか、てね。
足だけピックアップして手はシカトなんて外道のすることさ。まったく…ウチの学校も考えが浅いぜ!!』と、
意味不明な事を朝っぱらからべらべら喋る。
なんなんだこいつは。
足で歩くから遠足だろうが。
もうとにかくこのメガネを相手にしたくなかったので『足で歩くのが遠足なんだから手で歩くのが遠手だよね。
人間の出来たメガネ君なら、遠足なんて人道に反した事はしないよね。一日中手で逆立ちして歩くんだよね?
ごめんごめん、疑ってしまったよ。まさかメガネ君程の男が足で歩くなんて普通な事をするはずが無いもんね♪』と言っておいた。
メガネ君は少し迷った挙句、『…当然じゃないか!!天才は手で歩いてなんぼさ!!
わかってるね~ヒロシ君。さすが親友だぜ!!』と、ウザい言葉を最後に、逆立ちして歩き出した。
さすが期待を裏切らない男だ。
まあ元々期待されてないから裏切りようがないが。
行き先は山だ。
山道を上っていき、頂上に着いたら弁当を食べて下山というプランだ。
クラスのみんなも張り切っている。
おやつはみんな自腹を切っている。
おやつを忘れたサムゲタン先生は手首を切っている。
代わりにティンコ君がクラスを仕切っている。
どうでもいい。
サムゲタン先生の手当てが済んだところで出発だ。
僕らは元気よく校門を出た。
『私たちが出てもしょうがないのよ!!肛門からはウンチが出なきゃ!!!!』とモンローちゃんが不機嫌そうに言った。
ウンチがつまってる分際でつまらんことをほざくな。
僕らが登る山はそれなりに大きい。
するとすかさず『私のお胸の山はまだまだ発育中よ♪』とモンローちゃんがほざく。
こいつの話は一体誰に向けて話しているのかさっぱりわからん。
そして
なんだかんだあって
僕らは遭難した。
続きはまた明日書こうと思う。
続き ヒロシ君が日記を始めました その3は↓(更新後反映)
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